黒曜の事件から1ヶ月ちょっと。
事件終結直後は黒曜生はとても警戒されていて、並盛に入るだけでも風紀委員の目が大変きつかった。
だが1ヶ月ちょっとも過ぎれば監視?の目もだいぶ緩くなるわけで……




琉輝「やーっと自由だぜ、ちくしょう」

鈴音「それだけ僕らのやったことが大きな事件だったってことでしょ」

琉輝「そうかもしんねーけどさぁ……」




2人は一度雲雀と遭遇し追いかけられたことがあるのだ。
あれが今では少しトラウマとなり、並盛に悪印象しかない。

そんな2人が久しぶりに並盛に行こうと思ったのは、以前から美味しいと思っていたケーキショップに行こうと思ったからだった。
お金も骸が報酬?として多少残して行ってくれたらしく、前に比べれば余裕がある。





「ぅ………ぁああん!」

鈴音・琉輝「?」




その矢先、誰かの泣き声が聞こえた。

面倒に思いながらも放っておけない。
子供にだいぶ弱い鈴音と姉御肌な性格を持つ##NAEM4##は、泣き声のほうへ歩いてゆく。
すると……




「ツナー!!!ママンー!!!イーピンー!!!」




牛柄の格好をしたアフロの小さな子供を見つけた。
どうやら迷子らしい。




琉輝「大丈夫か?」

「ぐす…っ、お前ら…誰?」

鈴音「鈴音」

琉輝「琉輝だぜ」

「ふーん。じゃあ、お前ら今日からランボさんの部下だもんね!!」

鈴音「は?

(今、この子供なんて言った?
僕が部下?)

ふふふ」

琉輝「Σ鈴音!?」

ランボ「Σぴゃっ!!」

鈴音「部下はあんたでしょ?(黒」




過去の人間性はカケラも見当たらない黒い笑み。
あの頃の性格からすればだいぶ歪んでいる。




ランボ「ぐすっ…分かったもんね…!」

鈴音「貴方は僕の第一の部下よ」

ランボ「いちばん?ランボさん一番!?」

鈴音「ええ」




部下なんて作ったのは勿論初めてだ。
それにランボは「いっちば〜ん!!」と飛び跳ね喜び始めた。




鈴音「ふふ、子供って純粋で<単純>で可愛いわよね(小声」

琉輝「おまえなぁ……」




毒を吐かれているのにもまったく気づいていない様子だった。




「ランボーっ!!!」

ランボ「フゥ太!!!」

鈴音「あら?」

フゥ太「あっ鈴音姉も!」

鈴音「そう。この子貴方のお友達なのね」

フゥ太「うん。


もうっ、勝手にどっか行っちゃダメじゃないかランボ!」

ランボ「俺っちじゃなくてフゥ太たちがはぐれたんだもんね!」

フゥ太「Σええ!?」




子供は元気なものだ。
けれど、子供だけで黒曜に来るなど何を考えてるのだろうか。
ランボはまだしもフゥ太は骸の一件で黒曜がどれほど危険な場所か分かっているはずなのに。




鈴音「送ってあげるから家に帰りましょうか」




何処の不良に絡まれるか分かったものではない。
そう思った鈴音はそう提案する。




フゥ太「ホント!?僕、話したい事一杯あったんだぁ!」

ランボ「ランボさんも鈴音と琉輝と一杯話したい!!」

鈴音「そう。さ、行きましょうか」




鈴音はフゥ太と手を繋ぎ、琉輝がランボを抱き上げる。
色々な話をしていれば黒曜との境に差し掛かった。
並盛と言えば……




「ランボ!フゥ太!それに…ヒイッ!!!」



骸の<標的>であったツナのいる町である。


ツナが自分を見て脅える様子を見せたことに鈴音が溜息を吐き出す。
するとどこからか「退いてください十代目!!!」という声が響き、同時にヒュルル…という何かが落ちてくる音も聞こえた。




琉輝「鈴音!!!」




―――ドガァアンッ!!!




ランボ「Σぐっぴゃあ!!!


ア、アホ寺〜〜っ!!!何するんだもんね!!!」

フゥ太「酷いよ、隼人兄!!!」




酷い目にあった。
片割れに助けてもらわなかったら今頃お陀仏だっただろう。
幾ら<雪乱舞炎>の能力が使えるようになったとはいえ、前世でもまともに扱った記憶がないのだからいきなり使えるはずもない。
つまり、本当に琉輝に感謝せねば今頃傷だらけだったかもしれないのだ。




琉輝「ったくよ…。お前ら危なさすぎ」

ツナ「琉輝さん!!」

琉輝「よっ、綱吉。

鈴音はこいつら家に帰そうとしてただけだっつーか何つーか…」

ツナ「あ、そ、そうなんだ…。何か…すみません」

##NAEM4##「いや、構わねーけど…。


ほら、もう黒曜には来んなよー。不良ばっかで危ねーから」

フゥ太「じゃあ、どうやって会えばいいの?」

琉輝「は?」




フゥ太「2人に会いたい時はどうすればいいの?」




鈴音・琉輝「!」




まさか、そんな事を言われるとは思っていなかった。
鈴音たちはどちらかといえば恐れられるほうが得意で、懐かれるのは不得手なのだ。
フゥ太の純粋な瞳にじっと見つめられると居心地が悪い。




琉輝「ええっと……」




2人に特別な連絡手段はない。
携帯は持っていないし、家の電話なんてものは黒曜センターにはひとつも置かれていない。
あの場に住むのならば、いつか設置したいとは思うには思う。
だがあの場所は電気が通っているのだろうか。




リボーン「これ使え」

鈴音・琉輝「?」




足元から声がした。
そこにはスーツを着た赤ん坊―――リボーンが立っており、両手に橙と藍色の携帯がもたれていた。
しかもご丁寧に新機種な上にスマホ。




鈴音「(Σ無理!!!貧乏人になんて物渡してるの!!?)」

琉輝「(や…やべえ!!やべえよ、ボンゴレ!!こ、こんなもん簡単に手に入れちまうなんて…!!)」

鈴音・琉輝「(ガタガタ」

ツナ「(Σ何で震えてんの―――!!??)」

鈴音「金持ち怖い…!」

琉輝「携帯怖い…!」

リボーン「ボンゴレから支給してやるから借りとけ」




無理矢理ポケットに携帯を突っ込まれた。
まるで、お前ら強制入ファミリー、と言わんばかりに。




リボーン「ツナと獄寺と山本とツナの家と芽埜と瑠香と了平と雲雀と俺の番号が入ってるからな」

琉輝・ツナ「Σ何で―――!!??」

獄寺「俺のもっスか!?」



スマホには明らかに必要なさそうな人の番号も入っていた。
プライバシーも何もない。




―――で、結局借りてきてしまったわけだが。




琉輝「マジで入ってる…」

鈴音「どうやって手に入れたのかしら?」




気になる。



琉輝「つーか雲雀とか絶対使わねーだろ!!!


うわあ…これでかかってきたら…。」




――― 〜♪




<着信:雲雀恭弥>




かかってきた。
しかも向こうから。
言ってる傍から、というヤツである。



琉輝「も、もしもし…?」

雲雀《かけてきたら咬み殺すから》




―――ブツッ




琉輝「…じゃあかけてくんな―――!!!!!」




黒曜と携帯



記念すべき着信第一号は雲雀だったとか、そんなバカな。



因みにこの後雲雀の電話番号が<とある脅し>に使われることになるのだが、それはまた別の話。




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