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せんきゅーごっど

※ちょっと下品(?)かも



目が覚めて、ぼんやりしながら携帯を開くとまだ朝の4時だった。
(さいあく、もったいない)
でも眠れるほど眠くなくて、仕方なく電気をつけた。いつもはぐっすり寝れているのに、なんで今日は寝れないんだ。まぁそんなの、心当たりといったらひとつしか無いけれど、

昨日、初めて白石と、なんだ、あれや、セックス、した。

俺がまあよく言う、攻めであったんだけど。
俺はもちろん、っちゅーか女と付き合ったことがないわけで(モテないわけではない、と、思う)童貞だし、ましてや白石以外の男を抱くなんて想像するだけで吐き気がするわけで。
ほんまもんの初めてだったから脱がすのから突っ込むのまでもたもたと慣れてない感じがあからさまだったけれど、そんなの白石だってそうだ。
白石が童貞かどうかは知らないけど、(聞くのが怖い部分もあるんやけどね)突っ込まれるのは、初めて、つまり処女だ。違ったらショックすぎる。

白石も相当余裕がなくて、いやいやそんなんは当たり前だけどさ、自分のけつになんか入るなんて普通に考えて嫌だし、それに恥ずかしいと思う。俺は白石とだから汚いとかそういうのは、なかった。(正直そんなの考えられないくらい盛った。)
その上、恥ずかしい体勢をするんだから。いやでも、可愛かった。完璧な正にどっかの国で王子様やってますみたいな白石の、真っ赤になった顔とか、涙に濡れた目とか、俺の名前と変な声しか上げない唇、とか、ね。親友のけつに突っ込んで興奮する、て、どうなのよ俺。
親友っちゅーても恋人ではあるけれど。
終わったあとの気まずさったら無かった。でも抱き合って寝たのは、気持ち良かった。

俺達は中学生で受験生なわけだから、お泊りやらなんやらでないと夜を共に過ごすなんてのはないわけで、ヤったのは昼間。夕方まで寝て、白石とはさようならした。

明日、いや今日か、学校で白石を見たらどんな顔をすれば良いのだろうか。あんな白石を見たあとだ。どんなに気にしてなさそうな白石を見ても、首とか、唇とか、見ちゃうじゃん、普通。

思い出していたら忍足くん家の謙也くんが元気になってしまったため、「朝っぱらから元気やなぁ」なんて白石の声が聞こえてくるようでね、罪悪感やらなんやらを感じながら一人で、まぁ、そういうこと。
恋人とした翌日一人で抜くとかどないやねん。気付いたらもう6時近くになっていた。処理していたあとボーッとしすぎていたんだな。
そろそろ支度でもするか、と立ち上がった。ちょっとシャワー浴びたいなぁ、なんて思いながら髪をぐしゃぐしゃとしてドアを開けた。



教室に行くと、まだ白石はいなかった。珍しいな、とも思ったが俺が少し(と言っても5分くらい)早めに来ていたからあまり気にしない。

気にしていなかったが、5分たっても白石は来ない。まさかアレでどこか具合が悪いのか、どうしよう、時計は進んで教室の人数はもうほぼ揃っていた。
みんな白石がいないのに気付いて少しざわざわしてたけど、廊下からだんだん走る音が聞こえてばっとドアを見た。

ゆらゆらと揺れる柔らかい髪が教室に駆け込んできて、こんなに遅くなるのも珍しい上こんな廊下をダッシュで走ってクラスメイトの前ではぁはぁと息切れるなんて、どうしたんだ。

まぁもちろん心当たりなんてひとつしかないけどさ。

「せんせ、まだ…?」
「お、う、まだ、やで?」
「よか、た…」

どれだけ急いできたんやといわんばかりの息切れっぷりにちょっとどきどきしてしまうのは走って少し赤くなった顔と息のせい、だ。俺の前の席に白石が座り、白石ははぁーっとゆっくり息を吐いたあとぱぱっと支度を終わらせた。
あとで何があったか聞こう。本当に心配なのと少しの意地悪混じりで。



HRが終わり、白石の肩を叩くと振り向いて首を傾げたので「どないしたん」と聞いてみた。

「いや、寝坊してん。」
「珍しいな、寝坊やなんて。」

昨日の今日で白石の顔なんて見れないとは思っていたが、白石のが俺の顔から目を逸らしているからそういうことでもなかった。

「ちょお、疲れた、から。」

ちらりとこちらを見て少し俯きがちになった白石がとっても、とーっても可愛くて思わずにやけそうになってしまったのだけれどこらえた。(ちょう、かわいいやんけ、なにこいつ!)

「俺は早く起きてもうた。」
「ふ、ぅん…」
「どきどき、しすぎて。」
「は、へ、へぇ…」

俺の言葉に落ち着かないのか前髪をつまんでは離しを繰り返す白石はなんかもう、誰に完璧と言われているのでしょうねって感じ。動揺しすぎや、これは童貞やな、なんて、昨日(まぁ女とじゃないけど)童貞を卒業したてな俺が言ってみる。
意地悪をすると後が怖いからできないけど、もう笑みは隠しきれないから諦める。

「なに、笑っとん…」
「いや…、幸せやな思って、さ。」
「意味、分からんし!」

若干おどおどという表現が相応しい白石は前を向いてしまって、それには少しむっとしたので、白石の背中に手を伸ばしつーっとなぞってみた。
びくっと肩を跳ねさせて「なにすんねん!」と振り向いた白石は顔を赤くさせて、ちょっと怒っているみたいだ。

「白石がそっぽ向くからやん。」
「謙也がにやにやするから悪い。」
「白石がちゃんと俺見ぃひんのが悪い。」
「け、謙也が!」

口をぱく、と一回動かしてもごもごさせたあと白石が「恥ずいことするから」とぼそっといった。昨日のことだろうか、いや昨日以外ないな。(っちゅーか、お前ほんまかわいいな)
今めっちゃ空に向かって「白石大好きだー」と叫びたい。(あーもう、めっちゃ好き、可愛い、好きや。)
今すぐ抱きしめたいけれど、みんなが教室にいるので無理ですよね。ああもどかしいったらない。
きっと俺は明日からも、白石とこんな幸せな毎日を送っていくのだ。
こんな白石、俺以外には絶対見せないから、ということは俺と白石はずっと一緒にいなきゃならないわけ。
キーンコーンって聞き慣れた音が俺と白石の楽しい時間を邪魔してきたから、仕方なく教科書を用意した。
今になって眠気が襲ってきたので白石の髪の毛を見て、机に顔を伏せた。

次起きたときは、そうだな、白石が起こして下さると嬉しいです。










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