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約束(1/2)





夜になって泊まるホテルで夕飯を皆で食べ終わり、ロビーへと歩いていけば、お土産を見ようという事になった。



「・・・・・・・」



「安室さんに何か買っていきますか?」



お土産コーナーへと向かう子供たちの後姿を見ていれば隣に居た沖矢に声を掛けられた。



「え?あぁ・・・明日でいいかな?」



「そうですか」



「ねぇ、昴、私ちょっと出かけてきたいんだけど・・・」



「あぁ、昼間、毛利さんが行った温泉ですか?」



「・・・・なんで分かった?」



「露天風呂の話の時、なんだか興味がありそうでしたし、ホテルに来た時、温泉の営業時間を聞いていたでしょう?」



ですから、行きたいのかな?と思いまして。とにこやかに言われて呆れ笑いが出た。




「・・・営業時間聞いてたのも知ってたんだ・・・」



「えぇ、それに営業時間ギリギリなら他のお客さんも居ないという事も聞きましたよ」




「・・・あーそう」




「行きましょうか」



「え?あんたも行くの?」



「えぇ。ダメですか?」



「・・・・いや、別にいいけど」



「物凄く嫌そうですね」



「・・・別に」



「まぁ、嫌なら私は入りませんよ」



「え?」



沖矢の言葉に小さく首を傾げた。



じゃあ、何しに行くんだ、こいつは・・・;



「混浴ですよね?もしも他の異性が来られたら私としては気が気ではないのでね」




「・・・・そ」



「外に居ますよ」



「・・・別に一緒に入れば?」



「おや?いいんですか?」



りゅうの言葉に沖矢は少し驚きながら言えば、頬を少しだけ赤らめながら「入るだけだから!」と念を押せば、彼はクスッと笑った。



「えぇ、分かってますよ」



そう言った後、スッと耳元へ顔を寄せる沖矢に「何?」と言えば・・・



「そういう‘コト’は二人っきりの時、家でな」



ククッと喉を鳴らす沖矢、そしてその言葉にカァッと顔を真っ赤にした。



「ばかっ!!」


バシッと沖矢の肩を叩くりゅう。そしてそのまま外へと行こうとすれば蘭も外に行くようで・・・




「蘭ちゃん」



「あ、りゅうさん、昴さん。どうしたんですか?」



「私たち、ちょっと出かけてくるけど心配しないで?」



「え?今からですか?どこに・・・」



「昼間、毛利さんが行った場所に行きたくてしょうがなかったみたいです」



蘭が首を傾げれば沖矢がクスッと笑いながら答えた。



「・・・うっさいよ」



「え?父が行った場所?・・・あっ・・・」



一瞬考える蘭だったが、露天風呂、そして確か父が来た目的が混浴である事を思い出し、顔を赤らめた。



「ちょっ・・・お願いだから何も想像しないで・・・何もないからっ・・・」



お願いだから・・・と二回繰り返したりゅうの顔も赤くなっていて、俯いていた。



「あっ・・・行ってらっしゃい!」



「・・・お願いだから誰にも言わないでね」



特に園子ちゃんとかっ・・・と念を押せば、コクコクと頷く蘭。




外に出て貸し出し用のスノーモービルに乗ろうとすれば沖矢に待ったを掛けられた。




「何?」



「私が運転しても?」



「・・・いいけど」



車は大体、昴が運転してくれる。でもバイクとなればりゅうが運転し、乗るとしたら昴が後ろに乗るから、なんとなく、バイクっぽいスノーモービルは自分が運転するのに違和感がなく乗ろうとしただけなのだが・・・



「バイクはともかく、これなら免許もいりませんしね」



そう言って跨ぐ昴の後ろに私も乗って昴の肩へと両手を置いた。



「・・・・・りゅう」




「何?」




「落ちますよ?」




「大丈夫だよ」



と言うが、昴は私の手を取り、彼のお腹へと両手を添えるように置かされた。



「・・・もしかしてバイクも私の運転は嫌だったり?」



それに満足したのか、彼はエンジンをかけて、走り出した。



少し走った所で聞いてみれば昴はクスッと笑った。



「まあ、嫌なわけではないですが、恋人に運転させるよりは、男の自分が運転したいと・・・そう思いません?」



「いや、思いません?って言われてもその心理、女の私には分かんない」




でも、確かに昴が居る時、車の運転をしようともしなかったが、一度だって運転を代わった事はない。




「そういうもんなんですよ。彼女には運転させるよりも、隣やこうやって後ろで安心して乗っていてもらいたいものなんです」




「はぁ、そういうもんですか」



「えぇ、そういうものです」



その後に小さく、バイクの免許も取ろうか、なんてことも聞こえてきた。



「・・・・取らなくていいから」




「なぜですか?」




「一つでもいいから、出来ない事残しといてよ・・・」



それで、私を頼って・・・。と小さく呟くりゅうに、沖矢は少し驚いた表情をした後、クスッと笑った。



「・・・・何笑ってんのよ」



「いや?随分と可愛い事を言う」



「っ・・・うっさい・・・」



いきなり言われた言葉に、少し照れたように顔を背けるりゅう。(まあ、背けると言っても彼から顔が見れるわけではないが・・・)



「頼りにしてますよ」



「え?」



「きっと、あなたが思っている以上にずっと・・・誰よりも、何よりも信じていますし、頼りにしてます」



自分自身、驚くくらい・・・な。



「・・・・本当?」



「えぇ。私が何かして欲しいと思う時、あなたが代わりにしてくれる。私が無理だと思った事も、あなたとなら出来る気さえする。私がもしも危機に陥った時、あなたなら絶対に何とかしてくれる・・・いつでもそう思ってますよ」




「・・・へへっ、そっか」




だったら・・・いいや。と小さく呟きながら、ギュッと沖矢のお腹に回している腕に少し力を込めて抱き着いた。




「・・・えぇ、頼りにしてますよ。りゅう・・・」




「・・・でも、バイクの免許は取らなくていいから」



一つでいいから、とりあえず目に見えて分かる、あなたが私を頼らざる得ないものが欲しい。



まぁ、バイクなんて乗る機会も、昴が乗らざる得ない状況もあまりないのだが・・・




「ふっ・・・了解」



バイクはお前さんに任すとするか。と赤井の口調で返してきたが、まぁいいか、と思い「・・うん」と返事を返した。



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