もしも、もしもね? もしもの話よ、これは。イフ。仮定。あくまでもね、そう、そういうやつよ。そ。いい?
 たべちゃってもいい、ってきいたら、いいよって、いってくれるかな。みたいな。そんなことをね、おれは常々……ってほどでもないけど、まあ、そう、考えてるわけですけれども。

「ッあ、ん、んん……」
 おれのじゃない肌に、おれの汗が落ちる。ぽた、って。顎先を伝う感触を手の甲で拭って、びくびくふるえるからだを見下ろす。ねえ、きもちい声でちゃったねえ?
「……っ、るさ、ぁ、」
 わっかりやすい煽りにわっかりやすく煽られてくれるところ、かわいいなあっておもうわけ。かわいい、と、おいしそう、は似てる。たぶんおれを睨み上げてるつもりの目は、ほんとならするどいはずで、でも全然するどくなくて、とろとろで、ほら、おいしそうなんだよなあ。とろとろしてるものってだいたいおいしいじゃん。オムライスとか。たこ焼きとか。シュークリームとか。
 これね、たべちゃってもいい、っていまきいたら、たぶんいける。もうちょっとこう、ぐずぐずにしてからね? そしたらいける。たぶんいける。んだけど、いまお許しをもらってもだめじゃんね、っていうのがさ、あるじゃん。こんな、とんでもないとこにとんでもないもの突っ込まれて、いろんな液体でぐちゃぐちゃになって、そんな状態での「いいよ」はさあ、ノーカンってやつでしょ、さすがにね。おれはその辺正々堂々いきたいわけ。セージツな男なので。まあ、ぜんぶもしもの話なんだけど。
 だから、いまきくわけにはいかないなあ、って。うっかりイエスをもらっちゃったら、ねえ? よくないし。もしも、ね。
 で、まあそしたら考えることがなくなってしまって、退屈だしちょっと動いてみようかなって思ったわけ。ほっそい腰を掴んで、たしかお腹側のちょっと浅めのとことか、すきだよね。
「ぇ、あ……ッ!? ン、あぅ、んぁっ」
「かわいーね。きもちい?」
 かわいい。手のひらで捏ねて握って丸めてジャムつけてたべちゃいたいくらい、かわいい。
「ね、おなかすいた」
「は、ぁ……?」
 こんなときになにいってんだこいつ、とか思ってるんだろうね。そういう顔してる。おいしそうなかお。噛みついたらどんな味すんのかなー、とか。なんてね、ほら、もしもの話、だからさ。


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