臨也は暖かな光に瞼を開けた。
カーテンの隙間から覗く太陽はすでに高い位置にあり、窓の外では雀が鳴いている。典型的な日曜日の目覚め方だ。
欠伸を噛み殺しながら隣を見れば、恋人はシーツを握り締め、健やかな寝息を立てて眠っていた。

「シズ、」

声を出そうとして分かった。普段ならよく通る筈のそれは、嗄れているのだ。それは昨晩の情事の名残で、臨也は眉間に皺を寄せ、溜息をひとつ静雄に吹き掛けた。そしてふと気が付く。
彼の輝く金髪が、その根本が、ライトブラウン――元の色に戻り出しているのだ。
臨也は静雄に擦り寄るように近付くと、指先を静雄の髪に絡ませた。くるくると弄び、すぐに離しては、その感触に目を細める。

「……プリンみたい」

くすりと呟く唇で緩やかに孤を描き、臨也は再び身体をシーツに沈ませた。目尻に零れた涙は欠伸からなのか、それにしては酷く眩ゆく、眩しい。

「起きたら、染め直そっか」

話しかけたのか呟いたのか、それは臨也本人にしか分からないけれど。
休日はまだ始まったばかりだ。昼下がりの陽気は、穏やかに二人の睡魔を誘う。



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