−ヒロト視点− 俺たち、混合雷門からのボールで試合が始まった。 涼野から豪炎寺くんへとボールが渡り、みんな一斉に走りだし、パスを出し合う。しかし、ダーククレイジーは誰ひとりとして動こうとはしていない。前回と同じ戦法……やっぱり、源田くんに相当自信があるみたいだね。 「よし、みんないくよ!!」 俺が全員に聞こえるよう叫ぶと、みんなあらかじめ計画していた位置へ移動する。そして僕へとボールが渡り、作戦を開始する。 「天空落としV3!!」 まず俺が必殺技を放ち、続いてシュートチェインで緑川が 「アストロゲートV3!!」 そして風介が 「ノーザンインパクトV3!!」 と続ける。まずはシュートチェインを使っての作戦だ。 しかし、やはり 「ビーストファングG5!!」 止められてしまった。……しかも、G5に進化させたとなると、なかなか破れそうにないな。そう思いながらも源田くんがパスしたボールを豪炎寺くんが奪う。次は連続してG5の必殺技で攻める作戦だ。 「グランドファイアG5!! 「ウルフレジェンドG5!!」 「ジ・アースG5!!」 しかし、それも全て源田くんに難無くキャッチされてしまう。 源田くんに止められても何度もボールを奪い続ける。しかし、ゴールネットを揺らすことは一度もできなかった。 そして、この作戦がダーククレイジーにもわかったのだろう。ついにあいつらもボールをコントロールし、こちらからボールを奪うことが困難となってしまった。 そのままダーククレイジーはボールを風丸くんへと渡し、 「真エクスカリバー!!」 シュートを打ってきた。 今は久遠監督からの指示で全力で走れない俺たちはシュートブロックも間に合わなかった。 けれども、事前にそうなることを予想していたのだろう。不動くんが既にポジションへ戻っており、 「ボルケイノカットV3!!」 シュートの威力を弱めてくれた。そして、 「魔王・ザ・ハンドG5!!」 なんとか止めることができた。しかし、今の風丸くんのシュートでこの威力……もし、銀影か、もう一人のFWが打ってきたら、もし鬼道くんが皇帝ペンギン3号G5を打ってきたら……ヤバいかもしれないな。 そう思っていると、立向居くんが晴矢にボールを渡し、再び俺達から攻める。 …だが、俺達の様子を見ていた銀影のめつきが変わった。 「……貴様ら、それが本気というのか………つまらん。もういい。双葉、幽星、やれ」 銀影は後ろのダーククレイジーのメンバーに指示を出すと、MFとDFから一人ずつ風の如くボールを緑川から奪いにくるのが見えた。 「っうあぁぁっ!!」 「緑川!!」 さすがに急なことでリュウジは反応できず、奴らの攻撃をもろにくらってしまった。すぐに俺がそばに寄るが、緑川は「これくらい、大丈夫。それよりも、あいつらから早くボールを奪わなきゃ……!!」 そう言ってすぐに立ち上がった。だが、やはりダメージはあるらしく、少しふらついたが、すぐに持ち直し駆け出した。 確かに、今はボールを奪うことが先決だろう。また緑川みたいなことになってはみんな体がもたないかもしれない。 そう思い、俺も駆け出すが、どれだけ頑張っても修練場で身につけた実力を出すなとなれば本気にはなれず、ボールは奪えなかった。それに加え、奪おうとして失敗するたびに痛め付けられた。 それがしばらく続き、みんな立っているだけで精一杯……のように見せているが、結構体力的にもきつくなってきた。 それを見てか、銀影は「……そろそろか………」と呟くとあの、デス・ノワールを打つ体制になった。 ヤバい。そう直感した時には既に遅く、 「デス・ノワールG5!!」 その声が聞こえたと同時に、俺達の体は空中へと飛ばされた。 そんな状態で、俺の視界に一緒に飛ばされた緑川達と、ゴールポスト前で以前より強力になっている銀影の必殺技を一人で止めようとしている立向居くんの姿が見えた。…ダメだ。今の立向居君でも止めることは無理だっ!! 「魔王・ザ・ハンドG5……っああぁっ!!!!」 魔王・ザ・ハンドで止めようとした立向居君だけど、銀影の強化されたデス・ノワールを止めることは出来ず、そのまま飛ばされてしまい、ボールはそのまま後ろのゴールポストへと吸い込まれていった。 ……やはり、全力を出せなきゃダメだ………。そうみんな思ってるだろう。俺だって思っているからだ。そんなことを考えていると後ろのほうから微かにうめき声が聞こえた。そちらを見ると、立向居くんが腕をおさえている姿が見えた。 急いでみんながそちらへ向かうと、立向居くんの手はとても腫れていて、プレイを続けることが無理だと判断したらしく、久遠監督は円堂君とポジションを交代させ、飛鷹君をDFへと配置した。 それからしばらくし、再び僕らからのキックオフで試合を開始した。 しかし、奴らはすぐにボールを奪い、再び痛め付けるためにボールを俺達へと撃ちはじめた。 俺たちも強くなったけど、奴らもやはり強くなっていた。 あと少し、あとほんの少し堪えきれれば……っ!!!そんなことを考えていたが、次の奴らの動きにその思考は遮断され、身体が勝手に動いていた。 倒れている緑川と南雲に向かってもう一度銀影がデス・ノワールをはなったのだ。 …っダメだ、このままじゃっ!!! そして俺はとっさに 「流星ブレードV3!!」 シュートブロックも兼ねる流星ブレードを繰り出した。しかし、足から聞こえた嫌な音と激痛により、地面に崩れ落ちた。 それでもデス・ノワールの威力は落ちず、そのまま2人に向かっていく。そう思い、自分の不甲斐なさと悔しさ、緑川を守れなかった後悔に絶望しかけた時だった。その間に一つの影が現れた。 「ノーザンインパクトV3!!」 風介だ。でも、シュートブロックでもないノーザンインパクトで止めようなんて無謀だよっ!! 「…っ、シュートブロックで、無理なら、シュートチェインで、逆に打ち返して、やるっ…!!」 風介がそう言い、少し堪えるが、限界がきたらしく吹っ飛ばされてしまった。 しかし、ボールは俺たちの必殺技により、軌道を変えて遥か上へと飛び、そのままフィールドの外へと飛び出した。 |