※短い



やあシズちゃん。久しぶりだね。
ああ、会いたくなかったって?
…うん、そうだよね。いきなりごめん。

今日は君に言いたいことがあって来たんだよ。
ううん、本当は違う。今日に始まったことじゃなくて。
俺、君に言いたいことがたくさんあるんだ。伝えたいことがたくさんあるんだ。
まあ聞いてよ。どうせ俺がこんなに血迷うなんて、これが最初で最後なんだから。

ずっと。ずっと、怖かったんだ。
シズちゃんが、俺を殺そうとすることが。

…うん。おかしいと思うだろ?
悪いのは全部俺だ。俺がちょっかい出して、君が怒って、俺を追い掛けて。明らかに俺が原因を作ってるし、俺に非がある。
だけどね。俺、殺されたかったんだよ。
捕まりたくないけど、捕まえてほしかった。
うん……そうだね。矛盾してるよね。

今もなんだ。
伝えたくて、でも、拒絶されたらどうしようって――あ、いや。こっちの話。

……でもね。俺決めたんだ。もう逃げない。だから、だからさ。

………。

シズちゃん。
身勝手だけどさ、お願いだよ。
俺に笑顔を向けて。俺のことを考えて。俺だけを見ていて。
シズちゃん。
シズちゃん。
……シズちゃん。

俺は、君がすきです。
だいすきです。
ずっと前から、あいしてます。

…あー、言っちゃった!
馬鹿だなあ俺!自分のことながら、相当滑稽だよ!

実はね。ずっと秘密にしておこうかと思ってたんだ。墓まで持っていこうかな、ってくらいにね。だって恥ずかしいし、今更何様だよって感じじゃない?
それなのに言ったんだよ。この俺が。プライドを捨ててまでさあ。
……ちょっと、聞いてんの?

シズちゃん。もう一度言うよ。
…俺は、君がすきだ。

ねぇ、だから、


もういちど目を開けてよ、シズちゃん。



足りなかった優しさを教えて
(さよならよりも先に、伝えたいことが、たくさん、あった、のに)

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化物の君に別れのことばなんて、必要無いじゃない。




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