FBIに駆り立てたモノ(後編)(1/2)
「おいおい、どーなってんだ?傷の手当てが終わったら家に帰してくれるんじゃなかったのか?」
高木刑事へと話しかけてきた人物は仙波和徳という人物で、この事件の第一発見者だそうで・・・
「傷の手当?」
「遺体がある脱衣所の入り口にコップが割れていたと言っただろ?あれを踏んでしまったようですよ」
聞こえてきた言葉に首を傾げれば昴が小声で教えてくれた。
「ねぇねぇ、ガラス踏んだのって右足?」
「あん?なんだこのガキ・・・」
コナンが仙波の足元で聞けば彼は怪訝な表情を浮かべた。
「だっておじさん・・・右足庇ってるように見えたから」
「これは先月交通事故に遭ってポッキリやっちまって、その後遺症だよ」
これで満足か?と視線を合わせるように言えば「そっかー」とコナンは笑った。
「よろしければ遺体を発見した時の事を再現して頂けませんか?少々気になる事がありまして・・・」
「あんた刑事か?」
「あ、いえ彼は被害者の檜山さんが握っていたハサミの開発に協力された・・・」
沖矢の言葉に仙波はまた怪訝な表情を浮かべ質問すれば高木が説明した。
「刑事でもねぇのになんでそんな事っ・・・」
「あのハサミってもう一つ特別な機能があって、もしもおじさんが遺体のそばである事をしてたらその機能が作動してるかもしれないよ?」
ニコッと無邪気の笑顔を浮かべてホラを吹く小さな悪魔・・・じゃなかった、ボウヤの言葉に口元が引き攣った。
よくもまぁ、ホイホイと・・・人の事は言えないけど;
そんな事を考えていればボウヤの思うツボ通りに食いついてきた仙波に「これはクロだな」と小さく溜息を吐いた。
「あ、ある事って・・・なんだよ?」
「それはまだ教えられないなぁー。とにかく遺体を見つけた時と同じ事やってみてよ!」
そう言いながら仙波を連れてまた家の中へと入っていく沖矢達の背を見送りながらりゅうは先ほど周っていた庭を今度は逆回りに見て周った。
「・・・・・・」
あるモノを見つけてしゃがみ込みそれをジッと見つめた。するとガラガラッと誰かが出てくる音がしてすぐに博士の声が聞こえてきた為、沖矢達が現場から出て来たか、追い出されたかだな・・・。と思いながらそちらへと向かった。
「いや、犯人は・・・」
「その仙波さんだよ」
「えぇっ!?」
沖矢とコナンの言葉に博士が驚きの声を上げていた。
「殺害方法までは分かっていますが・・・」
「凶器がまだ・・・・」
「それについてなら、その仙波さん、妙なもの持ってたみたいだよ?」
「りゅう」
何処に行ってたかと思えば・・・と小さく溜息を吐く沖矢。
「あぁ、ちょっとあっちでアリの行列を・・・」
「アリ?」
「って、そんな事はどうでもよくて、さっきボディーガードの人に聞いたんだけどね」
先ほど、話を聞いておいたことを二人に話す。
「人形・・・ですか?」
「うん。ほら、ガチャガチャって知ってる?」
「ガチャガチャ?」
「小さいカプセルの中に入ってる人形とかを買うための機械だよ」
「ホォー?そのガチャガチャが何か?」
「いや、別にそれが何か・・・とかじゃないんだけどね。ただの説明。そのガチャガチャの景品の人形を持ってたらしいよってだけで・・・」
りゅうの言葉にジッと何かを考え込む二人。
「あ、後カラーボール?が落ちてきたって言ってたかな」
「カラーボール?」
「どこに!?」
随分と食いつきがいい二人に首を傾げながら「コッチ・・・」と指さしながら、先ほど甘い匂いがしていた場所へと案内すれば沖矢が「そういえば・・・」とりゅうへと振り返った。
「先ほど甘い匂いがしていたと言ってましたね。それって・・・」
「あぁ、ここトイレみたいだし芳香剤かなんかかもね。蜂蜜系の・・・」
「!!・・・ホォー、蜂蜜ですか」
「それがどうかした?」
「まぁ、もう少し確信が持てたらお話しますよ」
りゅうが言った言葉に沖矢とコナンは顔を見合わせてフッと笑みを浮かべた。
確信もなにもほぼしてるんじゃないのか?二人のその笑みは・・・。と少し呆れながらも「あー、そう」と適当に返事を返しておいた。
「なんでも音がして見に来たらこの辺にカラーボールが転がってたらしいよ」
「この小さい窓には鉄格子ついてないけど・・・さっきりゅうさんが言ってたトイレ?」
「うん、現場の場所から廊下を挟んであるトイレだって言ってたよ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
沖矢とコナンは二人して顎に手を置き考え込み始めた。
「・・・そいえば、こんなことも言ってたよ。カラーボールにしては随分大きな音だったから、吃驚したって」
「ま、まさか!!」
「凶器をあの中に・・・・」
「あー、二人して納得してるところ悪いんだけど、全然意味分かんない。ってか私の知恵要らないでしょ?帰っていい?」
「りゅう、先ほどアリの行列がどうとかって言ってましたね?」
「聞いちゃいないし・・・;アリの行列?見たけどそれとこれと何の意味が・・・」
「それ何処で見たの!?」
沖矢と言い、コナンと言い、全く話を聞かない二人に「そっくりですね」と内心で溜息を吐きながら「あっち」と指させば二人はすぐにそちらへと向かった。
「・・・・・・・・」
「あの二人は妙に息が合うようじゃのう」
「・・・そうですね」
二人の背を見ていたりゅうの隣に博士が並び、同じように沖矢達をみて言った言葉にりゅうは小さく笑いながら頷き見ていた。
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