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臨也はコーヒーを飲み終えると、「遅くなるかもしれない」と言い残して出かけて行った。

その数十分後、私も臨也のマンションを出た。
今はとあるマンションの一室のドアの前。インターホンを鳴らすと中から白衣を身に着けた医者らしい男が出て来た。

「やあ、久しぶりだね莉緒」

「久しぶり。新羅も元気そうで何よりだよ。」

さあ、上がってと招き入れてくれた、この部屋の主は岸谷新羅。
私のいとこにあたる人。

そして私の過去を知っている数少ないうちの一人。

新羅には定期的に会っている。
私が過去に受けた「傷」を診察してもらうためだ。

「何か変わったことはあった?」
「…あの人を見かけた。池袋で。」

暫くの沈黙の後、新羅はそっか…とだけ言った。詳しく聞かないのは新羅の優しさだろう。


新羅がいれてくれたココアを飲みながらリビングでくつろいでいると、
部屋のドアが開く音がした。

「おかえり、セルティ!今日もお疲れさま!」

やけに機嫌が良くなった新羅が声をかけたのは、
あの有名な黒バイクだった。

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