「ぁ、ッや、」
 本日五回目の「いや」に、これも本日五回目、動きを止める。
「どしたの、恭哉、いたかった?」
「いた、くない」
「くるしい?」
「ッ、く、るしく、ない」
「んじゃ、どしたん」
 たずねて、乱れた黒髪を手櫛で整えてあげる。さらさらでつやつや。きれい。
「何がいや? おしえて? おれ、恭哉のやなこと、したくないな」
「……ッ、」
「おれとえっちすんの、いや? やめよっか?」
 ゆっくりと腰を引けば、恭哉はあわてて両方の脚をおれの腰に絡ませる。ええ、なにそれ、えろいね。
「や、抜くな……ッ!」
「いやなんじゃないの?」
「……わ、かってんだろ、なあ」
 あかい目元で睨み上げられる。かわいいね。まあまあまあ、まあね、そりゃね、さすがにわかってる、わかっておりますとも。でもさあ、
「おれ、恭哉のことばで、ちゃんと聞きたいんよね」
「…………」
 恭哉が、うろ、って視線を彷徨わせる。くちがうすくひらいて、とじて、目をとじて、ひらいて、何回かまばたきをして、数秒。それからやっと、覚悟をきめたみたいに、もっかいおれの目をみた。
「……いや、じゃ、なくて、」
「うん」
「その……はずかし、くて。つい、いやっていうけど、」
 ぜんぜん、いやじゃないから、やめんな。真っ赤な顔でそういって、恭哉はまた目をそらしてしまう。うるうるだねえ。
「んは、そっか。うん、そやね、はずかしいね。ね、きょーや」
「……ぁ、」
 あ、いまめっちゃきゅうってなった。自分で締めて自分できもちよくなってるの、かわいいけど、ねえそれ、おれもいーれて。いやもう挿入ってんだけどさ。
「はーそろそろ限界、ね、動いてい?」
 ってきいて、でも返事をきくよりも先にちゅーしたいなっておもったので、顔を寄せる。うすいくちびるが震えて、でもおずおずと舌が差し出されて、そんなんさあ、もう。はーあ、恭哉、かーわい。


戻る


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -