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変化



「好きです。付き合ってください」



お昼の休憩時間に呼び出されて、指定の場所へ行けばいきなり言われた言葉。しかし別段驚くことはなかった。どちらかと言えば「またか・・・」と思わずため息が出た。




「・・・お気持ちは嬉しいんですが、今は誰とも付き合う気はないんですみません」




ペコッと頭を下げれば「チッ」と聞こえてくる舌打ち。顔を上げて男を見れば、先ほど告白してきた態度とは対照的に不愉快そうな表情を浮かべていた。




「誰とでも付き合うんじゃねーのかよ」



「・・・誰とでも付き合って、あなたみたいに態度をすぐに変える男に引っかかりたくないから改めたの」



「っ・・・・・」



振り上げられる腕に、目を瞑ればいつまで経ってもやってこない痛みに首を小さく傾げながら目を開けた。



するとそこには男の振りかざした腕を後ろから掴んでいる緋色の姿があった。



あ、なんかデジャヴ・・・と思いながら横へと目を向ければ胡桃と降谷先輩の姿もあった。やっほー、と手を振る胡桃に小さく溜息を吐いた。



「振られたからって手を出すような奴に、こいつは渡せねーぜ?」



へラッと笑いながらふざけた口調の緋色に、告白してきた男はサァッと顔を青ざめさせた。そりゃあそうだろう。公安としては大先輩の緋色に、知らないものは居ないと言う程社内では有名な降谷がいるのだから。



「あっ・・・・・・」



「こいつに二度と近づくな、失せろ」



先ほどとは全く違い、声が低く、睨みつけるような緋色に男は「ひっ」と悲鳴を上げながら、すみませんでした!とそそくさと居なくなった。



「・・・・・・・・」



「大丈夫か?トラ」



去って行った男の背を見ていれば緋色に声を掛けられ、そちらを向くが彼をスルーして降谷へとペコッと頭を下げた。



「先日はご迷惑おかけしました」



「いや、別に迷惑だと思ってないさ。あれから彼とはもう・・・?」



「会ってません。連絡も来ませんし」



「そうか」



「ありがとうございました」



「ん。謝罪より、そっちのがいいな」



ニコリと笑いながらポンポンと頭を撫でられ「あの・・・子供じゃないんですが」と不服そうに言えば「あ、悪い;」とすぐさま謝られて手を引っ込める降谷。



「・・・・俺のことはスルーか」



いじける緋色に胡桃が「ドンマイです、先輩」と笑った。



「助けてくれなんて言ってない」



「言うと思った・・・;お前、なんで避けねーの?」



「・・・私が悪いんだし」



「振るほうが悪いなんて聞いたことねーけどな」




「いちいちうるさいな。そもそもあんたなんでいるわけ?」



「だーから、先輩」



「・・・なんでこんなトコにいるんですか。緋色センパイ」



「丁度男とここに入ってく姿が目に入って、椎名がいたから理由聞いてな」



「だから、理由聞いてなんでここにくるわけ?」



「俺としちゃあ可愛い可愛い後輩が心配でね〜」



頭に手を置き、グワングワンと揺らす緋色の手をペシッと叩き落とし「気持ち悪い」と一言。



「きもっ・・!?ひっでーの」



「用がないなら失礼します。緋色センパイ」



冷めた目で見つめた後去ろうとして、降谷と目が合い小さく会釈すればニコリと笑う彼。去って行く唯の後を胡桃も慌てて付いて行こうとすれば「そういやー」と緋色が言葉を発した。ピタッと足を止めて振り返れば煙草を銜えながらニッと笑っている彼の姿に顔を顰めた。



嫌な予感しかしない。




「噂聞いたぜ。彼氏がいなきゃ来るもの拒まずの大賀が誰の告白もOK出さねーって」



噂通りだな。ちったぁ懲りたか?と笑う緋色にイラっとし、ツカツカと彼へと近づいた。




「あ?」



いきなり前に来た唯に、どうした?と首を傾げて聞こうとした緋色の足を思いっきり蹴飛ばした。



「いっ!!!!?」



「ウザい」



蹲り、蹴った場所を抑えながら「お前なぁっ・・・なにすんだよ」と絞り出すように言葉を発する緋色に一言バッサリ言えば隣で見ていた降谷が「今のはお前が悪い」と呆れたように呟いていて・・・・



「たくっ・・・;相変わらず足癖わりーな、お前は・・・」



「あんたが余計なこと言うからでしょ」



「余計なことねー・・・余計な事ついでにもう一ついいか?」



「・・・・いや」



「まあ、そう言うなって。お前・・・・」



立ち上がりながらジッと真剣な表情を浮かべる緋色に眉を寄せながらも「なんだ?」と言わんばかりの表情を浮かべる唯。




「本気で惚れた男でもできたわけ?」



ニッと口角を上げて言う緋色に「はぁっ!?」と心底意味が分からないと声を上げれば「来るもの拒まずのお前が断ってるってことは、ついに自分から惚れた男でもできたのかと・・・・」と言葉を続ける緋色に向かって思いっきり先ほどと同じ場所を蹴飛ばした。



「いっ!!?」



「おま、同じ場所をっ・・・」と再度蹲る緋色にフン!と言いながら去っていく唯。



「…お前、バカだろう?」



降谷がもう一度呆れたように言えば「うっせ」と小さく言葉を返す。



「本当、馬鹿ですよね。緋色先輩」



イケメンなのに、そこが残念です。と椎名も降谷と同じように呆れた表情を浮かべた。



「残念って、おい・・;」



「唯は、私や緋色先輩が本気で心配してるって気づいてたから、自分の態度改めて、来るもの拒まずを止めたのに・・・・」



「は?」



椎名の言葉にキョトンとする緋色。それに対して「呆れた・・・」と小さく息を吐く椎名。



「本当に気づいてないんですか?前飲んだ時に、私が本気で心配してたこと、緋色先輩も多少なりとも怒ってたこと、唯なりに真剣に考えたんじゃないんですか?」



だから彼氏とも何度面倒臭い話で呼び出されてもちゃんと行って、別れるまで話してたのに・・・と椎名が言えば



「そぉか」



と、嬉しそうに笑う緋色がいた。





変化
(・・・・・・・・)
(椎名?どうかしたか?)
(緋色先輩って・・・いつものチャラさがなければ本当カッコいいですよねー・・・)
(俺は別にチャラくはないぞ・・・?;)
(はぁー・・・残念です。マジで)
(お前、結構失礼だな)
(そういやお前・・・)
(おう、失礼な事言われてるのに、お前も俺をスルーするのか、降谷)
(お前、随分と大賀の事気にかけてるけどどういう関係なんだ?)
(・・・・・(ニッ))
(な、なんだよ?)
(なーんか、企んでる顔ですね)
(今の俺にとっては一番大事な女)
(・・・・はっ!?)
(緋色先輩・・・、そんなんだから唯に怒られるんですよ)
(はっはっはっ!)

(??(大事な女?緋色は大賀を?いやでも、今の俺にとっては・・・?))
(ほら、降谷先輩めっちゃ悩んでるじゃないですか)
(悩め、悩め〜。じゃあ俺はサボりにでも行くかな)
((仕事しろ(して下さい)!!))

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