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誰が為の涙・・・?(1/2)



「逃げろーーーー!!!」



コナンが観覧車内部で、聞こえないと分かっていても大きな声で外にいる人たちへと叫んだ。



外では公安と共に一般市民の安全を確保していた目暮達が「逃げろ!」と大声で指示を出している。




「うっ・・・うわーーーん!!!」



観覧車が脱輪し、向かってくるのを走って逃げるように指示を出す中、子供が躓き、大声で泣きだした。そんな子供を目暮が助け、母親へと引き渡し更に、ここは危険だと自らを省みず、ギリギリの所で指示をだしていた。








観覧車が脱輪した所で、ジン達が乗ったヘリは早々にその場を離れるように居なくなった。




「やばいっ、このまま転がったら水族館に・・・なんとかしねぇーとっ・・・」




コナンがくっ、と歯を食いしばりながらも転がっている観覧車へと向かい走り出した。




「しまったっ、坂で加速した!」


コナンは慌てて、伸縮ベルトを軸へと固定し、三つに分かれたベルトのうち、二つを手にして走り出した。




「コナン君っ!!」



「安室さん!!」



走り出せばすぐ横で聞こえてくる声に驚きながらも、そちらへと視線を向ければ同じ方向へと走り出す安室の姿があった。




「とめられるのか!?」



「分からないっ・・・でもやらないと!!」



コナンの言葉に大きく頷く安室。砂埃が立ち、崩れていく観覧車。安室がコナンを抱えて安全な位置へと飛び降りた。



「ぐはっ・・・・」



その際に、背を鉄骨へとぶつけ、苦しげな声を出す安室に「大丈夫っ!?」とコナンが声を掛ければ「あぁ、大丈夫だ。集中しろ」と笑顔で答えた。そして比較的安定している場所へと飛び移れば、安室は「行くぞ!!」と声を掛けてコナンを思いきり、転がっていく観覧車へと向かって投げ飛ばした。





「届け――――――!!!!」




安室に投げられて、転がっていく観覧車へと近づくコナンは小さな体の腕を精一杯伸ばした。




「くそぉぉぉぉっ!!!」



あと少し、そんな所で手が届かず、急降下していく自分の身体に、コナンは苛立ち悪態を吐く。




その時ーーーーー



ダダダッーーーと走ってきた人物によって、空を斬っていたその手は捕まることが出来た。




「赤井さん!?」



「何か策があるんだろう?」



「うんっ!!」



その間にも観覧車は転がり、施設内の建物を次々に破壊していくーーー




観覧車に乗っていた子供たちは大きく揺れるソレに悲鳴を上げるしかなかった。




安室と、赤井の助けによって転がる観覧車へとたどり着いたコナンは伸縮ベルトの機能を使った。



「どうだっ!!?」




シュルシュルとベルトが縮み、ピンッーーーと張るが、その動きが止まることはない。




「よしっ・・いや、まだかっ!?」




「このままじゃ止まらんぞ!?」



「大丈夫!まだ手はある!!」



離れた位置で安室が言い、赤井とコナンは転がる観覧車の上を走りながら言葉を交わした。




「くそっ・・・このままじゃ間に合わねぇっ・・・」



コナンはそれだけ言うと、観覧車の曲線を走る、のではなく、滑り始めた。




「よせっ、焦るな」



そんなコナンの行動を後ろで見ていた赤井が声を掛けるが、当の本人は赤井を信じているのか、滑る身体の腕を精一杯伸ばして「赤井さん!!」と大声で叫んだ。




それに「無茶苦茶なボウヤだな・・・」と内心溜息を吐きながらも、彼に応えるように腕を伸ばし、コナンの手をしっかりと掴んだ。




赤井の手を借り、しっかりと安定した場所へと足を着いた二人。



コナンの腕からはポタポタと血が伝うーーー



しかし、そんな事など気にせずに「これならっ・・・」ともう一つの伸縮ベルトの紐を繋いだ。




その繋がれたベルトは、あるボタンを押せばボールがドンドンと膨らみ始めた。





「膨らめ!!もっと大きく!もっと早くっーーー!!!!」




そんなコナンの肩を、赤井はしっかりと掴む。




「だめだっ・・・止まらねぇっ・・・・」



コナンは諦めにも似た表情を浮かべたその時ーーーー




ブッブッ―――!!と言う大きなクラクションが聞こえ、そちらへと目を向けた。





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