−砂木沼視点−

「うおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
私達の目の前で今、円堂守が新必殺技の特訓をしていた。新必殺技を特訓したメンバーでまだ完成していないのは彼だけなのだ。
そして、その雄叫びと共鳴するのように、修練場内を眩しい光が包み込むが、円堂がボールを受け止める前にその光は消え、またも彼はゴールを許してしまった。
「……くそっ、あともう少しなのに………何が足りないんだ」
円堂は一瞬ボールを見ると、自分の両手を見て独り言のように呟いた。
そんな時だ。
「今、雷門にいるみんなから連絡がきた」
豪炎寺の一言にみな、特訓を中断し、彼のもとへと集まった。もちろん、私もだ。
その連絡とは、

「ダーククレイジーから挑戦状がきたそうだ。場所はここ、ライオコット島のタイタニックスタジアム、時間は今日のライオコット島での時間で午後7時だそうだ。今、みんなはイナズマジェットに乗ってこちらに向かっているらしい」

……現在の時刻は午後5時。
「まだ少し時間があるが、移動手段が徒歩しかない私達はそろそろでなければならないだろう。」
私がそう言うと、やはりその意見に疑問を持つものが出た。
「でも、カノンがいるしまだ大丈夫じゃないのか?」
もちろん、そうだ。カノンがワープをしてくれたおかげで約一週間前、この修練場に来てより長い時間特訓することができたのだ。カノンがいればここでまだ特訓できるだろう。
しかし、彼は自分で言っていた。自分もいつ消えるかわからない、と。
ならば、彼が今もいるかどうかは確認できない以上、わからない。ならば、もしもを考えればギリギリまでいておくのは正しい判断ではないだろう。
私の考えを伝えると、皆私の意見に賛成してくれ、タイタニックスタジアムへ向かう為の準備を始めた。



――――――



始めに私達が入ってきた扉を開け、外にでると、そこには多くの壊れた機械の残骸とボロボロになった8人がいた。
「……っ良かった。間に合ったみたいですね」
最初に声を出したのはカノンであったが、彼は身体が透けており、今にも消えようとしていた。
「カノンっ!!お前、まさか……」
「……うん。タイムリミット、みたい………。もうキラード博士やバダップたちとも連絡つかないし………。たぶん、80年後の世界で残ってるのは俺だけみたい」
「っ………」
カノンの言葉に皆なんと答えればいいかわからなかった。沈黙が続くと再びカノンが口を開いた。
「……でもね、キラード博士からの最後の通信でね、まだひいじいちゃんたちが勝てば歴史の修正が可能だから、また、俺たちは帰ってこれるよ。だから、後は任せたよひいじいちゃん。みなさん」
そうカノンが言うと、彼の身体が足から消えはじめたのだ。
「あ、ああ!!後は俺達にズババーンと任せろカノン!!じゃあ、また後で会おうなカノン」
「……うん、また後でねっ!!!」
円堂からの返答に安心したカノンは最後に笑顔を残しそのまま消えてしまった………。



「………絶対、ダーククレイジーなんかに負けるか。未来も、風丸たちも俺が守るんだ………みんなっ行くぞおっ!!!!!!」
「おおぉっ!!!!!」

カノンが消えたことにより、しばらく誰も口を開こうとしなかった。だが、円堂の言葉により、皆声を合わせ答えたのだった。
「みんな、まだ歩くことはできるかい?」
ヒロトが私の為にボロボロになった7人に問う。
すると、代表としてフィディオが
「……マモルたちがこれから頑張ろうとしてるのに、俺達がこんなところでくたばってる訳にはいかないだろ。」
力強い返事をし、その言葉に他の6人も頷いたのだった。
そして、私達はタイタニックスタジアムへと向かうために歩きだしたのだった。





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