「瀬戸さん、」
「…どうしたら、俺も瀬戸さんみたいにはっきり、堂々とものを言えるようになるんでしょう…」

「なんだよ、いきなり」

「いきなりじゃないです、ずっと前からそう思ってましたよぉ」

 体育座りをして、ひざとおでこをくっつけるようにうなだれる速水。前々から水鳥の、自分の思ったことはちゃんと言えたり、堂々として凛々しい姿に憧れ、というより羨ましいという感情を薄々もっていたが、対万能坂中のあの水鳥の一言で、いいなぁ…ほどだった感情が日に日に大きくなり、今ではそのことばかり頭をよぎる。そのことを話したら、苦笑する水鳥に「なにそれ、新手の告白かよ」と言われてしまった。

 …今言ったことを思い出してみた。確かにあれは告白と取れるかもしれないけど、まだ、好きじゃない。憧れなんだ、と言おうと水鳥の顔を見た瞬間、どきん、と胸の高鳴りを感じた。顔がほてって熱くなる。冷や汗も出ている気がする。心臓はうるさくなる一方だし、なんだ、これ。

「え、えっと…あう…そのっ…」

 混乱して、うまい言葉が見つからない。

「…でもさぁ、速水の女々しいところ、アタシは嫌いじゃないよ」

 にっこりと笑った優しい水鳥の表情。
 それは、卒業してから何年か経った今でも頭から離れないほど、大きくて、眩しくて、愛しい存在。



***
なんか将来水鳥が死んだか別れたみたいになっちゃったけど…………はやみどりは………………幸せゲットする必要がないくらいにしあわせたっぷりでお願いします

でも女々しいところ嫌いじゃないって嬉しいんだか悲しいんだか(ノ^o^)ノ


2011/8/26
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