×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

友達以上恋人未満(2/2)



「真純ちゃん!?」


さっきまで妙に静かだった真純ちゃんが、なぜか急に慌てだし洗面所へとほぼ強引に引っ張られた。


「やん、お姉さん嬉しいけど真純ちゃんってば強引なんだから!」


ポッとワザとらしく頬を赤く染めれば真剣な表情の真純ちゃんに見つめられた。


「おねーさん」


「え・・・、いや本当にどうしたの?」


ふざけている場合ではない位真剣な彼女に、少し身を引きながら言えばグイッと頭を持たれて、いつの間にか出ていた水へと顔を持っていかれた。


「ぎゃっ・・・ちょっ、真純ちゃん!!?化粧!化粧落ちちゃう!すごいことになっちゃうから!!」


「口!さっきあの男とキスした口洗って!すぐに!!」


「え・・・えぇっ!?」



洗面所から聞こえてくる大声に沖矢は小声で「・・・真純、俺は黴菌かなにかか?」と少し不機嫌そうな表情を浮かべて言っていた。


「す、昴さん?あの人・・・だれ?」


「初めて会いましたか?」


「う、うん・・・。多分初めてだと思うよ」


あんな人、一回会ったら絶対忘れない・・・、というコナンの言葉に「まぁ、そうですね」と苦笑いを浮かべた。


「彼女、りゅうさんって言って、世良さんをナンパした人だよ」


「え?」


蘭がコナンの問いに答えれば驚きの表情を浮かべた。


「なんでも死んじゃった好きだった人に似てて声かけたって・・・」


「死んじゃった・・・?似てた?・・・それって」


蘭の言葉に沖矢を見上げれば彼は苦笑い零した。


「・・・ねぇ、ちょっと」


どこかポカンとしているコナンを引っ張って、灰原が小声で話しかけた。


「なんだよ?」


「あの人、本当に一体何者なの?」


「あの人って・・・昴さんのことか?」


「えぇ」


「・・・昴さんより、なんでオメェあの女にそんなに無警戒なんだよ?」


「彼女は組織の人間であって、組織の崩壊を望む一人・・・。彼女がわざわざ組織が活発化しそうな情報を与えるとは思わないわ」


「組織の崩壊を望む・・・?」


「それは後でじっくり教えてあげるから!それよりあの男の正体よ!」


「なんで昴さん?」


「だっておかしいでしょう?組織の人間である彼女にあそこまで好かれてるなんて・・・」


聞いた会話ではほぼ毎日、ここに通ってるみたいだし・・・と、灰原は難しい表情を浮かべている。


「・・・あの女の人に聞いてみればいいじゃねーか」


「・・・・そうよね。うん。そうよ。マティーニに聞けばいいのよね」


コナンの言葉を聞き、その手があった。と灰原は頷いた。そんな会話を聞いていた沖矢は「全く、毎回厄介ごとを運んでくる女だ」とまたため息を吐いたのだった。


灰原がりゅうへと聞きにその場を離れれば、コナンは心配そうに沖矢へと近づき「・・・大丈夫かな?」と問う。


「まぁ、組織のことと、俺のことを少しでも漏らせば・・・」


「漏らせば?」


「彼女自身が嫌という程身に染みていると思いますので漏らさないと思いますよ?」


ニコッと笑う沖矢のその笑みに異様な恐怖を感じたコナンは口元を引き攣らせたのだった。


「真純ちゃーん・・・お姉さん化粧落ちちゃったよ」


コナン達がそんな話をしていれば洗面所から戻ってきたりゅうと真純。りゅうはタオルを肩に掛けて、水で濡れた顔を拭いていて・・・


「大丈夫だよ!化粧してなくてもおねーさん綺麗だから!」


二パッと八重歯を覗かす世良に「やばっ、可愛いっ・・・」と顔を逸らしたかと思えば、抱き着くりゅうを、「ははっ」と笑顔で抱きしめ返した世良。


「おねーさん、僕の本当のお姉ちゃんになってほしいな」


「真純ちゃんの?」


「僕、兄が二人いて女姉妹いないからおねーさんみたいな人がおねーちゃんだったら楽しいだろうなぁーって思ってさ」


「へぇ?お兄さんカッコイイ?」


「あなたはそうやって見境なく・・・」


世良とりゅうが話していれば沖矢が呆れたような表情を浮かべて近づいてくる。


「や、やだなぁ、ちょっと聞いただけじゃん」


少し引け腰になりながら沖矢へと言えば彼はフッと笑みを浮かべてりゅうの頬へと手を置く。


「な、なにっ・・・?」


少しビクビクしながら言えば「お前の化粧なしの顔はひさしぶりだな」と笑った。


「・・・え?なに?化粧なしの方があんたの好み?」


だったら私化粧しないけど。とニコッと笑うりゅうに、沖矢も優しく笑った。


バッーーっといきなりりゅうの頬に置かれていた沖矢の手を叩き、彼の間に入ってきたのは世良で・・・


「わっ・・・吃驚した。真純ちゃん?」


「・・・・・あの;」


いきなりの事に驚くりゅうと、困ったような表情を浮かべる沖矢。


戸惑うりゅうを背に庇いながら世良は沖矢へと威嚇するように睨みつけた。


「おねーさん!この男に近寄っちゃだめっ!」


「え?」


「・・・・・」


だから俺は、ばい菌か?と沖矢は内心で溜息を吐いた。


「この人はおねーさんに似合わないっ!」


「え・・えぇぇっ〜・・・」


でもおねーさん、結構沖矢サン好きなんだけどな。と苦笑いを浮かべれば「だめ!」と却下された。


「どうして沖矢さんはダメなの?」


「だってこの人、絶対腹黒いって!」


何考えてるか分かんないし、絶対二重人格みたいに本当の顔隠してるよ!!と大声で言う彼女に、その場に居た全員が一瞬止まった。


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


「・・・ふっはっ、あはっ・・あはははっ」


「おい」


沈黙後に笑い出したりゅうに、沖矢は非難の声をあげた。


「ごめっ、くっ・・・ははっ」


「謝っている態度ではないでしょう?」


笑いが止まらないりゅうと、不機嫌そうな沖矢。そしてそんな事はお構いなしに沖矢を威嚇する世良を見てコナンは半目で呆れたように笑った。


「ははっ・・・・・」


あながち、間違ってねぇが・・・おめぇの兄さんだかんな?



               


          チャンチャン

back