―ぼりぼり。
「………。」
―ぼりぼりぼり。
「………。」
―ぼりぼりぼり。ぼりぼり。
「…あのさぁ、かゆいのは分かるけどなんでそんなに引っ掻いてるんだよ!うっわ、刺されたところから血ぃ出てんじゃん」
「…だって、かゆいんですよぉ」
速水のふくらはぎには、しずくのような赤い斑点が3つ。今日は七分のズボンをはいているけれど、かゆみがひどいらしく、無理にズボンを捲し上げていた。布のすぐ横に一つ、斜めに一つ、そして反対側に一つ。かきすぎて血がじわじわと滲んできていて、かゆい…というよりは痛そうなんだけど。よくもまぁ、こんなに刺されるものだ。
「なんかムカつくなー、虫ごときが速水の血吸うなんてさ!俺が吸うなら問題はないけど」
「…何言ってるんです、俺の血なんかおいしくないですよぉ…絶対変な味がしますって」
「じゃあ確かめてみる?」
傷口を、ぺろ、と優しく舐めてみた。血独特の鉄の味と、何より…
「うえぇえー…、にっが…」
「ひ、あっ、…ななな、何してるんです!?当たり前ですよぉ、薬塗ったんですから!」
わたわた、と速水はあたりを見回していた。何を探しているのか、それとも焦っているのかは分からないけれど、その困った顔がひどく可愛くて、心がほわっと甘く暖かくなった。
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天然Sわんこ浜野と気弱っ子速水のこの組み合わせがだな すごくだな くすぐられるんだな
2011/8/16