祐悠/悠→←メリ/(雛←)春←メリ←千/悠祐♀

*祐悠


つるり、

「…お、っと」

雪が降った翌日の朝
学校へ向かう道の途中
歩きやすい新雪は無いに等しくて
つまり歩きにくいわけでして

「悠太が滑るなんて珍しい」

祐希にもこう言われる始末

「いくらお兄ちゃんだからって滑らないなんてことありませんよ」
「…じゃあ、こうしましょう」

そう言った祐希にぎゅ、っと手を握られる

「今日のお兄ちゃんは危なっかしいですからね」

いつもの祐希のほうが危なっかしいですよ、
言いかけた言葉を呑み込んで、繋がれた手を握り返した





*悠→←メリ


バレンタイン
それは好きな人にチョコをあげる日

彼女はオレの幼なじみのことが好きだったはずだ
なのに

「チョコ…あげるわ」
「…え」

オレになんてあげてもいいのだろうか

…まあ義理、だろう

「えっと…ありが、」
「…ちなみに」

複雑ながらチョコを受け取うとしたところで聞こえた彼女の声で顔をあげると

「それっ!…本命だから!」


あとに残ったのは彼女の走り去る足音と、真っ赤に染まった俺の頬





*(雛←)春←メリ←千
写真とってたらの話


「茉咲ちゃん」

春ちゃんは誰にでも平等だし
その笑顔だって、優しい声だって、それは私にだけ向けられるものじゃないことは分かってた

なのに

修学旅行から春ちゃんたちが帰ってきた翌日
思い出話聞かせてよ、なんて言った相手が持ち帰ってきた写真を見た時、そこには知らない人が写っていて

『ちょっと、ね。いろいろあって仲良くなったんだ』

双子の片割れの兄のほうにそう言われたとき、正直戸惑って、怖くなった

だって写真の中の春ちゃんが、その人と頬を染めて笑っていたから


『ほら、あれだよメリー!修学旅行マジックっていうか何ていうか…』

慰めにはならなかった

だってほら、

「…茉咲ちゃん?」

私を呼ぶ声はやっぱり平等に優しい





*悠祐♀


「おはよう、祐希」

「ゆーた、おはよ…髪結んで」

「はいはい…」

まったくうちの妹は、なんて言いながらも優しい悠太は髪をとかしてくれる

それにいつもいつも甘えられるのは妹の特権


「ゆーた、」

「…ん、何?」

「大好き」

「…はいはい」

悠太は自慢の双子の兄です



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