「シン様、」
「…山菜か」
「…あの、足…大丈夫ですか?」
「ああ、あれぐらいだったら大丈夫だ。そもそも避けられなかった俺が悪い」
今日の練習試合で、シン様は足を捻ってしまった。相手チームのスライディング精度が悪く、シン様が避けようとしたら運悪く足に当たってしまったのだ。
「あの、よかったら、これ…湿布、温感と冷感、どっちがいいか分からなくて…両方買ってきちゃったんですけど…」
。薬局のマークの入ったビニール袋の中から、湿布と書かれ袋を二つ取り出して見せ、元に戻して差し出した。神童はそれを受けとると、少しはにかみながらありがとう、とお礼を言った。
「湿布って、実際は温感も冷感も、薬剤の効果で熱い、冷たいって感じてるだけだから、どっちがよく効くってことはないんだ。…けど、わざわざ俺のためにありがとう。家に帰ったら貼ってみる。」
「い、いえ!…私も、一応…マネージャーですから…」
「それでも、ありがとな。じゃあ、また明日」
「…はいっ、さようなら!」
微笑みながら部室を後にしたシン様を見て、きゅう、と心がしめつけられたような気がした。そして、全身の力がすうっと抜けていき、その場にへたりと座り込んでしまった。
「私、シン様と話した…ううん、話せた…!」
「それに、湿布を渡したとき、シン様の指がちょっとだけ触れて…」
「しかも、二回も笑ってくれた…」
どきどき、どきどきする。心臓が、壊れそうなくらい。
今まで、挨拶しかしたことなくて、まともに話もしてなかったけど…
「山菜、って、呼んでくれた…」
この気持ちは、きっと、
「うれ、しい…」
これが恋ってものなのでしょうか
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茜ちゃんかわいい
2011/7/25