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数週間ぶりに訪れた彼の部屋は、多少の雑誌や服、ティッシュが散らばってはいるが、南沢さんの部屋にしては珍しく足の踏み場があった。一般的に見たら散らかっているが物が散乱しているのがデフォルト、ということを考えたら綺麗な方だ。
「今、部屋が綺麗でめずらしいー、なんて思っただろ?さっきの奴が昨日やってくれたんだよ。」
「…ほんと、昨日の今日でよくこんな汚くできますね。逆に尊敬しますよ。彼女さん呆れませんでした?」
座れる場所がないのでベッドに腰掛ける。ぎしり、とスプリングが音をあげた。南沢さんはベッド下にものを押し込み、無理矢理座れる場所を作って腰を下ろした。
「ま、俺も男だからなぁ…。呆れはしてなかったけどエロ本コレクション見られてちょっと怒られた」
そう言いながらベッド下のダンボールをばしばし叩いていた。丸まったティッシュに、俺も男、ということは昨日あの人とヤって、その上また夜に一人でシたのか…なんて考えるとこの人の性欲は際限無しなんだな、とつくづく思う。
「…マジ南沢さんって性欲の塊っすね」
「普通じゃねーの?お前もオナニーとかセックスとか気持ちいいと思うし好きだろ?」
「それは…確かに…。いや!セックスとか…何事ももなくさらりと言えるあたり、普通じゃねえっすよ…」
「あ、そっか、お前童貞だったっけ?じゃ何回でも言ってやるよ。セックスセックスセックスセックスセックス」
「…いい加減にしないと怒りますよ」
ほんと、この人は性に関することとか、こういうエロトークが好きだ。依存症とまではいかないが、三度の飯よりセックスが好き、なんて言われても驚かない。下半身で物事を決めるのだ。まだ中学生なのにこんなんだから、大人になったらどうなってしまうのだろうか、すごく心配だ。
「そういうことはさぁ、童貞捨ててから言えよ。童貞倉間くん?」
「南沢さんみたいなヤリチンには言われたくないんですけど。」
つん、と身体ごと右を向くと、左手に暖かい感触が伝わった。不思議に思って身体を元に戻そうとしたら、今度は目の前に南沢さんの顔。驚いて、後ろへもたれ掛かったけれど方向転換をしてしまったため壁はなく、まるで押し倒されたような絵図になってしまった。
「なっ…!いきなり何すか…!?」
「まだセックスもしたことない可哀想な後輩に快感ってのがどんなもんかを教えてやろうと思って」
「…結構です。手、退けて下さい」
「ムリ、もうスイッチ入っちゃったし」
シャツのボタンを手に掛け、慣れた手つきで外していく。流石は南沢篤志、なんて冷静でいると、ふいに首元を軽く噛まれ、耳を塞ぎたくなるような恥ずかしい声が出てしまった。
「ん、抵抗とかしねーんだ。」
「…これじゃあしても無駄じゃないですか。逃してくれなさそうですし。それにしても、南沢さんって男ともヤれちゃうんですね。」
「んー、お前とか霧野とか神童とか松風とかの類いは可愛げがあるから全然大丈夫だけど、車田とか三国とかはちょっと抵抗はある。いかにも男って感じじゃん?俺的には霧野とか無理矢理犯して泣かしてみたい」
「…もうそれ以上喋らないで下さい。先輩のイメージ丸崩れしちゃいますから」
「うっせ」
俺の耳を躊躇なくべろん、と舐め、反応したことを確かめると、低く甘やかな声でこう囁いた。
「んじゃ、セックス…やろうぜ?」
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最後のは笑うところですよ
2011/8/13