「友沢さーん!」

 練習を終え、妹と弟が待つ我が家へと帰るべく、少し急ぎ足で学校の門を過ぎた数秒後のことだ。いつものように、聞き慣れた声がする。

「一緒に帰りましょう!」

「…ああ」

 こいつ、久遠ヒカルは、俺の一つ年下。つまり後輩だ。
 昔から俺を慕っていて、いつ何時も俺の後をついてきた。奴のスライダーは俺が仕込んだものだし、久遠がこの学校に入ってきた理由も、勿論俺を追いかけてきたから、と言っていた。

「聞いて下さいよ、友沢さん!また今日も犬河と猫神がケンカしたんですよー!昼休み、僕がたまたま用事があって一年の教室に行ったら、犬河は泣いてるし猫神はふくれっ面してるし…話を聞いたら、猫神が罰ゲーム、なんていって犬河にポッキーゲームを強要したらしいんです。それしたら、犬河は泣いて拒否して…猫神はそこまで嫌がることないじゃないか、って機嫌悪いし…もうめちゃくちゃですよ。僕がなんとか宥めたのはいいものの、昼休み終わっちゃって…あの二人、どうしたらケンカしないでいられるんでしょうかね?」

 目線を下げ、はぁ、とため息をひとつついて話す久遠。
 いつも見せる元気いっぱいで明るい表情とは違う今日の久遠は、なんだか新鮮でもあるし、滑稽でもある。

「久遠と猛田みたいに、暫くしたら仲良くできるんじゃないのか?」

「えっ?…僕と猛田ってそんなに仲良く見えます?」

「まあ、そこそこ」

「僕的には、全然仲良いなんて思ったことないですよ」

「犬河も猫神も、去年のお前たちにそっくりだよ」

「…そんなの、困ります」

「…なんでだ?」

「友沢さんを好きなのは、僕だけでいいんですよ。他の人が友沢さんを好きになる必要はないですから」


 多少盲目的だけれど、(たぶん)可愛い後輩だ。


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 パワプロが足りない。誰か書いて

 2011/7/23
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