※津サイ+静臨
※前半臨也視点、中盤静雄視点、最後は津サイ会話文
※津サイはパソコンの中なう



「いざやぁ」

画面の中からそれはそれは愛くるしく俺を呼んだのは、我がパソコンのアイドルサイケたんだ。俺はそれまで弄っていたフォルダを閉じると、サイケのプログラムを呼び出す。ぽん、という空気の抜けるような音と共に、ディスプレイにはサイケが現れた(何故か背中に津軽をくっつけて)。

「どうしたの、サイケ」
「あのね、おれ、いざやに聞きたいことがあるの!」
「……聞きたいこと?」

俺が怪訝に思い聞き返すと、それまでサイケに引っ付いていた…いや逆か、サイケに引っ付かれてた津軽が、おろおろと声を上げる。

「い、臨也さん、そのう…俺が悪いんです、俺がちゃんと見てなかったから、だから…」
「落ち着いて津軽。どうしたの」
「えっと…俺がその、静雄と臨也さんが「どうしていざやとしずちゃんは仲良しじゃないの?」さ、サイケ!」
「……」

津軽が慌てて引き止めるのを尻目に、元気良く放たれたサイケの言葉に、俺は思わずかちんと固まった。

「だって、おれとつがるはこんなに好きなのに、いざやはしずちゃんのこと好きじゃないなんて、おかしいもん!」

ピンク色の目をきらきらと潤ませるサイケ。その無垢な煌めきに、言葉が詰まる。
いつか来るとは思っていた質問である。俺が性格をプログラムせずに放っておいたせいか、俺よりもずっと純粋に育ったサイケは、これまた本人とは違い温厚に育った津軽と出会い、いつの間にやら恋をしていた。お互いを好き合っている二人としては、モデルである俺達が天敵であるということが理解できないのだろう。そして今日ついに、サイケの疑問が形を成して、俺に「それにいざや、しずちゃんのこと好きなんでしょう!」っていうかちょっと待って。

「サイケ今なんて言ったの」
「いざやはしずちゃんが好きなんだもんね!」
「…えっ、と…」

どうしてそれを知っている。

「おれたちのモデルだもん!サイケわかるもん!」
「嘘だあ!」
「その、見てれば…分かりました」
「えっ津軽まで!?」
「どうしていざやは、しずちゃんと仲良くしないの?」

俺の制止をさらっとシカトして、自分の言い分をぶつけてくるところは、まさしく自由奔放。やっぱりサイケも俺から生まれてきたんだなあなんて、変なところでしみじみしてしまった。すっかりお母さんの気分だ。うわあ俺馬鹿みたい。親馬鹿だー。

「おれね、つがるといっしょにいられて、しあわせなの。だからいざやにも、しあわせになってほしいんだ」
「……サイケ」
「だからね、いざや。おれ」

そこでサイケは満面の笑みを零した。

「いざやのために、これ、買っちゃったの!」
「え?」

画面の端で「ああぁぁ」と津軽が頭を抱えると同時に、来客を知らせる玄関モニタに、宅配業者が帽子を脱ぐ様子が映る。
……え?



滅多に鳴らないインターホンがぴんぽんぴんぽんと世話しなく鳴った時点でおかしいとは思っていた。

「……誰だお前」
「……いざにゃんです」
「…………」

が。
なんだこれは。

「…いざ…?」
「にゃん、……です」

目の前にいるのはどこからどう見ても臨也だ。しかしその黒髪には異質なものが乗っかっている。
猫の耳。
認識はできても把握ができなくて、俺は玄関先でじろじろとその作りものの耳を見詰めた。黒い髪に黒い耳。マッチしているようで、案外すぐに偽物と分かる。
耳が4つか。ふうん。ノミ蟲が、猫。猫の耳。ふうん。
…………。
あー…、考えるのはやめだ。性に合わねえ。

「手前何しに来やがった。殺すぞ」
「散々眺めといてそれだけかよ」
「……感想欲しいか?」
「いや、要らないけどさあ」

自らをいざにゃんだと訳の分からない風に名乗ってから、臨也はふいとそっぽを向いた。その耳(元からある方)は赤い。寒いんだろうか?よく見れば、いつものコートの端からは黒い尻尾が垂れ下がっている。こいつ、妙にこだわってやがる……。

「もう一度聞く。何しに来た」
「……えっと、その」

ノミ蟲には珍しく、歯切れの悪いように言葉を濁すものだから、俺は取り敢えず髪に指を入れ、耳(猫の方)を引っ張った。

「っ、ひぁ!」
「!?」

擽ったかったのだろう、ばっ、と口を両手で覆って、臨也は俺から飛び退さった。その顔が一気に真っ赤に変わる。つられて俺も手を離してしまって、だからその拍子に、建て付けの悪いドアはばたんと閉まった。

「……えーっと……」

頬が熱い。死ぬ程熱い。それもこれも全部、あのノミ蟲のせいだ、畜生!



「サイケ、やっぱり、まずかったんじゃ…」
「え?いざやかわいかったよ?」
「でも…静雄、怒るかもしれないし…」
「だいじょうぶだよ!つがるだって、二人に仲良しになってもらいたいでしょ?」
「ん、……まあ…」
「あ!おれも買ったの!ほらー!」
「!」
「つがる?どうしたの?」
「……いや。可愛いぞ、サイケ」
「ほんと?ありがと!」
「(静雄…本当に大丈夫かな……)」



にゃんにゃんにゃん!
(理性的な意味で!)

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ごまさまからのリクエスト、「津サイ+静臨でほのぼの」でした!

皆を振り回し気味のうちのサイケを気に入っていただきましてありがとうございます!でもこの話で幻滅なさったかもしれませんね…ひい…
オチ丸投げな上静臨要素も薄く、猫の日も活かせずということでもう端から端まで残念仕様ですすみません。もう本当に…すみません…ちょっと腹切ってきます

リコールいつでも受付中です。
リクエストありがとうございました!




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