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今も昔も・・・(1/3)



「ここにもあった。りゅうさんの言葉通り爆竹の跡・・・」


銃声に違和感があった。というりゅうの助言でコナンは銃声が聞こえてきた場所を全て周り、柵に焦げ跡があるのを確認してフッと笑った。


「これなら時間と皆の行動を操作できる。その為の探偵役が服部ってわけか。けどなんで服部なんだ?関西では確かに有名だけど、わざわざ大阪の探偵を選んだわけ・・・」


考え込んでいると頭にちょっとした衝撃が走り「あいてっ・・・」と声に出しながら振り返ればどこか怒ったような表情を浮かべている蘭がズカズカと近づいてきた。


「もう!ウロチョロウロチョロと!いっつもいっつも心配ばっかり掛けて!!」


「あ・・・今戻ろうかなぁーって、だからねっ・・・」


勢いよく近づいてくる蘭に気まずそうに笑いながら後ずさるコナン。


やべっ、蘭の奴相当怒ってる・・・。と言い訳を考えていると、ピタリと目の前で足を止める蘭。


「お願いだから、一人にしないで?」


「・・・・え?」


先ほどと違い、寂しげな表情を浮かべて懇願するような声色にコナンは間の抜けた声が出て、ただただ蘭を見つめ返していた。風がひと吹きした後、ガシッと腕を掴まれて引きずるような勢いで船内へと戻ろうとする。


「コナン君、私が怖がりなの知ってるでしょ?コナン君が居なくなったらこんな怖い船の中、一人で探し回らなきゃいけないのよ?」


和葉ちゃんは船員の人と服部君探しに集中してるし、りゅうさんは怪我してるから・・・。と小さく呟いた蘭の頬は恥ずかしいのか、照れくさいのか、ほんのり朱に染まっていた。


「ごめんなさい・・・。それよりなんなの?このテニスボール」


しっかりと謝った後、先ほど頭にぶつけられたであろうボールを手に取りながら蘭へと尋ねればレストランのテーブルの下で拾ったという。持ち主を聞いたが誰も知らないと言われたらしい。


「このボール見つけた時、鮫崎さん何か言ってた?」


「ううん。その前に雨宮さんと舳先のほうへ行っちゃったから」


「舳先?」


「なんか騒いでたよ?なんでも蟹江さんの身体に銃で撃たれた古い傷跡を見つけたって・・・」


蘭の言葉に驚き小さく目を見開いた後、一言二言言葉を交わし、確信した。この事件の犯人と真相が・・・


蘭とコナンは船内へと戻るとそこには数人の船員と泣きそうな和葉の姿があった。


「和葉ちゃん!」


「蘭ちゃん!どないしよぉ?平次、見つからへんねん」


じわっと目に涙を浮かべる和葉を蘭は「きっと大丈夫よ」と抱きしめながら元気づける。そんな様子を見ていたコナンのイヤリング型の携帯が鳴った。慌てて陰へと身を潜めて電話を取った。


「わりぃ、博士。今ちょっとまずいんだ。いや、後でこっちから掛けなおす・・・え?今なんて・・・?」


「コナン君!!もう!またどこかに消えちゃったかと思ったわよ」


電話を切り終わったタイミングで蘭がコナンを見つけて声をかければ「ちょっとね」と苦笑いして誤魔化した。


「でも、本当どこ行っちゃったんだろね?」


「誰が?」


「誰がって・・・」


「平次に決まってるやん!!」


和葉にもその声が届いていたらしい。どこか焦った声色の和葉に対してコナンはニコッと笑った。


「平次にぃーちゃんの事?どっかでお魚さんと泳いでるんじゃないの?」


「「え??」」


そんなコナンに蘭と和葉はキョトンとした表情を浮かべるのだった。






ーーーコンコンとドアがノックされて「どうぞ」と言えばボウヤがヒョコッと顔を覗かせた。


「あ、雨宮さんも居たんだ」


コナンは部屋の中にりゅう以外の人物が居た事に少し驚いたが、今更引き返すことは出来ずにゆっくりと部屋へと入ってきた。


「なんだ?俺が居たら何かマズい事でもあんのか?マセガキが」


カラカラと笑いながら雨宮が揶揄う様に言えば、コナンは頬を朱に染め「ちがっ・・・」と慌てて言葉を発した。


「・・・大輔、ボウヤで遊ばない」


「ははっ、わりぃわりぃ」


呆れたように溜息を吐き言えば、大輔は悪びれた様子もなく軽く謝った。



「・・・ははっ」


ニャロウ・・・と心の中で悪態を吐きながらも、苦笑いを零すコナンに、りゅうが気になっていた事を尋ねた。


「服部君、見つかった?」


「うん。今はまだ居ないけどね」


「・・・・なるほど。証拠、じゃなくて証人ね」


「・・・・へぇ」


りゅうとコナンの会話で察したらしい雨宮が、少し驚いた表情を浮かべた後、楽し気にニッと笑った。


「それで・・・ね」


あー、うー・・・など、歯切れが悪く、目を泳がせるコナンにりゅうは、彼が何を言いたいのかが分かった。いつもいる探偵役をする小五郎さんが居ないので子供であるコナンだけでは推理ショーをするには骨が折れるのだろう。ここで、服部君が居たらまた別の話なんだろうけど・・・。


「・・・今回の犯人についてなら、大輔がもう分かってる」


「え!?」


りゅうの言葉にコナンが驚き雨宮を見れば「お?俺が分かったのが意外か?」と楽しそうに言葉を発した。


「まあ、殆どはりゅうのおかげなんだけどな」


「え?」


「いらないって言ってんのに、情報ばっかくれるもんだからなんとなく、ね。推理とか、嫌いじゃないけど、好きでもないからあんま深くまでは理解してないんだけどね。まぁ、服部君が居たらもっと早く、真相に辿り着いたんでしょうけど」


それはボウヤ、工藤新一君にも言えた事だろうけど。と視線でコナンを見れば彼は「ははっ・・・」と気まずそうに笑ったのだった。


「証拠がなくてな。俺もりゅうもなんとなくで犯人は分かったが、完全に言い切れるだけの切り札もねぇし、どうしようかって話してたんだが、あの高校生探偵が証人になるんじゃあ犯人も言い逃れできねーだろ」


りゅうが顔見てたら、こいつでも証人になったんだがな。と雨宮が言うと、りゅうはジトッと彼を睨んだ。


「わるーございましたね、ボーっとしてたもんで犯人の顔を見て無くて」


「拗ねんなよ」


「拗ねてない」


「じゃあ行くか」


「え?」


りゅうと雨宮のやり取りを見ていたコナンだったが、行くか、との雨宮の言葉に首を傾げた。


「あの探偵坊主がいねーんだ。助手くらいしてくれるんだろ?ガキ」


りゅうは事件に口挟む気なさそーだし、俺だけで犯人を自供させるだけの手札はねぇしな。と雨宮が言えばコナンは不機嫌そうに「江戸川コナンだよ」と名前を名乗った。


「分かった、分かった。じゃあ行くぞ。ガキ」


ヒラヒラと手を振りながら部屋を去って行く雨宮に、コナンは「ぜってー分かってねぇだろ」と更に不機嫌な表情を浮かべてりゅうを見た。


「・・・ムキになるだけ疲れるわよ」


そう言いながらりゅうもベッドから降りた。


「え?りゅうさんも行くの?」


「蘭ちゃん達に心配掛けちゃうから、もう大丈夫って安心させたいしね」


「そっか。無理しないでね?」


「・・・煩いのがいるんでね。無理はしないわよ」


赤井さんの事ね;と、コナンは苦笑いを零した。




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