芽埜「…ん…ぅ…」




目を開くと首にかかっているハーフボゴレリングが目に入った。



芽埜「(昨日のは…夢…?ううん、違う…。
だって、昨日の修行で出来た傷がちゃんとあるもん)


ん〜…」

「おはよう、芽埜」

芽埜「!、お父さん……」

東眞「ごめんな、巻き込んで」




悲しげに笑う父親に芽埜はそっと抱きついた。
いつもならしない。
けれど、今はなんだかそうしたかったのだ。




     *     *     *




芽埜・ツナ「Σ同じリングを持つ者同士のガチンコ勝負〜〜〜!?」

家光「ああ。あとは指示を待てと書いてある」

ツナ「指示…!?」

「お待たせしました。今回のリング争奪戦では我々が審判をつとめます。
我々は9代目直属のチェルベッロ機関の者です」

チェルベッロ「リング争奪戦において我々の決定は9代目の決定だと思ってください」




9代目直属のチェルベッロ機関と名乗った女たちはその証拠と言わんばかりに9代目のの死炎印つきの書類を見せてきた。




チェルベッロ「9代目はこれがファミリー全体を納得させるためのギリギリの措置だとおっしゃっております。

異存はありませんか?XANXUS様」

XANXUS「………。」

チェルベッロ「ありがとうございます」




XANXUSはチェルベッロに視線を向けるのみで何も言わなかった。
それを了承としたチェルベッロが礼を言い次の話へ移ろうとしたとき……




家光「待て異議ありだ。

チェルベッロ機関など聞いたことがないぞ。そんな連中にジャッジをまかせられるか」

チェルベッロ「異議は認められません。我々は9代目に仕えているものであり、あなたの力の及ぶ存在ではない」




家光が異議を唱えるが却下されてしまった。




チェルベッロ「本来、12種類のハーフボンゴレリングはボスの持つ1組と門外顧問の持つ1組、計2組存在し」

チェルベッロ「跡継ぎの式典の際に九代目と門外顧問の2人が認めた12名に2組のリングを合体させた完全なるボンゴレリングの状態で継承されるものなのです」

チェルベッロ「ですが、今回異例の事態となってしまいました」

チェルベッロ「霙の守護者は現時点でヴァリアー側に存在しないので配られていませんが、2人がふさわしいと考える11名が食い違い、それぞれが違う人物に一方だけを配ったのです」

チェルベッロ「すなわち、9代目が後継者と認めたXANXUS様率いる11名と家光氏が後継者と認めた綱吉氏率いる11名です。

そこで真にリングにふさわしいのはどちらなのか命をかけて証明してもらいます。
場所は深夜の並盛中学校」

チェルベッロ「詳しくは追って説明いたします」

ツナ「え!?並中でやんの!!?」

チェルベッロ「それでは明晩11時並盛中でお待ちしています」

チェルベッロ「さようなら」




     *     *     *



芽埜たちに必要最低限を教え去って行ったチェルベッロ。
あの後鈴音たちは戦えるならばとリングを持ち帰り、ヴァリアーはこちらをひと睨みすると帰っていった。

それか芽埜は自分の家ではなく沢田家に帰り、寝たのだ。


これから情報収集に向かった家光に合流するといった東眞と別れ、ツナの部屋へと向かうと……




芽埜「おはよ、つなよ……って、どうしたの?」

ツナ「芽埜〜〜〜!…お、おれ……こ……殺される…。あんなヤバイ相手なんて聞いてないよ!ありゃ普通の人間の目じゃなかったぞ」

芽埜「あー…うん、あれは怖かったね。ヤバかったよ…」

リボーン「な、やべーよな」

ツナ「な、じゃないだろ〜〜!?そもそもなんで俺が後継者争いしなくちゃなんないだよ!!?」




ベットの上でがたがた震えるツナにそっと隣に寄り添えば、布団の下で手を握られる。
なんだか震えが伝わって来るような気がして緩く力を入れればぎゅうっと力強く握り返された。




リボーン「そんなの俺が聞きてーぞ」

芽埜・ツナ「!?」

リボーン「俺の知る九代目はこんな血迷った戦いをさせる奴じゃねえ。おかしくなっちまったとしか考えられねーな」

ツナ「な…?なんだよそれ…」

リボーン「どーしちまったんだろうな」

ツナ「え?

だいたい父さんも父さんだよ!なんであの人達にリングをあげなかったんだよ!?
XANXUS達にあげればこんなことには……!!」

リボーン「それはちげーぞ。遅かれ早かれお前達は殺されてた。

XANXUSはぬかりのない男だ」

ツナ「そ…そんなぁっ。

あーもーなんでこんなことに〜〜〜!!もう無理!!修業なんて無駄だよ!やりたくないよ!!」

リボーン「そーか…学校には行けよ」

ツナ「え…?」




あっさりと修行中止を認めたリボーンを呆然と見送ってから、ツナは制服に着替え学校へ向かった。
芽埜は土曜日の参観日と振り替えで休日になったと翔樹からメールを貰ったため、ツナを追う。




ツナ「まだ震えが止まらない…。逃げ出したいよ。逃げてみよっかな…」

芽埜「綱吉…」




家を出てからずっと繋いでいたツナの手を握り締める。
こんな時にかける言葉が全く出てこないのがとても歯がゆい。


実を言うと芽埜も一杯一杯で傍にいることしか出来ないのだ。




「ツナ!」

ツナ「!、や……山本っ」

山本「さすがに昨日は眠れなくてな。落ちつかねーから学校行こうと思ってさ」

ツナ「(やっぱり山本も緊張してるんだ……)」




山本の不安そうな顔をみてそう思うが芽埜は違和感を覚える。
怖がってそういう顔になっているのではないのではないか?と。




山本「いや―――ワクワクすんなーっ!!」

ツナ「Σなっ(精神構造がちがーう!!!)」

芽埜「(やっぱり――!!!)」




芽埜の予感は的中した。
山本は笑っていたのだ。




山本「大丈夫だって…」

ツナ「え?」

山本「最初は俺、自分があのロン毛に勝つことしか考えてなくてさ。未だに状況もよく分かってねーしな。
でもみんなが揃った時思ったんだ。



<俺>じゃなくて<俺達>の戦いだって…。



1人じゃねーんだぜツナ。みんなで勝とーぜ」

ツナ「や……山本……」

「ったりめーだ!!あんな奴らにボンゴレをまかせられるか!」

ツナ「獄寺くん!!!」

獄寺「相手が誰だろうが蹴散らしてやりますよ!勝つのは<俺達>です。まかせてください十代目!!」

ツナ「(またいつものパターンだ〜〜〜!!2人の根拠のない盛り上がりに巻き込まれていく〜〜っ。


でも…、

2人にそう言われると何とかなるような気がしてくるから不思議だよな)」




いつもと変わらない獄寺と山本とあって、震えの止まったツナの手。
握っているからこそ分かるその違いに、芽埜は良かった…と胸をなでおろした。

それに気づいたツナはそっと手を離して自分の手を見る。



ツナ<芽埜に心配かけちゃったかな…?>

芽埜「?、大丈夫だよ、綱吉」

ツナ「へ?」

芽埜「え?今何か言わなかった??」

ツナ「俺何も言ってないよ?」




その言葉に芽埜が首をかしげた。
確かにツナの声が聞こえてきたと思ったのだ。




山本「ん?獄寺なんだこれ?紙ヒコーキ?」

獄寺「なっ!おいコラ開けんなっ」

ツナ「こんなたくさんの紙ヒコーキどーすんの?」

獄寺「修業に使うんスよ。


実はまだ完成してなくて…今から山に行くんス」

ツナ「(紙ヒコーキで修業してんの――――!!?)」

獄寺「にしても霧のリングの奴は何してんスかねー。この大事な時に顔も見せずに!!」

山本「どんな奴だろーな」

獄寺「アホ牛よりまともな奴であることを願うばかりだぜ…」

ツナ「た…確かに…」




そんな時芽埜の視界に映る口元に指を立てている1人の人物がいた。
そろ〜っと後ろからツナに近づいていくと……




 ガシッ




ツナ「Σうわっ!?

って琉輝さんっ!?
(わ―――っ、昨日の今日で何か会えて嬉しい!)」




ツナの肩に腕を回した琉輝が獄寺の箱の中を覗き込んで怪訝な顔をする。
どこから話を聞いていたのか知らないが紙飛行機を持ち上げて何すんの?と聞いていることからしてついさっき来たのだろう。




琉輝「っつか、霧とかって何だ?俺、中途半端に話理解してるからよく分かんねーんだけど」

ツナ「え、えーと…それは…ですね…」




ツナは琉輝に説明をする。
ボンゴレリングというボンゴレの家宝のこと、守護者のこと、リングに刻まれた天候のこと。
ヴァリアーと戦うことになったのは昨日その場にいたのだから分かっているだろう。




琉輝「そういうことか。



……ごめん、さっぱり理解できねー」

ツナ「(いま理解してたっぽいですよね――!!?)」

琉輝「まーとりあえず、アレだろ?戦って勝てばいいんだろ?


お、そーだ。俺がお前にお守りをやるよ、綱吉!

ご利益ねーと思うけど」

ツナ「ないんですか!!?」




そういって、琉輝は一番シンプルなリングを指からとって持ち合わせていたチェーンに通すとツナに手渡す。
その瞬間ツナは琉輝の手首を掴むとじーっと一部分を見つめ出した。
琉輝はといえばなぜかドキドキしていて落ち着かない様子だ。




琉輝「…な、何だよ…?」

ツナ「…これ……」

山本「これ月って感じなのな!」

ツナ「言われてみれば…」

獄寺「じゃあ、コイツが月で姉の方が雪っすかね?」

ツナ「そ、そうゆうことに…なるよね」



芽埜が夜で、瑠香が星。
琉輝が月で、霙が配られてないとなれば鈴音が必然的に雪となる。


ツナと芽埜は昨晩のシャランのドレスの状態を思い出して顔をさっと青くした。




琉輝「俺は<月>の守護者ってことだな。おっけー、おっけー。じゃあ月戦になったら呼んでくれな!

俺もう行くわ。それ聞きに来たついでに鈴音にパシ……お使い、頼まれてたし、は…ハハ、ハハハ」

ツナ「(またパシリになっちゃったんですね…!!)


って、待って、琉輝さん!ちょっ、待ってくださいってば――!」

琉輝「何だよ…」

ツナ「ちょ、ちょっと待っててください!!」

琉輝「はあ?」




ガリガリと素早くメモ帳に何かを書いたツナが琉輝にそれを差し出す。
どうやらメールアドレスのようだ。




ツナ「その、琉輝さん携帯の存在とか……忘れてませんか?」

琉輝「………あ、そっか。携帯で聞けば鈴音になにか頼まれることもなかったんじゃ…。


っ俺のバカ…!!」

ツナ「(苦笑」

琉輝「んで…これなに?」

ツナ「俺のメアドですけど……メールの使い方、わかりますよね?」

琉輝「鈴音とはやるぜ?ほら」




携帯を取り出し見せてきた琉輝。
だが画面は平仮名一色だ。




芽埜「変換機能が意味をなしてない?!」

ツナ「俺でも漢字使いますよ?!」

琉輝「意味が伝わればいいんだよ!


とりあえず、これが綱吉のメアドな?了解。登録しとけば、いいんだよな?」

ツナ「あ、あと!今夜11時、並中に来てくださいね!」

琉輝「今夜あ?……ちょっと待て」




ガサゴソとカバンを探り、取り出したオレンジの手帳。
普段の琉輝からは想像もできないそれに芽埜とツナは驚く。




芽埜・ツナ「(Σ可愛らしいの出てきた―――!!!!)」

琉輝「…今夜、11時な」

ツナ「き、来てくれるんですか?」

琉輝「気が向いたら…?」

ツナ「あ、そ、そーですか…」



来てくれるのだと思っていたツナはそれを聞いて落胆する。




琉輝「じゃな、綱吉。早く行って帰らねーと鈴音に怒鳴られちまうからさ!」




そう言って琉輝は走り去っていった。




     *     *     *



ところ変わって並中屋上。
そこでは雲雀とディーノが修行をしていた。
破壊された壁、滴り落ちる血。




瑠香「治療しますからいい加減やめてくださいよ〜〜!!!」




2人は傷だらけの血まみれだった。




     *     *     *




ツナ「みんな!」

芽埜「綱吉!」

山本「よお!」

了平「オス」

獄寺「十代目!…霧のヤツはまだ姿を現しません」

ツナ「琉輝さんも…来てない…?」

獄寺「は 「はいじゃねーよ、タコ」 Σんなっ!?」

琉輝「鈴音も無理やり引きずってきたぜ」

鈴音「………。」

亞琉「不機嫌な顔もお可愛らしいです、主様…(きらきら」

琉輝「変態もついてきたけどな。


で、敵は?いねーじゃん」

「とっくにスタンバイしてますよ」




その声に上を見上げればヴァリアーがいた。
その隣にはチェルベッロの姿もある。




決戦




チェルベッロ「厳正なる協議の結果」

チェルベッロ「今宵のリング争奪戦の対戦カードが決まりました」

チェルベッロ「第一戦は…


―――晴の守護者同士の対決です。」




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