継承式より3日がたった。 その間に行われた了平と紅葉、ランボとらうじの戦い。 どちらもお互いに傷ついて被害を出していた。 ジュリー「グッモーニン♪らうじやられたってー?」 アーデルハイト「ジュリー!!何だその態度は!!」 炎真「…らうじはよく戦ってくれた…」 その頃シモンのアジトがある木々に隠れた建物の中では1室に守護者が揃っていた。 そこにジュリーが現れアーデルハイトたちの反感を買うような言葉を言ったのだ。 ジュリー「ワリーワリー、気ー悪くすんなって。しっかし復讐者の持ってくる初代たちの過去、ウソくせーよなあ」 知花・炎真「…、…」 ジュリー「(やっぱ動揺しまくりだな……。仲間がやられたことと過去の記憶のWパンチだからな…) まっ、とはいえこっちの残りは精鋭でボンゴレはたったの6人だ。俺ちんの出番はねーっしょ♪ クロームちゃんは身も心も俺ちんの元になっちゃうし。ヌフフフッ」 諧・アーデルハイト「汚らわしい!!」 ジュリー「そーだ、薫、爽。お前らももう戦わなくていいんじゃね?」 爽・薫「!!」 ジュリー「継承式前に山本武と満樹瑠香にトドメ刺しちまってるから不戦勝つってな♪」 その言葉を受け薫は静かにジュリーを睨みつけ、爽は唇を強く噛み締めた。 アーデルハイト「あれから ジュリー「ないない。昨日の今日だぜ、奴さんまだ寝てんじゃね?」 アーデルハイトにそう返したジュリーは炎真と知花をモーニングコーヒーに誘い無理やり連れ出す。 離れた部屋に連れ出すとコーヒーを出し席に着く。 ジュリー「本当言うとさっき 炎真と知花は強く反応する。 ゆらゆらと揺れる瞳に気づいているのか気づいていないのかジュリーは話を続ける。 ジュリー「やったのはボンゴレ門外顧問機関…通称CEDEFっつってな、表向きは独立組織だがボンゴレの息のかかった秘密機関と考えていい。 んでもってたまげたのはそこで指揮を執る最高責任者と副責任者だ。この男たちな」 知花・炎真「……?」 ジュリー「沢田家光と紀本東眞。沢田綱吉と紀本芽埜の親父達だ」 その言葉に炎真と知花は差し出された写真を受け取り見つめる。 瞳は激情に揺れており、写真を握り締める手に強い力が込められた。 ジュリーはふたりを見てにんまりと笑むと更に話を続ける。 ジュリー「過去の記憶じゃ初代シモンたちは相当ボンゴレT世たちを買いかぶっていたようだがそれが元でまんまとハメられ最後は八つ裂きだぜ。 アレを見るといかにボンゴレT世がずる賢い男かよーくわかる。 徹底的にボンゴレを叩こうぜ!じゃねーと指紋に明日はねえ」 ゆっくりとうなずいた2人の表情は俯いており伺えない。 ジュリーは未だににんまりと笑みを湛えており、その瞳は何を考えているのか全く読めなかった。 * * * リボーン「それにしても驚くことばかりだな。まさかこれほどボンゴレファミリーとシモンファミリーに強いつながりがあったとはな」 ツナ「うん…。しかも初代シモンのボスは知れば知るほどいい人だ…。なのになぜこんないがみあいに………」 芽埜「ユメさんだってそうだよ。全然悪い人には見えないし、寧ろとてもいい人に見える。どうしてこんなことになったのか……」 獄寺「俺も考えていたところです。あのボンゴレT世たちと初代シモンが裏切りの関係になるなんて考えられない。 …って、てめーっ!何ゴソゴソ人のカバン探ってやがる!!」 ランボ「あっ!!ランボさん別に飴ちゃん………Σはっ」 獄寺「ブドウの飴玉盗もうとしてやがったな!!」 ランボ「ランボさん寝ました。ざんねんまた明日(あちた)〜」 その態度にキレた獄寺がランボに掴みかかり喧嘩が始まる。 あの後なんとかあの場を抜け出したツナ達は道のりに沿って次の場所へと移動中だった。 ツナ「大人ランボの言ってたこと、本当だったのかな…?」 リボーン「心の奥の奥の奥底で0.1%くらい思ってるかもな…」 芽埜・琉輝「Σ少なっ!!」 そうこうしている内にランボは獄寺によって縛り上げられ携帯に便利な形にされていた。 普通であれば幼児虐待で訴えられかねない事態だが酷いとは思えど助けるものは誰もいなかった。 再び歩き続けること30分ほど。 一行は開けた場所へと出た。 芽埜「うっ!頭が!」 獄寺「奇襲か!?」 芽埜「もう射撃場なんて見たくない…!」 獄寺「……あ?」 芽埜の視線の先には射撃の的のようなものが存在しており、彼女はそれからものすごい速さで目をそらす。 10年後の修行で諒に散々扱かれトラウマと化しているのだ。 と、そこに。 「………………。」 琉輝「!! お前は……諧っ!!!」 殺気満々にツナ達を睨みつける諧が現れた。 その手には本と杖が持たれており、他のシモンメンバーとは違い武装はほとんどされていなかった。 だが瞳からはシモンメンバーの抱えるようなボンゴレへの憎しみが伝わって……、否、諧はボンゴレなどどうだってよかった。 ただ、彼がボンゴレを憎み恨んでいるから協力しようと思っただけ。 諧「(ボンゴレなんて、興味なかった。どうだってよかった。この世に存在する全てがどうだってよかった。 この世に存在するものに長続きするものなんて多くはない。私はそれを知っている。ボンゴレだっていつか終わってしまうって思ってた。 だからどうだってよかった。 でも、彼は―――紅葉は違うから。) 貴方たちは許さない。私から、紅葉を奪った貴方たちだけは。」 琉輝「………?」 紅葉が全てだった。 諧の世界は矛盾した名を持つただひとりの青年だけだった。 シモンファミリーだって親が仕えていたからその後継として継いだだけ。 ―――否、やはりそこには紅葉がいるからという思いのほうが強かったかもしれない。 彼女はいつだって紅葉の傍にいることを望んだ。 ボクシングの事だってそう大した興味はなかったけれど紅葉が部に入るといったからルールからなにまで全て勉強し覚えた。 勉強だってそう好きではなかったけれど紅葉に教えることができるから、誰よりも紅葉にその点で頼ってもらえるから必死になって覚えただけ。 いつだって諧の思考は紅葉と繋がっている。 紅葉がいて、ようやっとこの世界に生きていると思える。 なのに、ボンゴレは。 諧「許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。 私から紅葉を奪っておいて許されるわけがない。これは大罪。どれほど非道いことをして惨殺したってこの気持ちは晴れない…!! 許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。許さない。 許すものか!!!!!」 諧の瞳が激情に染まる。 琉輝はそれを見てなんだか少しホッとしていた。 琉輝「良かったよ、諧」 諧「………?」 琉輝「お前が薄情じゃないやつで。なら、俺のこの気持ちだってわかってもらえるだろ……?」 ビリッと諧の肌を殺気が撫でる。 痛いとは感じないがそれでも鋭いものに違いはない。 琉輝「お前らだって奪ってるよ。俺の……綱吉の大事なもの。」 ツナ「!」 琉輝「それを棚に上げてんなよ。」 諧「………ああ、そうね。でも貴女にこの気持ちは絶対にわからないみたい。」 琉輝「そうかよ。」 諧「……それじゃあお互いに誇りを提示してさっさと勝負を始めましょう。ボンゴレたちに鉄槌を下すのは、その後でいい」 琉輝「ここは俺が行く、いいよな?」 ツナ「え、あっ…」 反対されたって出るつもりなのはわかっていた。 ツナは対して反対もせずに前に出ていく琉輝を見送る。 諧「私の誇りは<大事な人のためなら命を捨てられること>!!そのためならこんな命惜しくはない!!」 琉輝「……ああ、そうか……やっぱりな」 諧「…?」 琉輝「昔の俺ならきっとお前と同じこと言ってたよ。こんな命どうだっていい―――って。 でも、今の俺は言えない。言いたくない。だってそれは………いや、やっぱいいや。 俺の誇りは……そうだな、<守るために命を守る>だ」 諧「? 意味がわからないけれど、それならいい対戦方法がある。私は貴女に勝つために命だって晒す。貴女はそれを守り通せばいいだけ」 琉輝「肝心の対戦方法は?」 諧「<射的>。」 守るために何をとる。 芽埜「しゃ、射的って…」 リボーン「銃で競う気か?」 諧「勘違いしないでね、琉輝。これは命をかけたデスマッチ。的は私の心臓と貴方の心臓」 ツナ「…!!?」 諧「守るために命を<取った>貴方と守るために命を<捨てた>私。」 琉輝「ん。………オッケー。ビシッと負かしてやるから覚悟しろよ、諧」 諧「万が一にもそれはない」 戻る |