飴の有効的な使い方



「…あ、旦那」



そう呼べば
こっちに向かって歩いてきた白髪が、顔を上げて手を振る


「沖田くんじゃん。今日もまたサボり?」
「何言ってんですかィ旦那。こうして団子を食べる公務に忙し…」
「サボってんじゃねェか」


そう言って旦那も腰を降ろす
たまにここ、駄菓子屋で会うと、こうして話すのがお決まりになっていた



なんとなく
隣に座った旦那を横目で見ると
紙袋を抱えて 何やら嬉しそうにニヤニヤしていた
またこの人はパチンコかィ


「旦那、それ…」


俺が袋を指さして言うと


「これ?聞いてよ、パチンコで勝っちゃってさぁ…」

「でしょうね」

「で、銀さん特別に、何かあげるよ。はい、飴」

「飴限定ですかィ…そっちのチョコ下せぇ」

「いや、お前 何も分かってねぇな…
 いいか、飴っていうのはな?」


言いながら
何故か、旦那は飴を口に放り入れた


「ちょ、俺にくれんじゃなかったんですかィ?」

「あげるよ」

「…へ」


俺が間抜けな声を出した瞬間
旦那に口が塞がれた

唇と、唇で


「〜何やってんでィ!!」

「うおっ!?」



あ…旦那 突き飛ばしちまった


「な、な、な、何…」

「んー…口移し?…ってか、移せなかったんだけど」

「い、いいです。いりやせん!」

「…ふーん。最高の口実だったのに」

「は?」



だからぁ、と
頭を描きながら言う旦那は、少し赤くて
何だか可愛く見えた



「好きな奴に…」


好きな奴?


「キスする口実をだなぁ…」

「…待ってくだせぇ。好きな奴って」

「沖田くんだよ、沖田くん」



沖田くん



って…俺…だよな?
…え、うそ
旦那が、俺のこと?


「…マジですかィ…」

「マジ」

「…そーですねェ…考えたコトもなかったんですけど」


旦那といると、楽しくて
そういや、頼れるな…土方さんよりは
ドS同士、気も合うんじゃ…



「…おーい、声に出てんだけど」

「え」

「…それ、もう好きなんじゃない?銀さんと付き合っちゃわない?」

「何漬け込もうとしてんですか」

「漬け込んでねーよ!あーあ、キスしたかっただけなのになあ!」


そんな旦那を見て
何だか可笑しくて笑ってしまった


そして


「じゃあ、キスで確認させてもらいまさぁ。さ、ちゅうしてくだせぇ」

「え!?」

「あ、飴もですぜ」



その後は、言わずもがな




飴の有効的な使い方




「…分かんなかったんで、もう一回してくだせぇ」

「!?」




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移転
初銀沖!



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