雨傘鹿尾菜の暴走 | ナノ


「皇先生はいい臀部をしていますね!」
「……はあ」
休み時間、鹿尾菜は皇に平然とセクシャルハラスメントをはたらいていた。臀部と言って言葉をぼかしたつもりらしいが、まるで意味がない。
「鹿尾菜さん、私の腰を撫で回そうとするのをやめてくれませんか」
「私は男女問わず、素敵な方だと思ったらセクハラします。欧米的挨拶です」
「それは欧米に失礼です。とにかくやめてください」
「……わかりました。じゃあ全裸になってください」
「ハードル上がってる!?」
皇もようやくここで相手にしない方がいいと勘づいたらしい。ジリジリと鹿尾菜と距離を取ろうとするが、彼女もその分近づく。いつの間にか皇は廊下の隅に追い詰められていた。
「皇先生屋上へ行きましょう!」
「さっきから言っていることが滅茶苦茶なんですが」
「そんなことありません! 私はいつでも理路整然です! ほら早く屋上でセ」
ぱこーん、といういい音と共に鹿尾菜が皇の視界から消える。そしていつの間にかいた、半回転の顔。
「すみません、先生。うちの鹿尾菜が」
どうやら先程の音は2年1組の担任、ひじきえもんが鹿尾菜の頭を叩いた音だったようだ。
頭をこっぴどく叩かれた鹿尾菜は廊下の床に倒れこみピクリとも動かない。
「い、いえ……大丈夫ですか? 彼女」
「気絶させただけです。体だけは丈夫ですから平気でしょう。では、私は授業があるのでこれで」
気絶した鹿尾菜を引き摺りながら、ひじきえもんは廊下を歩いていく。
皇は段々小さくなっていく青い背中を見ながら、あの二人がいとこ同士だったことを思い出していた。


2012/2/9 ただの変態

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