ずっとずっと気が付いていた
それでも気が付いていないフリをしていたのは貴方の為と言いつつの私の為
結局は可愛い可愛い自分の為
私に触れるキッドの手
優しさも持ちつつ時折爪を立てては私の肌を傷つけた
這わされる舌に声にならぬ声を上げ歓喜の表情を浮かべる
さすれば機嫌を良くした彼はさらに快楽の波を立てるから私は素直に身を委ねた

気付かぬふりをして抱かれ続けた
何度も何度も数えきれないくらい求められているのだと錯覚し、求めては体を重ねる
私に触れる手が震えている
爪を立てて傷が出来るたびに歪む顔
這う舌は意思がない
そんな舌に声を上げ歓喜の表情を浮かべる私に彼は1度も機嫌を良くしたことなんてない
ただただ私の体をそういったルールに基づいて抱くだけだ
いつからこうなってしまったのか
それは誰も知る由は無いのかもしれないけど、もしかしたら最初からそうだったのかもしれない
キッドは私を恐れ
私はキッドを恐れ
歯車はギシギシと悲痛な音を鳴らして、双方の凸を無理やりかみ合わせ回り続ける
欠けても欠けてもそれを見て見ぬふりをして回り続ける
いつか互いがダメになってしまうのが分かっていながら回り続けるのだ

そして歯車はガコッと簡単に外れた

酸欠になる体
私の気道を塞ぐのはあの手
今は震えても居ない
あぁばれたのだ
私が気づかぬふりをしていたのがばれてしまったのだ
最後の抵抗と言わんばかりに、あの白くて美しい体に何度も爪を立てた
何度も何度も爪を立てると滲む血
その血を見ると心が満たされた
静かに目を瞑る
深く深く、もっと深くまで言っても見えるのはあの綺麗な赤

ああ、早く貴方の手で真っ赤に包んで欲しい

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