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一歩街へ出ればどこもカップルだらけ。
そんな街の中をたった独りで行く宛もなくただ立ち止まっていた。
本当ならば今日は臨也とデートの予定だった。
イルミネーションを見て、レストランへ行って…
だけどつい先程臨也から電話があって
「本当に申し訳ないんだけど、急に仕事が入っちゃったんだ。
断ったんだけど急ぎの用事らしくて。しかも遅くなりそうなんだよねぇ。いつか必ず埋め合わせするから、本当にごめんね。」
大丈夫とは言ったものの、かなりショック。
だって…もう待ち合わせの場所ついちゃったよ…
仕方なく家に帰ることにした。
賑わっている街を独りで歩く。
虚しいことこのうえない。
家につき、テレビを入れると、どの局もクリスマス特番。
一人寂しく酎ハイを片手にテレビを見て過ごした。
時計を見るともう少しで12時。
クリスマス…終わっちゃうよ…
そう考えてたら、寂しくなってきて、涙が溢れ出してくる。
「臨也ぁ……」
そう呟いたそのとき
「だーれだ?」
今一番聞きたかった声が聞こえ、外の寒さで冷たくなった手が私の視界を塞いだ。
「臨也…!」
「正解。遅くなってごめんね。
驚かせようと思って合い鍵でこっそり入って来ちゃった。」
私が思わず抱きつくと、臨也はぎゅっと抱きしめてくれた。
「仕事は?」
「莉緒に会いたくて早く終わらせてきた。」
そう無邪気な笑顔で言った臨也がたまらなく愛おしかった。
「メリークリスマス、莉緒。大好きだよ。」
互いの唇が重なり合った。
時計は12時を知らせる。
───期限間近のメリークリスマス
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