白蘭「そうそう。バトルを始める前に公平にジャッジする審判を紹介しないとね」




「我々にお任せを!」




全てのチョイスが終わったツナ達に待つのは戦いのみ……と思っていたら審判紹介が始まった。
その直後に任せろと現れたのはリング戦のときから見慣れている……




ツナ「チェルベッロ!!」




…チェルベッロの姿だった。




リボーン「正一の話じゃ、いつの間にかミルフィオーレにいたらしいな。一体お前ら何者だ?」

チェルベッロ「我々はミルフィオーレチェルベッロ機関」

チェルベッロ「それ以外の何者でもありません」




詳しい事は何も話さないチェルベッロはまるでロボか何かのように無表情で事務的だ。




獄寺「ざけんな!!どの道敵の息のかかった審判じゃねーか!」

白蘭「この娘(こ)たちは公平だよ。それだけが取り柄なんだから。

それよりズルをしてるのは君達じゃないのかい?」

ツナ「!?」

桔梗「99.99%の殺気を消しているのは見事としか言い様がありませんが、僅かに0.01%、あなた方の基地(ベース)ユニットから人の気配を2つ感じます」




基地の方を見る白蘭と桔梗。
チッという舌打ちと共に現れたのはヴァリアーの2人だった。




ツナ「スクアーロとアイスいたの――!?」

山本「なんだよ!来てたのかよ!!」




山本の家庭教師を担当したスクアーロとアイスは「紛れ込んで暴れてやろうとしてただけだ」と答えた。
らしいといえばらしいのだろうが、何とも言えず芽埜は苦笑気味。




白蘭「立体映像(ホログラム)の君もだ、リボーン」

リボーン「!」

白蘭「ここはノン・トゥリニセッテもデス・シエロもないから本体が基地ユニットから出ても大丈夫だよ」




気が利くなと笑ったリボーンに白蘭も笑い返した。




リボーン「気が利くついでにうちの守護者も返してもらえるか?参加者なんでな」

白蘭「あ、すっかり忘れてたや♪」

リボーン「そのまま鈴音を返さねーつもりだったんじゃねーだろうな?」

白蘭「そんなワケないじゃない。ちょっと待っててね」




そういった白蘭が無線で連絡を取る。
すると1分ほどした後に鈴音がやってきた。




鈴音「何?貴女、僕に<君はここにいてね♪>―――って言って基地ユニットに置いていったじゃない。何か用?」

白蘭「芽埜チャンが雪を引き当てちゃってさ。君はボンゴレ側で戦ってもらうことになったよ」

鈴音「…………つまり、ミルフィオーレ側と内通してボンゴレを負けさせることもできるってことじゃない。
そんな僕をあの忠犬たちが信用すると思っているの?白蘭」

白蘭「さあ?でも自分たちのボスである綱吉クンや芽埜チャンに説得されたら彼らは嫌でも従うと思うよ?


でも、信用されなくてもボンゴレ側で雪として戦ってボクの守護者に勝てる人間はいないと思うけど」

芽埜・ツナ「!!」

白蘭「それにもし鈴音チャンを使わなかったとしても雪として戦えるのは御門クンだけだろ?その御門クンだって……鈴音チャンに通じている人間だよ?」

芽埜「あ……」

白蘭「<どっちをとっても一緒かも知れない>―――なーんて疑心を抱きながら君たちは戦うことになるのさ♪」

リリア「貴女方は戦いの前になんてことをおっしゃいますの…!!??」

鈴音「危険性を教えてあげただけよ。
それに、この間も言ったじゃない?貴女たちは一枚岩ではないしすべてが一致団結したと思わないほうがいい…って」




ツナ達を拒絶するように鈴音が言葉を吐いて笑う。
白蘭はそれを見てにこっと笑うと鈴音の頭を撫でた。




チェルベッロ「では参加戦士(メンバー)は基地(ベース)ユニットにお入りください。フィールド内のランダムな位置へ転送します。
参加戦士以外の皆様には各ファミリーそれぞれフィールド内に観覧席を用意しましたので、そちらへ」

チェルベッロ「観覧席から参加者への通信は禁止です。観覧席へは各所に設置されたカメラからの映像と我々の声と味方の音声しか入りませんのであしからず。
なお、観覧席は完全防壁で出来ており、観覧席への攻撃は反則とし、負けとなります」




事務的に説明を言い渡してくるチェルベッロ。
その指示に従い観覧席へと向かうことになり、戦闘は3分後に開始になるようだ。




ツナ「それじゃあ行ってくるね」

琉輝「綱吉!」

ツナ「?」

琉輝「頑張れ」

ツナ「!
はいっ」




     *     *     *




ボンゴレ側の基地ユニットの中には険悪な空気が流れていた。
獄寺が鈴音を睨みつけ、ツナが気遣わしげに鈴音を見つめている。
亞琉は1人、鈴音へと近寄る。




亞琉「主様、よくぞお帰りに……(鈴音「馬鹿言わないで」…え…?」

鈴音「ここに戻ってきたのは貴女たちが不甲斐なくて頼りなくて弱いからよ」

鈴音除く「!!」

鈴音「僕に頼ってこないで。自分たちで何とかして。……………全ては貴女達次第よ」




そう言って基地内で1人離れた場所へ行く鈴音に声をかける者は誰もいなかった。




スパナ「マップが送られてきた。どうやらここは南東の地点らしい」

正一「そうか……、悪くないな…」

ツナ「入江くん大丈夫?」

正一「ああ、心配ない。それより僕らが作った基地はどうだい?」

ツナ「立派でびっくりです!よくこれだけの(チェルベッロ《3分立ちました》!」




チェルベッロ《それでは……



―――チョイスバトルスタート!!》




     *     *     *




ミルフィオーレ基地。




デイジー「なんか落ち着かないな…明るい所でじっとしてるの…」

桔梗「デイジーは我々が守るべき<キング>なのですから、そこでのんびり待っていればいいのですよ」

ルオ「そうだよ!!!」

猿「入江正一の<標的の炎>をレーダーがキャッチしましたぞ。ボンゴレの基地ユニットの位置もここかと思われます」




猿から報告を受けたルオたちは、桔梗が飛んでいく為その後を追った。




     *     *     *




その頃ボンゴレ基地では鈴音を除いた全員で円陣が組まれていた。
おおっ、という大声を出したツナ達の表情は各々違う。




正一「ところで作戦だが……、敵の位置はお互いに炎レーダーでしか把握できないんだ。
そこで僕とスパナは基地(ここ)でデータを分析して指示を出すので君達には攻守に分かれて戦ってほしい。
戦闘スタイルから獄寺くんと如月くんはディフェンス。綱吉くんと山本くんはオフェンスがいいと思う。


鈴音さんは……」

鈴音「勝手にやらせてもらうわ。貴方の指示に従うと思う?」

獄寺「てめーなぁ!!」

鈴音「さっきも言ったわ。<頼ってくるな、自分たちでなんとかしろ>―――って。
貴女たちが勝てば何の問題もないでしょう?」




そう言って鈴音は外に出ていった。

微妙な雰囲気を残すが、正一の「切り替えていこう!!」という言葉に全員が違う部屋へと入っていく。
小さな個室の中には移動専用に作られたバイクが置いてある。




正一《いいかいみんな。この地形は遮蔽物が多いだけに<敵の位置と動きをいかに早く掴むか>。
そこが勝敗を分ける!!》




     *     *     *




画面の中でツナたちがバイクに乗って4方向へと進んでゆく。




京子「すごーい!!みんなバイクに乗ってる!!」

ハル「イメージしてたマフィアの戦いと違います!!」

瑠香「(ええ、誰もこんなマフィア想像しないでしょうね…!!
っていうか、いくらこっちでは+10されるからってこれは普通に交通違反ですよ!!!)」




ディーノ「2サイクルエンジンだろ?電気バイク並に静かだな」

ジャンニーニ「私の発明した超高性能サイレンサーですよ」




スピードはあるのに音は殆どしない。
何でも炎も金属反応も感知されない優れものだとか。




フゥ太「鈴音姉は、どこにいったのかな?」

芽埜「わかんない。……でもバイクには乗れないはずだし、どうしてるんだろ……」




     *     *     *




スパナ《炎の成分分析完了》

正一《よし、データを囮(デコイ)に送信する》

スパナ《データ受信確認。囮への反映スタート》

正一《よし。上部発射口オープン》




正一が基地から炎の入った囮を飛ばした。




     *     *     *




猿「入江正一の標的の炎が複数に増え、散っていきます。おそらく囮かと」

桔梗「ハハンッ。裏切り者とはいえ、白蘭様とチョイスを作った男、入江正一。
どうやら脳ミソはついているようですね」




レーダーで居場所が分かってしまう故に囮を作り出した正一。
真11弔花の4人+猿は全て消すために全員が全員別れて破壊を行うために散った。




     *     *     *




スパナ《レーダーに敵を確認。5方向に散った》

正一《やはりしらみつぶしするつもりだな。よし、獄寺くんはその地点で待機!
如月くんはそのまままっすぐ進んで5ブロック先の交差点で右折し、3ブロック先で停止だ》




正一とスパナ、ジャンニーニが基地ユニットなどの機械類を完成させていく中、朱音と瑞樹は一緒にある程度対策法を考えていた。
それを正一に伝えれば正一なりの判断で使ってくれている。
それがわかった朱音は小さくにこりと微笑んだ。




バトルスタート!!




正一《山本くんは1ブロック先を左折し、3ブロック先の交差点まで行ってくれ。迎撃パターンBだ。綱吉くんは速度維持で前進!!》




正一の指示通りに動いていく画面のツナ達。




バジル「入江殿にはまるで現場の映像が見えているかのようです」

ディーノ「伊達にメローネ基地の指揮官だったわけじゃないな」

リボーン「やる時はやる男だぞ。正一は。
そして、忙しい正一たちの変わりに朱音と瑞樹が一緒になっていろんなパターンを考えたんだよな」

朱音「うん♪チョイスはよく知ってるからいろいろなパターンに合わせて色々な対策を練ったんだ」

瑞樹「囮装置は…、うちが作ったヤツ…」




現場にいなくても的確な判断を出せ、いざと言うときは頼りになる。
正一は、そんな男だと昔から…生まれたときからずっと一緒にいる朱音にはわかる。
だからこそ今まで朱音は彼に付き添ってきて、彼を守り続けてきたのだ。


そんな時画面に映った敵の霧の守護者、トリカブトは手の平の中に埋まってリングから炎を放射し、攻撃した。
勿論、その攻撃は直撃。


だがそれは……




ツナ「遅い」




…ダミーの人形だった。




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