いつの日かーーー(1/2)
「秀一が死んだ?」
組織が管理している施設の一つでボケーっと研究を見ていればベルモットに急に話しかけられた
そして信じがたい言葉を聞かされた。
「えぇ、キールの手によって・・ね」
「・・・・・・・」
ベルモットの言葉にどこか興味なさげな表情を浮かべるりゅう。
「あら?その顔、信じてないわね?」
「まぁ、キールが殺せる相手ならとっくに死んでんじゃない?」
「でも今回はジンが監視についてたのよ?」
しっかりとその目で見たそうよ?赤井秀一の頭に弾丸が撃ち込まれ、倒れ死んでいく姿をねーーーー
ベルモットはそれだけ言うと背を向けて歩き出した。
「あぁ、それともう一つ・・・・」
クルッとこちらを向く彼女にりゅうは嫌そうに眉を寄せて「今度は何?」と問えばベルモットはクスッと笑った。
「マティーニ、あなたいい加減一人の男に決めたら?」
「あら?それに関してはあなたにだけは言われたくないわね。それに・・・」
「それに?」
「あなたとジンからそのコードネームで呼ばれるとこう・・・イラッとするっていうか、鳥肌が立つっていうか・・・・」
ブルッと身体を震わせて自分の肩を抱くマティーニにベルモットはクスッと笑った。
「あら?それはあなたのコードネームがベルモットとジンのカクテルだから・・・かしら?」
「あーもう、ボスは何で私にその名をくれたのか・・・」
「クスクスっ・・だったら今度試してみる?」
「何が?」
「ジンと私とあなたの三人で・・・っていうのも楽しいかもね?」
「はははっ、ジョーダン」
笑顔で言うベルモットに、一度笑ったのち、馬鹿じゃないのと心底いやそうな表情をした。
「そういう趣味はないの」
ハッと鼻で笑い、ベルモットの隣を通り過ぎながら言えば彼女に通り過ぎ際にある言葉を呟かれた。
「あなた、ライ・・・いえ赤井秀一に抱かれてから変わったわねーーー」
「はぁ?」
「毎日のように誰かの部屋に行っていたあの頃とは大違い。今ではその回数が目に見えて減ってるわよね?」
「・・・・・・・」
ふふっと笑うベルモットを無表情で見るりゅう。
「まさか・・・惚れたなんて言うんじゃないでしょね?私たちの敵であるFBIにーーー」
「・・・敵である・・・ねぇ?あなたにだけは言われたくないわ?」
「なんですって?」
「組織に対して脅威ともいえる人物を知っているのにも関わらず、それを報告すらしないあなたの方こそ、惚れてるんでしょう?あの小さなボウヤにーーー」
ふっと笑い言えばベルモットの表情が一気に曇った。
「なんであなたがその事をっーーー」
「あぁ、あともう一人・・・・エンジェル・・・」
「Be silent!(黙りなさい!)」
チャキッと拳銃を向けられて両手を挙げた。
「誰にも言うつもりはないさ。組織の崩壊を望むのは・・・あんただけじゃない」
「・・・・その台詞、あなた殺されるわよ?」
「その時はあんたも道連れさ。でもまぁ・・・私はそんなことどうでもいい」
ただ楽しければそれでーーーっと笑い、りゅうはその場を去って行った。
「・・・・マティーニ、ジン以上にやばい相手かもしれないわよ・・・シルバーブレット」
「ふんふん、ここが米花町かぁ・・・」
ベルモットと別れてすぐに、あの女が惚れているボウヤを探してやってきた米花町。
「・・・・・!!」
ある女の子が横を通り過ぎる瞬間、慌ててその腕をつい引っ張ってしまった。
「んぁ!?」
「あ・・・・」
突如引っ張られて驚きバランスを崩すその子は一見顔だけ見れば男の子のようだったが、制服でスカートを履いている所を見ると女の子なのだろう。
「ちょっ、いきなり吃驚するじゃないか!」
咄嗟に手が出るところだったと詰め寄られてりゅうはごめんごめん、と軽く謝った。
この子・・・似てる。秀一と・・・・ただ本当にそう思ってつい引き留めようと引っ張ってしまったのだ。
「何か用?」
どこか不機嫌そうな彼女にふっと笑ってりゅうは手を差し出した。
「初めまして、私りゅうっていうの。あなたは?」
差し出された手にどこか警戒しつつも握り返してくれる彼女。
「・・・・世良真純」
「真純ちゃん!ねぇ!私あなたみたいな子タイプなの!ちょっとお姉さんのナンパに乗ってみない?」
一緒にお茶しよーよ、と笑顔で言えば、キョトン顔した後に「ぷっ」と吹き出しお腹を抱えて笑い出した。
「あははははっ・・・お姉さん変だよっ・・・そういう趣味?」
「あら?女の子とはそういう関係になったことはないけど君ならいいかな?」
ふふっと笑えば彼女はツボに入ったらしく、バシバシとりゅうの背を叩く。
「あはははっ、いい!お姉さん面白い!そこら辺の男のナンパより直球で僕は好きだよ!」
「あら?じゃあこんな下手なナンパ乗ってくれるのかしら?」
「いいよ!でもごめん、今日はあんまり時間がないんだ。また今度でいい?」
「えぇ、構わないわ」
「じゃあ決まり、また連絡するよ」
そう言って去って行こうとする世良に待ったをかけた。
「?」
「あのね、知らなかったら知らないでいいんだけど、この辺に頭がいい眼鏡を掛けた小学1年生位の男の子って知ってる?」
「あぁ、コナン君のことかな?」
「そうそう、その子に会いたいんだけど、どこ行けば会えるかな?」
「お姉さんコナン君と知り合い?」
「ううん、知らない」
「じゃあどうして・・・」
「私の知り合いがちょっと前に落とし物を探してくれた男の子がいるって言っててね、その子にお礼がしたいけど探してる暇がないからって私が代わりに探してるの」
そう言うと、世良はふーん、と納得し「今日は確か工藤君の家に用事があるとかって言ってたから早く会いたいんじゃあ家に行けば会えるんじゃないか?」と言ってくれた。
「工藤邸?」
「うん、まぁ今は‘沖矢昴’って男が住んでるんだけどなー。なんだったら案内してあげようか?」
「え?いいの?」
時間がないんじゃなかったの?と聞けばお茶する時間はないけど道案内くらいなら出来ると言われた。
彼女のその言葉に甘えて近くまで案内してもらった。
「あの屋根見えるだろ?あそこだよ」
「へー、あそこね、ありがとう!真純ちゃん!」
ニコッと笑えば彼女もニッと笑った。
「どういたしまして!じゃあね!また連絡するね、お姉さん!」
「うん、待ってるわね、ばいばーい」
世良と笑顔で別れて工藤と呼ばれる家に向かった。
「工藤っていうと・・・ベルモットのお気に入りのあのボウヤの家よね・・・沖矢・・・昴?」
聞いたこともないような名前に首を傾げれば、丁度工藤邸から出てくる赤い車にサッと物陰に隠れた。
その車を運転していたのは赤井とは似ても似つかない優男。
・・・・勘違いか、そう思って隣を通り過ぎていくその男をじっと見ていれば、スッとこちらを見る翡翠の瞳に目を見開いた。
ほんの一瞬通り過ぎただけ、秒数にすれば1秒もなかった。
けれど確信した。
ニッと口角が上がる。
「・・・ほらね、彼が死ぬはずがない」
今日は出直そうと思いりゅうは踵を返した。
そして次の日ーーーー
ピンポーンーーーー
工藤邸にインターホンの音が鳴り響き、かなりの時間を置いた後、もう一度鳴らすか、と押そうとした時、ガチャッと玄関が開く音がした。
「・・・・はい」
どこか不機嫌そうな男にりゅうは気にした様子もなくニッと笑みを浮かべた。
「どうも」
「・・・・どうも」
挨拶をすれば彼も間をおいて同じく挨拶を返してきた。
「沖矢・・・昴さん?」
「はい、そうですけど・・・あの、一ついいですか?」
「はい」
「あなた・・・・今何時か知ってますか?」
物凄く不機嫌そうな彼の表情と声色。
「あ、もしかして寝てました?」
「もしかしてなくても寝ているでしょう。普通・・・今5時ですよ?」
「私早起きなんですよ」
彼の言葉もなんのその、にこりと返すりゅうに沖矢は溜息を一つ吐いた。
「・・・・お年寄りみたいな方ですね」
「あ、失礼ですね。そんな老けて見えますか?」
「あぁ、すみません。お年寄りの方に失礼ですね」
「そっち!!?」
「失礼なのはあなたの方です。時間を考えてください」
それだけ言われてパタンと玄関を閉められてしまった。
ムーッとしたまま何回かインターホンを押すがシカトされていると思う。
「明日もう少し遅い時間に出直します!」
それだけ言ってその日は帰って行ったりゅう。
去っていく彼女の背を二階の窓から見ながら、沖矢は「やれやれ」と溜息を吐いた。
そのまた次の日ーーー
ピンポーンーーーー
一度鳴らした後、少ししてもう一度押そうとすればガチャッと開けられる扉。
「おはようございます」
ニコッと笑い挨拶をするりゅうに、沖矢はため息を吐いた。
「・・・・あなたは馬鹿ですか?」
「あなたが早いというから少しずらしたのに・・・」
「今何時ですか?」
「五時半ですよ!」
昨日より30分待ちました!と笑顔で言い切る彼女に沖矢は、ハァーッと頭に手を置いて疲れたように肩を落とした。
ガチャッと閉められる扉にりゅうは慌てて声をかけた。
「あー!ちょっ・・分かった!6時ならいい!?」
カチャカチャと音が鳴った後、大きく開かれる扉にりゅうはホッとしたような表情を浮かべた。
「6時でも早いです。どうして昼間という考えがないのかが不思議です」
玄関へと招き入れながら沖矢は呆れながら言った。
「あら?時間は関係ないでしょ?あなたも、私も・・・寝れないんだから」
ニィッとどこか不敵な笑みを浮かべるりゅうに沖矢はふっと笑った。
「何のことですか?」
「あら?惚けるの・・・?でも・・さ?」
スッと沖矢に近づき頬を怪しく撫でた後、背伸びをしながら笑みを浮かべた彼の口へと口づけた。
チュッと小さく口づけを落とした後、チラッと上目遣いで彼を見ればどこか呆れているような表情。
それでも嫌がる素振りも突き放す事も見せない所を見れば、ふっと笑みが零れた。
そして次には深い口づけを落とし、好き放題に舌を動かしていれば急にガシッと頭を固定されるように掴まれた。
「んっ・・・・」
それからは向こうのペースで、その口づけが放される頃には足に力が入らずにズルッとその場に崩れる。
「おっと・・・大丈夫ですか?」
仕掛けてきた割には弱いんですね。と彼は意地悪そうに笑う。
「うっ・・さい・・・」
少し赤く染まった頬で、色気のある瞳で小さく睨む彼女に沖矢はククッと喉を鳴らした。
「・・・・秀一・・・」
「・・・・・・」
名を呼べば彼はジッとこちらを見ていた。
「秀一でしょ?ベルモットから死んだって聞かされて・・・嘘だって・・・そう思った」
「私は沖矢昴です」
「惚けないでよ・・・私が間違うわけないでしょ!?あなたのその翡翠の瞳、あなたの香り、雰囲気・・・あなたのキスを・・・・」
私は絶対に間違えたりしない、そう言い切るりゅうの瞳には微かに涙を浮かべていてーーー
フゥと溜息を一つ吐く彼。
「やれやれだな、お前がまさかあそこにいるとは思いもしなくて、つい目を見開いたのが失態だったな・・・・」
急に変わる声に、目を見開くりゅう。
目の前には翡翠の瞳でこちらを見て困ったような表情の沖矢の姿。
「っ・・・・秀一っ・・・・」
彼へと思い切り抱き着き、力を込めて抱きしめれば彼も同様に抱きしめ返してくれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・
(・・・・・そういえばお前、俺が組織を抜けてから誰と寝た?)
(えっ・・・や・・やだなぁ、秀一と寝てからはあなただけっ・・・)
(りゅう?)
(うっ・・・ジンと・・バーボンと・・・あとはあんたが知らない幹部2人位・・かな・・?;)
(ホォー?)
(でっ・・でも!本当にたまにしかっ・・・)
(もう一度、その身体に教え込むしかなさそうだな・・くくっ・・・)
(っ・・・あんたジンより怖い顔してるけどっ・・・)
(ホォー?ここで別の男の名を出すとはな・・・)
(ひっ・・ごめっ・・んんっ・・・)
フェイト様!5万HIT&映画記念リクエスト企画にご参加頂きましてありがとうございました!
ちょっと全ての期待には応えられなかったかもしれませんがっ・・・気に入って頂けたら嬉しいです!
もしも違うお話がいいなどのご希望でしたらフェイト様のみ!書き直し依頼をお受けいたします!
楽しく書かせていただきました!
本当にありがとうございました!
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