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事件解決、そして…(1/2)



「お疲れ様。みんなこれ食べる?結構おいしいよ」


皆が散り散りになって、不審な車に乗っていた桜色の服を着ていた女性を追うために他の店舗も回ってきた。その甲斐あって車の持ち主が断定できた。
後はその容疑者の行方を捜すだけ、もしくは違う推理があっても、兄とボウヤに任せればいい。皆は店の外に設置してあるベンチに腰かけていたのでりゅうが先ほど漸く購入した京のとりの抹茶味を差し出した。


「わー!ねーちゃんサンキュー!」


真っ先に手を伸ばしたのは元太君で、歩美ちゃん、光彦君も笑顔でお礼を言いながらお菓子に手を伸ばした。


「蘭ちゃんと園子ちゃんは?」


「あ、でも私たちも後で買う予定だし・・・」と遠慮していたので「後で買ったものは後で食べればいいでしょう?今は空いてるんだしこれどうぞ」と言えばどこか気まずそうに手を伸ばしてきた。


「おいしい!」


口々にお礼と美味しい、と聞こえてきてりゅうは小さく笑いながらその様子を見ていた。そこに足音が聞こえてきてそちらを見ればボウヤが呆れたようにお菓子を食べている皆を見て「お前らなぁ・・・;」と呟いた。


「りゅうさんがくれたんだよ!」


「ボウヤもどうぞ。抹茶味だけど食べれる?」


椅子に座っていなかったりゅうがコナンの隣へとしゃがみ、お菓子の箱を差し出せば「う、うん。ありがとう」と戸惑いながらも手を伸ばす。


「あ、美味しい」


「でしょ!?抹茶味で私も京のとりにはまったの、分かるでしょう?」


コナンの言葉に蘭が笑顔で言えば「うん!」と大きく頷くコナン。


「そんなに美味しいんですか?」


店から出てきた安室へと箱を差し出せば「頂きますね」と一つ手を取り口へと運んだ。


「ホォー、なるほど。これは美味しいですね」


安室も人気だという事に納得したように笑顔になった。


「この美味しい抹茶味、先代はこの味気に入ってなかったみたい」


「え?」


園子の言葉にコナンと安室もピクッと反応した。


「元々京のとりは小倉味だけで、抹茶味は今の新しい社長になってから発売されたんだって」


「へぇ、でも抹茶の味が評判良かったからチョコ味も出すことにしたんじゃないの?」


「んー、でも新京極にいた職人さんがね‘先代がチョコ味なんて聞いたらショック死しますわ’って言ってたの。だからね・・・もしかしたらこれは、祟りじゃぁ!!!」


隣に座っていた蘭へと園子が脅かす様に言えば、彼女は「きゃー!」と言いながら耳を塞ぎ、ドン!と園子を押した。


「あ・・・」


ぎゃあ!と言う声と共にベンチから落ちた園子は「蘭のお化け嫌いを忘れてた・・・」と項垂れて「ご、ごめん。園子・・・」と気まずそうに謝る蘭の姿を見て、コナンと安室、りゅうは顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。
すると車で来た刑事の情報を元に、事件は最初の容疑者とは関係ない方向へと向かったのだった。


そこから兄とボウヤの推理は早かった。休暇中にも関わらずその刑事を使いある事を調べさせて、犯人は職人たちである事を突き止めたのだ。


「すんませんっ・・・こない大事になるやなんて」


職人は涙ながらに謝る。社長は「何でこんなことを・・・」と事情を聞けば「先代の命日だからこそ売りたくなかったっ」と頭を下げながら涙していた。


呼ばれていた刑事が車で帰って行く姿を見て綾小路が「ええんですか?被害届は出さへんで・・・」と尋ねていた。


「えぇ、先代が残してくれたんはあの職人たちの腕ですから・・・」


「なるほど」


「あの、チョコ味はどうなるんですか?」


「先代の命日にはチョコ味も抹茶味も売りまへん!職人たちが自ら売りたいと言うまでは・・・」


社長のその言葉に蘭と園子は嬉しそうに笑っていた。


「ほな、私はこれで失礼しますよって・・・」


「あぁ、そう言えば今日は休暇中でしたね」


安室が困ったように言えば綾小路も同じく苦笑いを零す。


「まさか休みの日ぃにこないな事件に巻き込まれると思いませんでしたわ」


「それはもう休暇の日に事件ホイホイであるボウヤに会ったのが運の尽きね」


「・・・確かにその子とおるとよぉ、事件に遭いますが・・・事件ホイホイはもしかするとりゅうさんも入ってるんじゃないですか?」


綾小路の言葉にヒクッと頬を引き攣らせるりゅう。


「・・・何?あんたは私と会ったから事件に遭遇したと言いたいの?」


「いやいやいやっ、これは失礼しました。そういう事ではなくてですね、ちょっと思っただけでっ・・・」


一気に不機嫌になるりゅうを見て綾小路は焦って頭を振った。


「ははっ、綾小路警部、色々ありがとう!」


「助かりました」


コナンと安室がペコリと頭を下げれば彼は少しホッとした表情をして「いえいえ」と頭を下げて帰って行った。


「あー!結構時間掛かっちゃったね。この後どうする?」


蘭が園子へと声を掛ければ近場で京都見物を少し見てホテルに帰ろうという事になったらしい。


「りゅうさん達はどうしますか?」


「そうですね・・・、どうします?」


蘭が聞けば安室が「うーん」と悩み、りゅうへと振った。


「私パス。なんか疲れたからホテルで休みたい」


刑事に会って苛々するわ、明日からも何か事件に巻き込まれそうだし休める時に休みたいのだ。


「では僕たちはこれで・・・」


「安室さん行ってきてもいいですよ?」私別に一人でも大丈夫なんで。と呟くが彼はニコリと笑うだけだった。


「じゃあ、私たちはこれで。また明日お願いします」


ペコリと頭を下げた蘭と園子。そして子供達も「お願いします!」と元気よく頭を下げた後、笑顔で手を振って去って行った。


その後姿を見て見えなくなる頃、ホテルへと向かうりゅう達。


「別に私に付き合ってホテルに行く事ないのに」


「沖矢さんにお前を一人にしないで欲しいと頼まれてるし、俺自身お前と一緒に居たいからな」


ポンポン、と頭を撫でて笑う兄に「子ども扱いですか・・・」と少し照れたようにソッポを向くりゅう。


「あ、あとお前を一人にするとホテルまで行けないだろう?」


「?」


「小さい時から方向音痴だったもんな、お前」


クスッと笑う兄にカァ、と顔に熱が集まったのが自分でも分かった。


「なっ・・・そんな事覚えてないでよ!!」


もうっ!!と言いながらりゅうは兄の肩をバシバシと叩いていた。


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