夢であればよかった

―あんたに、俺と同じ傷を負ってほしくない。

そう思いはじめたのは、いつ頃のことだっただろうか。
多分、あんたに、一度も誰かに動かされたことのない心が奪われた時だろう。
いろんなあんたの姿を見るたびに、幸せを噛み締めるのと同時に、心の裏で、そんな不安がひしひしと募る。
だが、初めて出会った時にみた、涙を零しながらもまっすぐを前を見つめる、強い想いを持った瞳を、最後の最後に戦線離脱を余儀なくされたのに、不安に一杯一杯の松風を励まし、決勝の場でみんなを鼓舞した姿を。
そんな姿を思い出すと、

―きっと大丈夫だ。あんたは、俺みたいに間違ったりしない。

そんなことを勝手に確信して、その不安を打ち消していた。
だから、信じられなかったんだ。
あんたが、冷たい瞳で俺達の前に立っていることが。
何故、神様って存在は、俺の望みを根こそぎ奪い取っていってしまうんだ。なんで、俺の願いを踏み倒していくんだ。

「……っ、神童、先輩……!」

なんとか喉から絞り出せた声に、応えなど、返ってくるわけがなかった。






イナクロで神童が円卓の騎士として天馬の前に立ちはだかる、という情報のみが耳に飛び込んできたときに、敵になるってことはもしや闇堕ち…!?と考え、いても経ってもいられなくなって書いたものでした。
しかも即興で思いついたものなので短いし続かない←

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