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1年を締めくくる修了式が終わった教室は、クラス替えで離れてしまうことを惜しむ人たちや、春休みの予定を語る人たちで盛り上がっている。

4月から学年が1つ上がることもあり、気が緩んでいるんだろう。


そんな輪に入らず、私は窓際で咲き始めた桜を眺めていた。

「なにやってるの?1人で外なんて見て。面白いものでもあった?」


声を掛けられ振り向くとそこには学ラン姿の臨也がいた。

「桜が咲き始めてるの。もう春なんだね。」


ぼんやりと窓の外を見つめながら答えると、臨也は私の顔を覗きこんできた。


「それだけじゃ無いでしょう?そんなに悲しい顔してさ。」

「あはは、ばれちゃった?なんかこのクラスが名残惜しくてさ。」

「だったら莉緒もみんなと同じように話して来ればいいじゃないか。」

そう言って臨也はクスクスと笑う。
違うんだよ。それじゃ意味ないの。


「臨也は?寂しくないの?」

「そうだねぇ。別にさみしくないけど…」

「…けど?」

「莉緒と別のクラスになるのは嫌だな。莉緒は?」


私の言いたいことをわかってる癖に、そうやって聞いてくるんだ。

「私も…臨也と離れちゃうのは寂しいな…」


そう言うと、臨也は優しく私の頭をなでた。


「桜が満開になる頃にも一緒にいれたら良いね。」


そう彼は微笑んだ。





咲き始めの桜に願いをこめて。




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