ゴミ箱 1/1


初夏の兆しを感じさせる暖かい風。
照りつける日差し。
ビルの合間から見える青い空に
放物線を描きながら飛ぶ…コンビニのゴミ箱。


普通なら有り得ないであろうこの状況。
しかし臨也といつも一緒にいる私であるならば日常的なものとなってしまった。


今日も校庭で終わりのない闘いを繰り広げる、臨也と静雄。
それに巻き込まれないように屋上から新羅と一緒に眺めるいつもの放課後。

「あの二人も毎日毎日、よく飽きないよね。」

「それを毎回眺めてる私たちも同じようなものだと思うけどね」


どこから持ち出したのか、
校庭では静雄が自販機やコンビニのゴミ箱まで様々な物を手当たり次第に投げ飛ばしている。

「ねえ、双子の兄が自販機投げつけられてるのに心配じゃないの?」

「臨也は当たっても死ななさそうだから大丈夫。それに喧嘩するほど仲がいいって言うでしょ?」

「あれは喧嘩って言うより、殺し合いのレベルだけどね。
それに、毎回ケガの治療をする僕の身にもなってほしいよ。」

そういって新羅は大袈裟に肩をすくめて見せた。

「さ、そろそろ止めに行こうかな。」

「莉緒もいつも大変だよね。
でもまあ、莉緒にしかあの二人は止められないし」

クスクスて笑っている新羅を残して、屋上を後にした。

向かう先はもちろん

ゴミ箱が舞う放課後の校庭。



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