捧げ物 | ナノ

 緑間:幸せ溢れた午後1時

『・・・しんたろ、ここ』

ローテーブルに広がったノートと参考書、2人分。
テスト前の今、真太郎の部活もなく、かといって外へデートに行くわけでもなく。
まあ定番のお家デート(という名の勉強会)をしてるんだけど。
毎日部活で疲れてて、静かな空間にいてってなったらやっぱり真太郎でも寝ちゃうよね。
分からないとこを聞こうとして顔をあげれば、シャーペン片手に背もたれに体重を預けて寝ている真太郎が目に入った。

『相変わらず睫毛なっがー』

確実に女の私より長い。
しかも寝顔まで綺麗とか君なんなの、神は二物を与えないって言うけど与えてるよね。
なんて思いながら、普段は壊滅的に悪い視力のせいで絶対に外さないメガネにそーっと手を伸ばす。
だって見たいじゃん。1回も見たことないんだよ、彼女なのに。
それなのにさー合宿とかで高尾くんその他は見てるわけでしょ?
うん、ずるい。とてもずるい。

『失礼しまーす・・・わぁ・・・』

普段のしかめっ面から想像もできないくらい穏やかな顔に思わず感嘆する。
流石に寝てる時までしかめっ面はしてないか。
にしても綺麗すぎないかな真太郎くん。
整った顔といい、綺麗な肌といい。
いいなー、せめてそんな綺麗な肌をキープできる女子力分けてください。なんて思っていたら不思議と目が合った。

『わ!おおおおはよう真太郎』
「世良・・・?」
『しんたろ、私こっちね』

さっきまで思い切り目が合っていたのにどうして向こうを見るかな、些か不思議に思いながらぐいっとこちらに顔をむける。

「メガネを返すのだよ」
『えー、もうちょっと見てたいー』
「返すのだよ」
『! しししんたろ、近い、近い!』

普段でも十分かっこいいのにメガネをかけてないせいでさらにかっこよく見えて、しかも見慣れてない分耐性というかなんというかがなくて
さっきよりもぐっと近づいたその距離に心臓が一気に速まった。

『ごめんね、返すから』
「ふん、最初からそうすればいいのだよ」
『寝てた真太郎が悪い』
「そ、それはすまなかったのだよ」
『いや別に責めてはないよ。疲れてるのは知ってるし』

それでもせっかく久しぶりに時間が取れたんだから、と謝ってくれる真太郎は優しい。
というか2人でいたら普段ツンデレな真太郎のツン要素が減って、やっぱりちょっと慣れないせいか照れる。
これが彼女の特権というやつですか。

『じゃあチューしたら寝たのチャラにしたげる』

なんて言ったけど多分真太郎はしてくれないよなーと思って後にハグでも可。と付け足した。

「そんなことでいいのか?」
『え?う、うん』
「ん、」

もしかしたらキスしてくれるかもーなんてちょっと期待してたけど、そう手を広げられてこれも悪くないかもしれないと大人しくその腕に収まった。

『うへへ、やっぱ真太郎おっきー』
「・・・その変な笑い方やめるのだよ」
『だって安心するしー幸せだなーって、幸せが溢れた』

そう言って少し強くギュッとしたら髪を梳かれてから同じようにギュってされて。
なんだかおつりが出そう。ごちそうさまです。

しばらくそのままでいたら伝わってきた心地いい心音と暖かさで眠気を誘われた私は寝てしまって、その後真太郎にキスも貰ったことは知らない。




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真ちゃんでイチャイチャ難しい\(^o^)/
頑張ったつもりでござる

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