片倉家。
幸村と政宗が子供です。
「マーガレットの花言葉は『真実の愛』だって」
聞こえた声に何となく降り返った。
…そう、唯何となく。別に深い意味等は一切無い。
「………」
「さすけー」
「…、あぁはいはい如何したの?」
今は小さい主に顔を向ければ、大きな眸で此方を見上げている。昔を思い出すこの瞬間は懐かしくて好きだと思う。
「しんじつの愛とはなんだ?」
「嘘じゃないって事だよ」
「愛にうそなどあるのか?」
そんな事を言われるとは思っていなかったから少し…少しだけ、言葉が詰まった。
「……俺様が昔、そうだったから」
嘘で固めて、嘘の笑顔で、嘘の言葉で、嘘で愛を否定した。
愛して等いない。殺してしまいたい。
本当の気持ちは口にする前に殺して。あの首を裂いた。
(…あの人も俺も、嘘吐きだった)
結局何も語る事無く、離れてしまった。もっと傍に居たかった。赦される限りで愛を語りたかった。
幸せに、なりたかった。
「……」
「むかし…?では今は違うのだな!」
再び開かれた口から出て来た言葉に一瞬呆然としてしまったが、肯定する様に笑う。
「…うん、今は違うよ」
ひょいと小さい躰を抱き上げて、きつく抱き締めた。思い切り抱き締めたにも関わらず小さな主は嬉しそうに笑う。
「大好きだよ旦那」
「某もさすけが大好きだぞ!」
(嗚呼、幸せだな)
緩む口許を隠す事無く緩めて、噛み締める様に幸せを口にする。そうしていれば足元と背後から何かが纏わり付いてきた。
「honeyといちゃついてんじゃねぇよこの野郎」
「言わせてもらうが俺の事も『大好き』じゃないと怒るぞ」
「あらあら待ってましたよお莫迦さん」
へらり、と笑って拗ねる様に唇を尖らせる恋人とその主の頭を撫でた。
過去に思いて今紡ぐ
皆大好きだよ、お莫迦さん。
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