初めて貴方と会った時、何て頼りない方なのだろうと思いました。 私の歌声に導かれ、惹かれあうように出会いましたね。 貴方はまるで放り出された子供のようで、どうしていいか分からないと言う面持ちで外に出たみたいでしたが、貴方を一目見て、ああこの人が終わらしてくれるのだと喜んだものです。 本当はあの時、あれを渡して終わりだったのですよ? けれど何故か、どうしても会いたくなったのです。 今まで様々な方と出会い、別れてきましたが、貴方ほど澄んだ目をした人間に会ったことが無かったのです。 真っ白な貴方は私にどんな色を添えてくれるのでしょう。どんな言葉を語ってくれるのでしょう。気になっていた仕方ありませんでした。 いつしか興味は憧憬に変わってゆきました。 貴方と会うたび、語るたび、私の心が変わってゆくのです。 永い時を生きてきましたが、貴方と出会い、ようやく時が動き始めたようでした。 千の時が、たったの一時(ひととき)よりも霞んで見えました。 まるで私の世界に色が付いたようです。刹那の様な速度で移ろう世界はひどく鮮やかで、歓喜に満ちたものでした。 このまま時が止まり、いつまでも貴方と共に笑えていたなら、なんと幸せだったのでしょうか。 もう時間が無いと知りながら、それでも最期まで傍に居たかったのです。 貴方は優しい方ですから、きっと最期には泣いてくれたのでしょう。 泣いてくれる友も親も持たない私のずるい計算でした。哀しい思いをさせてしまってごめんなさい。 貴方と出会えた私は、とても幸せでした。 たとえ死ぬ運命だったとしても、後悔は無いのです。 ひとつ心残りは、貴方に運命を背負わせてしまったことです。 優しくとも強い貴方は乗り越えられると信じています。 悔いのない人生でした。 けれど、叶うなら、貴方と共に、
ずっと此処で歌い続けていたかった (また会いましょう、愛しい人) (by千歳の誓いさま)
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