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言えない言葉(1/2)









「バーボン!」



「はい?あ、りゅう」



組織内でバーボンの姿を見つけて名を呼びながら彼へと駆け寄れば振り返り、私の名を呼んでくれる彼。



あぁ、もうっ・・大好き!



そんな態度を表に出しながら、彼の腕へと走っていた勢いのままに抱き着いた。




「おっとっ・・・相変わらず元気ですね、りゅう」




フッと柔らかく笑うあなたが好き。



私の名を呼ぶあなたが好き。




「今日はお仕事一緒だね!!」



「仕事だと言うのに・・・;」



随分とお気楽なお嬢さんだ、とバーボンは苦笑いだ。




私だって分かってる。



仕事という事はそれなりに危ない仕事で、命の取り合いをすることだってある。



こんなノリで出掛ける場合じゃないのもわかってるけど!



彼と少しでも一緒に居られるのならなんでも嬉しかった。




「最近はずっとベルモットとばかりだったでしょう?私、寂しくて・・・」



シュンとするりゅうに困ったように笑うバーボン。




困らせているのかな?



そう思うと顔を上げられなかった。




すると次の瞬間。




ポンポンーーと頭に温かく大きな手の感触にバッと顔を上げればニコッと笑うバーボン。




「っ・・・・・」



間近に見たその笑顔と、頭ポンポンの行為に顔を真っ赤に染めるりゅう。




「あー・・・本当にあなたと言う人は・・・」



可愛いですね、と耳元で囁かれればその耳をバッと抑えて抱き着いていた腕を離し、後ろに後退った。



ーーーゴンっ!



と思いきり頭をぶつければ痛くて痛くて蹲る。




「〜〜〜っ・・・・」




「・・ぷっ・・・くくっ・・・」



その様子をバーボンはキョトンと見た後吹き出し、お腹を抱えて笑い出した。



「あははははっ・・・・」



「っ・・・・・」



その表情が子供のような、無邪気な笑み。



トクンと胸が高鳴った気がした。




しかし・・・



「・・・・・涙出るほど笑うって酷い・・・バーボン」



眼尻に溜まった涙を指で拭いながら、ごめんごめん、と謝るバーボン。




「・・・・・」



紅い顔をしたまま、ムゥーと頬を膨らませるりゅうに、バーボンは苦笑いし「怒らないでください」と言った。




「笑ってしまったお詫びにどうです?仕事が終わったらお食事でも・・・」




「行く!!」



バーボンの言葉を過り、顔をパァッと明るくさせすぐさま返事を返すりゅうに、バーボンはもう一度吹き出しそうになるがなんとか耐えた。




「はい、じゃぁ早く仕事終わらせちゃいましょうか?」




「うん!!」



そう言って仕事へと向かった。




バーボンとの仕事は殆ど彼一人で終わらせてしまう。



理由は「僕が居る時は出来るだけ危ない目に合わせたくないので」との事。



今だって私は車の中でお留守番だ。




嬉しくて嬉しくて舞い上がりそうになる。




彼は私に対して相当甘いと思う。



それはきっと自意識過剰なんかじゃなくて、本当に・・・




もうこのままがいいな、と思う反面、この関係はいつか壊れてしまうんだろうな、とも思う。




だってあなたは・・・・・





「・・・・降谷・・零・・・」



そう彼の本名は降谷零。



公安の人間だ。




ゼロと言う言葉に一度大きく反応した彼に疑問を覚えて調べたらHITしてしまったのだ。




「・・・・・怖いな・・・・」




暫くボーっとしていて、呟いた言葉。




「何が怖いんですか?」



ビクッと肩を震わせた。



声の方を見ればいつの間にか助手席へと乗り込むバーボンの姿。




「あ・・・」



何時から居たの?



何処から聞いてた?



私が彼の名を呼んだ時あなたはーーーー




やばい・・・


この関係が今にも終わってしまう事がーーー



何よりも怖かったっ・・・・・




「りゅう?どうしました?」



首を傾げて心配そうに言うバーボンに、聞かれていないとホッとした。



ホッとすれば涙が出てきて。




「りゅう!?」




ギョッとするバーボン。



「なっ・・なんでもないっ・・・」



ごめんっ!と慌てて謝りバーボンとは反対方向を向けばいきなり抱きしめられた。




え・・・・?




「・・・・泣かないでください。あなたには・・笑顔が似合う・・・」



ギュッと包まれた温もりと、すぐ近くで聞こえるバーボンの声にりゅうの胸はキュッと締め付けられた。




「ちょっと・・・ゴミが入っちゃったんだ。ごめんね?」



誤魔化してなんとか笑ってバーボンへと言えば彼は寂しそうな表情をした。





「りゅう・・・・・」



あ、ダメだ・・・



好きという気持ちが・・抑えられないくらいに溢れ出る。



「・・・ねぇ、バーボン・・・」




「はい」




「好きだよ・・・・」




「・・・・・・・」




「好きっ・・・なんだよぉっ・・・・」




ポロポロと流れる涙、しかしバーボンはギュッと拳を握りしめ、顔を伏せた。




「っ・・・・・それが答えよね・・・・」




先ほどは抱きしめてくれたのに、今度は抱きしめる所か、目さえ合わせてはくれない。



そう、私は組織の一員なのだ。



彼はそんな私を絶対に好きにはならないだろう。



いつも飄々としているが、スコッチ・・・公安の仲間が私たちの組織に殺されてるのだ。




そんな仲間である私を・・・彼は絶対に・・・・


グイッと乱暴に涙を拭えばパァン!と頬を叩いて深呼吸をした。




「ごめん!今の忘れて!!」




「りゅう・・・・・」



どこか傷ついたような彼の表情にズキンと痛む胸をなんとか押さえつけニコッと笑った。




「ご飯・・・食べに行くんだよね?」




それも・・・だめ?と返せば彼は車を降りた。




「・・・・・・・」




あぁ・・・・やってしまった。



彼はもう私と一緒に仕事さえしたくないんだろう。



そう思うと涙がまた溢れ出てきた。



「くっ・・・うっ・・・・」



ーーーガチャッといきなり扉が開く音にバッと見れば運転席の扉を開けるバーボンの姿。




「・・・・泣かないでください、僕はあなたには本当に・・・笑っていて欲しいんだ」



そう言って涙を優しく拭ってくれる、困った表情のバーボン。




「え・・・?ご飯行くのも嫌で降りたんじゃ・・・」




「まさか。ただ僕が運転しようと思って降りただけですよ」



さぁ、助手席へ、と言われて助手席へとずれた。




「・・・・あなたが思ってる以上に僕も食事に行くの、結構楽しみだったんですよ?」




フッと笑うバーボンにピタリと止まる涙。




「・・・・ふふっ・・・そう・・そっかっ・・じゃぁ・・いいや」



今はそれだけで・・・


その言葉だけで・・・いいや



バーボンの言葉に沈んだり浮上したり・・・



いつか終わりを告げると分かっていても。



今だけはその言葉を信じさせていてーーーー







・・・・・・・・・・・・・・・・・
(っていうか、バーボン・・・)
(はい?)
(ややっこしいことしないでよっ!!)
(何がですか?)
(いきなり車から降りたらっ・・・嫌われたかと思っ・・・)
(運転代わりますってちゃんと言ったんですけどねぇ・・・;)
(えっ!?まじですか・・・?)
(えぇ、まじです)







カッツェ様!リクエスト企画にご参加頂きありがとうございました!
バーボン大好きなヒロイン!そしてスパイだと気づいているちょっと切ない系・・と言うリクエストだったんですが…このような仕上がりになってしまいました・・・;
大丈夫でしょうか?心配な今日この頃です><
もしお気に召さなかったら言ってくださいね!カッツェ様のみ!書き直し依頼お受けいたします!

バーボン最近私好きで!書いていて楽しかったです!本当にありがとうございました!




        →おまけ



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