倒れてしまったバジルをアジト内へ連れてゆき、京子たちの作ってくれたご飯を与える。
するとバジルはもぐもぐパクパクと次々平らげていく。
リリアはその横で上品に一品一品口に運んでいた。




ツナ「バジルくん…よく食べる」

獄寺「あいつちっこいくせにマンプクキャラだったんすね…」

了平「見ていたら極限に俺も腹へってきたぞ」

山本「食ったばっかじゃないっスか!!」

芽埜「リリアちゃんお上品…」

琉輝「元お嬢様の俺より上品。やべえ、負けてる」




各々が感想を漏らす中2人はふーっと息を吐くと同時に手を合わせる。




リリア・バジル「ごちそうさまでした」

バジル「とても美味しかったです。京子殿とハル殿にもそうお伝え下さい」

リリア「とても家庭的で良い味でした。温かいものをいただけてとても感謝しております。お二人にもどうぞお伝えください」

ツナ「きっと喜ぶよ!」

バジル「それにしても驚きました。本当に並盛の地下にこんな立派なアジトができていたなんて!」

芽埜「そういえば、何でアジトの場所知ってたの?」

バジル「ああ、それはですね…」

リリア「全てはボンゴレの勅命である死炎印のついたこの<助太刀の書>に記してありましたの」

ツナ「す…助太刀の書!?」

リリア「はい。このアジトへのルートとこの時代での戦い方が記されており、いざという時は燃えてなくなる極秘文書なのです」

バジル「拙者たちこの時代に来たのは10日前で場所はスペインだったのですが、その時パスポートと匣兵器と共に置いてありました…」




匣には<CEDEF>と書かれており、獄寺の話だと家光やラルと同じ門外顧問の組織の別名のようだ。




バジル「残念ながらここに来るまで仲間には誰にも会うことはできませんでしたが、この書と匣兵器のおかげで途中で出くわしたミルフィオーレファミリーを何とか撃退できたんです」

ツナ「え!バジルくんたち、もうミルフィオーレと戦ってるの?」

バジル「ええ!6回ほど戦闘を」

ビアンキ「つまり何者かの指示でバジルはツナ達とは別のルートで鍛えられ、ここに合流したと考えられるわね」




芽埜たちはメローネ基地で。
バジルたちは別ルートで。

つまりはそういうことだった、と。



ツナ「でも何のために…?」

ビアンキ「鈍いわね。
CEDEFは普段は外部の機関だけど、いざという時にはボンゴレを支える特別機関よ」

バジル「その通りです。<助太刀の書>はこう締めくくれていました」

リリア・バジル「若きボンゴレ達と共に白蘭を砕けと!!」




どうやら2人は白蘭を倒すための仲間のようだ。
2人は「よろしくお願いします」と言っているし間違いではない。




バジル「それと……その、改めてご紹介したいのですが」

ツナ「?」

バジル「こちらはリリシアーノ殿といって、リリアというのは略称です。
それと改めてリング戦後……その、……せっせせっ…せっ!」

ツナ「ば、バジルくん…?」

バジル「せっ……、拙者の婚約者に、なり…ました///」

ツナ「婚約者って…ええ!!?」

芽埜「あっそういうことか〜。学園祭の時なーんか怪しいって思ってたんだよね!
ふふふ、2人はお付き合いしてたんだーっ……って、婚約は早くない!?」

リリア「親方様が<お前らも頑張ったからお互いへの褒美だと思って婚約したらどうだ?>……とおっしゃられ、」

バジル「総督様が<日本の女性は貴女たちの年齢くらいで結婚していたのですから何ら問題ありません>……と仰られまして」

リリア・バジル「結局押し切られる形で婚約しました」

芽埜・ツナ「(何言ってんだあの2人!)」




改めてハチャメチャな両親に2人はガーンとショックを受けていた。




琉輝「それにしてもよ、どうして別ルートだったんだろーな?」

ツナ「そーいえば…。一体誰がこんな手のこんだこと…」

獄寺「そりゃこの時代の10代目と芽埜に決まってますよ!!」

ツナ「!、また俺たちー?」

芽埜「正直嬉しくない……」

ビアンキ「ツナ、芽埜、さっきからハルと京子がおまちかねよ。そろそろ地上へ行きましょ」

ツナ「あ…そうだね」

芽埜「ごめんなさーい」




バジルとリリアの事で忘れていた約束を思い出し立ち上がる。
2人も誘おうと声をかけたらドッ、という鈍い音が響く。




ツナ「あ…」

芽埜「バジルくんとリリアちゃん寝てるや」

獄寺「…………電池が切れたみてーに」

了平「よほど疲れていたのだな」

山本「ああ…」




     *     *     *




芽埜「ごめんね、隼人くん」

獄寺「あ?」

芽埜「自分の家にも行きたかったよね?」

獄寺「どうせ引っ越してんだからいーんだよ」

芽埜「そっか…」




地上に出たあと芽埜は獄寺と2人、家への道を歩いていた。
家は場所も変わっていなくて持っていた鍵を開けて中へ入る。

部屋の場所も何も変わってない家の中を見て芽埜は帰ってきたーという気持ちになるが、寂しくもあった。




「おかえり、芽埜♪オヤツ用意してあるからね」




いつも笑ってくれる人がいない。
帰ってきたら思い出してしまった。

泣きそうになる気持ちを抑え振り向くと獄寺に笑いかける。




芽埜「な、何か見たらすっきりしちゃった!か、帰ろ?」

獄寺「…部屋はいーのかよ」

芽埜「…あ、え、っと……」




入ってしまったら、何か、涙が溢れそうで…。
入ったら………何かが壊れてしまいそうで…。

返事をできずにいたら獄寺が芽埜の腕を引く。




獄寺「行くぞ」

芽埜「やっ、やめ…っ」




―――ガチャッ




獄寺「受け入れろ」

芽埜「!!!」

獄寺「今度は俺が…支えてやっから…//」

芽埜「っ……うん」



一通り部屋を見て回り、時間が余ったためベットに腰掛け談笑する。
ここ以外に特に行く場所が思いつかず、獄寺も引っ越しているから家にはいかないと言っていたためだった。




芽埜「っていうか、なんか恥ずかしいなぁ」

獄寺「は?」

芽埜「綱吉以外の男の子を部屋に入れたの初めてなんだよね。でも我ながら女の子らしくない部屋かも」




なにか資格を取るつもりだったらしくその参考書ばかり並び、絵本や小説など一切置かれていない。
ぬいぐるみなどもなくただ機能性ばかりを考えたような部屋。
女の子らしいといえばベットのシーツが淡い桃色だったりとその程度だ。




獄寺「つまりよ、」

芽埜「なに?」

獄寺「てめーは今まで誰ひとり付き合ったことねーって、ことだよな?」

芽埜「ん…?…うん、そういうことに…なっちゃうの、かなぁ?
誰かを好きになったのも隼人くんが初めてだし、こんな気持ちにさせたのも隼人くんだけ。
今なら少しわかるよ、お母さんの気持ち。お父さんに焦がれて待ち続ける恋する女の人の気持ち。

だって、こんなにも<トクベツ>なんだもん。こんなにも……好きって気持ちが、溢れてくるん…だもん//」

獄寺「っ、」




そう言って朱に染まった頬で獄寺の方を向いた芽埜が顔を近づけていく。
どきどきと高鳴る胸を抑え、ぐっと唇を押し付けようとしたとき……




獄寺「おせーんだよ、バカ」

芽埜「っ、」




…芽埜の体は桃色のシーツの中へと倒れ込んでいた。
そのまま口づけられて思考がとろけていく。
触れている手をそっと絡ませればそのまま握り締められて、胸中に温かい気持ちが広がっていく。




芽埜「ん、……っ……ふ、っ…あ、」

獄寺「っ……、悪ぃ芽埜。痛くねーか?」




どれほどキスをしていたのだろうか。
獄寺が上から退き、芽埜を起き上がらせる。




芽埜「んーん、平気。………で、でもね、あの」

獄寺「なんだよ?」

芽埜「…………しい……って」

獄寺「聞こえねーよ」

芽埜「も、………もっと……、くっついてたい、なぁ………って///(小声」

獄寺「〜〜〜〜っ!!///
(これで確信犯だったらこいつ、ぜってー誘ってやがる……!けど、そんな意図ねぇんだよな?


ねえんだよな!?)」




誰に問いかけているのか。
獄寺は明後日の方を向き芽埜から目をそらし続けるのだった。




     *     *     *




ハル「すいません、御門さん。ハルに付き合ってもらっちゃって」

央樹「いいえ、構いませんよ。ハルさんのためならばいつなんどきだって時間を割きますよ。ええ、喜んで」

ハル「ありがとうございます」




央樹はハルと行動を共にしていた。
ビアンキは少し用事があるため外れ、ツナは「行きたい場所がある」という琉輝についていった為だ。

ハルはツナが好きだ。
けれどツナが見ているのはどうやらハルでも京子でもない琉輝のようで。




ハル「ハル、失恋しちゃったみたいです………」

央樹「!」

ハル「ツナさんは琉輝さんとお付き合いしてるんですよね。さっき、見ちゃいました…。
手、恋人みたいに繋いでて…嬉しそうで…仲が良さそうで……。それで、それで…っ」




泣きたくはなかった。
好きな人の幸せは、祝福してあげたかった。

ぐっと唇を噛み締めてぐっと目を瞑って泣かないように我慢していたらぐっと体を引き寄せられる。
ハルが驚いていれば抱き寄せた本人、央樹はハルのことを壊れ物を扱うかのように包み込んでいく。




央樹「泣いていいんです。そういう時は泣いてすっきりしちゃえばいいんです」

ハル「みか…ど…、さん」

央樹「ねえハルさん、僕今からきっと酷いことをします。こうしたらきっとこうなるってわかってることを」

ハル「……?」

央樹「僕はハルさんが大好きです。
貴方の視線がボスに向いていても、僕は暖かくていつも元気で笑顔をくれる、そんな貴方のことが大好きです」

ハル「!!」




これは弱った心につけ込んでいるのだろう。
わかっていたけれど、央樹はやめようとしなかった。
10年後のハルに抱いた恋情を彼女に告げても仕方がないのだろうが、央樹はやめない。


ただ、知っていて欲しかった。
貴女を好きな人間がここにいるのだと、貴方を大事に想う人間がここにいるのだと。




央樹「こんな僕に心からの笑みを向けてくれた。こんな僕の心配をしてくれた。特別なことなんて何もないんです」




本当になんてことない理由だ。
自身に名前を与えてくれた鈴音は勿論のこと、その鈴音に紹介された琉輝、亞琉、クローム、諒が央樹に普通に接してくれるのも当たり前だった。
諒に紹介された京子が彼に接すのもまた、当たり前だ。

けれどそれは結局誰かの繋がりあってのことで、繋がりのない人間から屈託ない笑顔で話しかけられたことは殆どなかった。
けれど。




「っつ……。修行失敗かよ、くそ……」

「怪我してるんですか?ハル、絆創膏持ってますよ!」

「いや、(これ間に合うような傷じゃねーし、何だこいつ。ばかか?)」

「大丈夫です!いっぱい持ってますから!」

「っ、」





そういって笑ったハルに央樹は見惚れた。
自分を心配して絆創膏までくれて、その上屈託なく明るい顔で笑ってくれた。
ハルの笑顔は眩しくて、央樹はとくりと動いた胸に気づいてしまった。
淡い恋情を抱いたのだと気づいた彼は今のままではダメだと思い、荒れていた当時の自身を改め直すと亞琉を参考にして今の自分を確立させたのだ。




央樹「………なんて、酷いことを言いましたね。ごめんなさい、忘れてください。
こんなつけ込むようなことをして最低ですね。慰めても上げないでこんなことばかり……。


さあ、行きましょうかハルさん。おウチが待ってますよ」

ハル「……………っ、わ…!」

央樹「?」

ハル「忘れてなんかあげませんからっ!<央樹くん>がハルのこと好きって言ってくれたこと、絶対忘れませんからっ!!
だから、……だから、そんな悲しそうな顔しないでください…」




両手で右手を包まれた央樹の頬に涙が伝う。
彼は感情のままにハルを抱きしめて道端だということも忘れて、静かに涙を流し続けた。




央樹「(鈴音様、鈴音様。聞いてくださいますか。
僕のような存在でも、……僕のように<造られた人間>でも、好意を受け取ってくださる方がいました。
こんなにも嬉しいものなのですね。こんなにも……胸が高鳴るものなのですね、鈴音様、)」




嬉しそうに微笑みながら。




     *     *     *




琉輝「俺についてきて良かったの?」

ツナ「え?」

琉輝「俺は別に大丈夫だし、笹川妹とか三浦のケアに行ったほうがよかったんじゃねーかなー……って。
今から行くとこだって別に特別面白いわけでもないしつまらないとこだし」

ツナ「うーん。2人のことは川南さんたちに任せたほうがいいんじゃないかなって思ったからさ。
つーか琉輝こそさ、俺が来たらダメなのかよ?………来て欲しくなさそうだし」

琉輝「正直言うとそうだな、うん」

ツナ「えっ!」




冗談のつもりだったのにそう言われツナはショックを受ける。
それを見て琉輝は笑った。




琉輝「あのな、部屋でこんなん見つけたんだよ」

ツナ「鍵?」

琉輝「うん。それでさ、住所書いた紙見つけたんだよ。
こりゃ行くしかねー!って思って行ってみようかと思ってたんだけど、綱吉がついてくるとなー」

ツナ「はいはい。どうせ俺は邪魔者ですよ」

琉輝「冗談だよ。ついでに今の話もうそな。
お……ごほんごほん、」

ツナ「?」

琉輝「あ、あ…あー……、あっ、あたしが行きたいのはその、」




顔を赤くした琉輝がツナの手を振りほどき商店街の方へと走っていく。
ツナはその速度に驚きながらも後を追えば、琉輝は1人本屋へと入っていくではないか。

遅れながらもツナがその姿を捉えた時には彼女は料理本のところで真剣に本を選んでいた。




ツナ「<簡単にできる愛情料理>……?」

琉輝「うわぁ!?///」

ツナ「琉輝、料理すんの?」

琉輝「う、ううう………。あたしが料理したら、だめだってこと?」

ツナ「え!?いや、そんなことないけど。なんか意外だなーって思って」

琉輝「これでも料理は人並みに出来る。出来ないのは鈴音のほう」

ツナ「鈴音さんできないんだ……」

琉輝「あいつに包丁持たせたら最後。野菜なんか全部ミジン切りだ。


っつーか見るな!!恥ずかしいだろっ///」




そう言って本を抱き抱えた琉輝がツナを軽く睨みつける。
降参したように手を挙げたツナは「雑誌見てるから」と別のコーナーに行く。
琉輝は安心したように息を漏らすと本に目を通し始めるのだった。




     *     *     *




諒「ふぁ〜あ」

京子「私、編み物してたんだね」

諒「あー何か作るって張り切ってたな……」

京子「これ諒くんに似合いそうな色だよ。きっと諒くんにマフラーでもあんでたんじゃないかな?」

諒「………………………」

京子「どうしたの?具合でも悪い?」




急に黙り込んだ諒を京子が下から覗き込む。
その表情はどこか寂しそうで遠くを見つめていた。




京子「諒くん?」

諒「っ……!悪い。何の話だったか」

京子「どうかしたの?何かあった?」

諒「…………いや、へーき………って言いたいとこだけど重症過ぎてへーきじゃねーかも」

京子「え…!?どこか悪いの…!?」

諒「やっぱ変に拗らせたらしー。お前のこと好きすぎてやばい」

京子「っ///」

諒「……早く会いたいんだけどな…」




そう言って微笑んだ諒が京子をそっと抱きしめる。
10年前の京子だって自分が愛した10年後の京子の一部のようなものなのだ。

けれど手を出してはいけない。
今の自分は彼女が好きになってはいけない人間なのだ。
過去の人間は過去の人間をきちんとしり好きにならなければいけない。




諒「いまだけ…だからさ。いまだけこうさせて、」

京子「……っ、うん…」




わかっているのに、気持ちを抑えきれず諒は京子を強く抱きしめた。




     *     *     *



それから集合時間になり別れた十字路に集まる。

芽埜と獄寺が一番遅れてやってきて、獄寺は意を決したようにツナの前で腰を折った。




獄寺「今まで黙っててすみません、十代目。報告すべきことがあります」

ツナ「えっ、急に畏まって何…?」

獄寺「自分、あの男だけで朝飯作った前日から芽埜と交際してました。
言い訳に聞こえるかもしれませんが、修行とかで言うタイミング逃しちまって……それで今日になって、ほんとすんません!」

芽埜「いやいや!綱吉は芽埜のお父さんじゃないよ!?」




娘さんをくださいと言わんばかりの獄寺に芽埜がツッコミを入れる。

一方のツナは獄寺の話を聞き、だんだんと黒くなってきていた。
にっこりと笑うと獄寺の肩に手を添える。



ツナ「獄寺くん」

獄寺「はっ、はい!!
(今度は何をおっしゃられるのだろうか…!まさか、右腕失格……!?)」

ツナ「芽埜はね、泣き虫だし、バカだし、ドジだし、頭の良さしか取柄ないんだ」

獄寺「え?あ、はい。それは知ってます」




芽埜「(えっ?ひどくない?)」




ツナ「でもね、面倒見良くて、人一倍優しくて、傷つきやすくて、何処までも人を疑わないくらいぽけっとしてる純粋で無垢な奴なんだ」

獄寺「!
それも…分かってます」

ツナ「俺の、大好きで大事な幼馴染なんだ。だからさ、芽埜をよろしくね」

芽埜・獄寺「!!」

獄寺「っ、はい!!勿論っス!!」




にこっ、と笑ったツナに芽埜の視界が歪む。




芽埜「大好きだ―――!!!」

ツナ「うわあっ!!」

獄寺「おい、こら、芽埜!!」

ツナ「い、いいよ、獄寺くん。

ところで、獄寺くんと山本たちは自分家行ったの?」

山本「俺はチビ達と遊んでた」

獄寺「自分はどうせ引っ越してると思ったんで、芽埜と一緒に…」




そんな時、了平が突如叫び始める。




了平「いいかお前ら!!極限にファイトだ!!!」




京子や諒の話だと家に帰ってからずっとこうらしい。
諒はうるさそうに耳を押さえていた。




了平「輝かしいこの未来の為!!!愛するかもしれぬ者のため!!!
ところで、T、I、A、M、Oとは何だ!!?」

獄寺「あ?Ti amo…?」

了平「おお!!知っているのか、タコ頭!!」

獄寺「何でお前がイタリア語なんて知ってんだよ…」

了平「意味は何だ!!」

獄寺「意味…?Ti amoは確か……<君を愛している>だよな?」

ビアンキ「ええ、そうね」

了平「!!!!!」




真っ赤になった了平は「極限だ――!!!!」と叫びだす。




芽埜「どうしたんだろ…?」

獄寺「十代目…、よく考えたらいつも大体こんなんです」

ツナ「そ、そお…?」

了平「次はどこへ行くのだー!?」

ビアンキ「あなた達、他に行きたい所はないの?」




その言葉にツナ、獄寺、山本の3人はある場所の名前を言った。
だがその前に行きたいところがあるという芽埜の言葉で<とある場所>を目指していた。




芽埜「楽しみだなあ♪」




変わってるかなあ?―――と学校のグラウンドに足を踏み入れたその時……




「あ―――!!!そっ、そこの人退いて―――!!!」

全員「!!??」




…ボールが飛んできた。
ものすごい速さのそれを芽埜は片足で受け止めて蹴り返す。




「っでええ!!!」

「あかんやん…。人巻き込んでもうたやん…」

「勝手に敷地に入ってくるほうが悪いアル!!!」

「お前の土地みたいに言うな!!ついでに俺の心配は誰もしねーのかよ!!」

「しないんじゃないかな〜?」

「フン、ここらの土地はアタイのものネ!!!並盛の女王様とは私のことヨ」

「紗魅は漫画の読みすぎだ!!!
っつーか、いってえ!!誰だよぶつけたの……って、は?」

芽埜「っ、皆!!!」

「げっ、芽埜!!?」

芽埜「げってなんだ―――!!!文句あるなら言ってみろ―――!!!」

紗魅「乙女を見てげっ、とは失礼アル―――!!!」




2人の飛び蹴りが翔樹を襲う。
翔樹は1mほど吹き飛ばされた。




翔樹「ってーな!!」

芽埜・紗魅「何か文句でも?

翔樹「っだーくそ!いってねーよ、すんません!!」




即座に謝った翔樹を蘭が鼻で笑い飛ばす。
その笑みは黒く、馬鹿にしているのがまるわかりだ。




ツナ「あ…あの、芽埜?」

芽埜「あっ、ごめんね、綱吉!ちょっと翔樹くんにイラッ☆ときたから」

翔樹「イラッ☆じゃねーし!!!お前、何なの!?そんなに力強かった!!??」

芽埜「女、三日会わざれば恰目して見(彪「それちゃうやん」だよねー」

彪「それより…自分、いつ髪切ったん?結婚式、桂被らず自分の髪を結って簪挿したい言うてたんは誰や?」

山本「芽埜、そんな動機で髪伸ばしてたんだな!」

彪「結局色素薄い自分の髪で結ったところでぱっ、とせんかったから桂被っとったしなぁ」

芽埜「うるさいよ!そーだよ!芽埜の髪色お父さん譲りで素薄いよ!!
だからってバカにするなよ――!!ウェディングドレスには合うんだから――!!」




「いつ誰がバカにしたんや」とため息を吐いた彪に飛び掛ると「はい、そこまで」と蘭に首根っこを掴まれる。
それから少しだけ会話をして4人と別れた芽埜たちはツナ達3人が行きたいといったある場所へ向かと向かっていた。




「わ〜変わんないっ!!」




名桜中もそうだったのだがツナ達が行きたかった場所<並盛中>は10年何もいじられず、そこに存在していた。
中に入り何も変わってない光景に驚き、懐かしむツナたちのうしろと芽埜と琉輝が歩く。




芽埜「あははっ、芽埜たち疎外感感じちゃうねえー」

琉輝「だなっ」

芽埜「琉輝くんは黒曜中いかなくていーの?」

琉輝「行きたいのか?」

芽埜「…、全然」




リング戦の時行ったことを思い出したのか芽埜は苦笑して目をそらす。
あの時は不良に絡まれて、琉輝が助けてくれなかったらどうなっていたかわからなかったのだ。



芽埜「(また同じ目にはあいたくないんだよねぇ)」




色々と見回っているうちにツナたちの教室、2−Aにつく。
中に入った彼らは各々の席についた。




     *     *     *




〔ツナSide〕




山本「俺の席はここだったな」

京子「なつかしー!」

山本「この角度だと寝てても気づかれねーんだよな」

獄寺「俺はそんな事しなくても教師に一発ガンくれてやりゃ寝れたけどな」

芽埜「隼人くん何してんの!?先生にガンとかダメだよ!
あっ、芽埜の席、隼人くんの隣みたいだねっ」

獄寺「あ?」

芽埜「名桜での席、ここなの!隼人くんの隣の位置♪」




芽埜が笑えば琉輝たちも便乗してくる。




諒「最後に学校行ったの……すっげー前だわ。でも席はここだったな」

山本「お。俺の隣っスね」

諒「ああ」

京子「諒くんが斜め後ろかぁ。なんか楽しそう♪」

諒「授業中は基本寝てたけどな。当てられても大体答えられるし」

央樹「それは諒くんだからです。僕が学校自体通ったことないですから席はわかりませんね」

ハル「はひ、御門くんは学校に通ってないんですか?」

央樹「ええ」

琉輝「俺は綱吉の隣あたりだな」

ツナ「え!」




な、なんか嬉しいや。
学校違うし、隣の席見ても琉輝はいないってわかってるけどもし同じ学校で同じ学年だったら……。




琉輝「同級生だったら、もっと近くに感じられたんだろうな…(小声」

ツナ「!」



微かにつぶやかれた言葉。
それは俺が考えていたことと同じで「うん」と返事をすれば琉輝がかすかに微笑んで口を開く。




琉輝「まあ…まともに授業受けたこと入学して一度もねーけどなっ!」

ツナ「え゛っ」




そう言って笑う琉輝や芽埜たちが話す学校でのこと。
話が弾んで教室でしばらく談笑が続く。




ツナ「(俺、今まで…学校の事を好きだなんて思ったことなかった。
でも……。)」




教室を出て屋上へ。
ドアを開け屋上へ出ると気持ちのいい風が通り抜けてゆく。




山本「この風この風」

琉輝「黒曜の屋上は骸と鈴音が一緒お弁当食べてたな」

芽埜「まさかの六道くんと!?想像できないんですけど…」

琉輝「ハハッ、そうだよな」

ツナ「気持ちいいな…」




学校は10年経っても昔と何も変わらずに迎えてくれて…忘れていた思い出を沢山蘇らせてくれた。
こんなに楽しかったんだ、学校って。




ランボ「…ツナ」

ツナ「(またあの時に戻ったら絶対もっとかみしめよう)」




そう誓ったらなんだか空っぽだった気力が回復していくのを感じた。




ランボ「ねえねえツナ〜」

ツナ「ちょっとは大人しくしろよ〜」

ランボ「しっこでちゃった〜」

ツナ「Σんなー!!?何やってんだランボ!!」

ランボ「ウンコもでる…」

ツナ「ちょっ、まて――!!」




あははっと笑う芽埜だけど、こんなの笑い事じゃないよ!!
ランボを抱き抱えてトイレへと駆けた。




     *     *     *




ツナ達のいる向かい側の校舎。
そこには雲雀の姿があり、横にはいつの間に来たのか瑠香の姿もあった。




「あいつらいい顔してんな…………」




瑠香・雲雀「!!」

「しばらくほっといても大丈夫そうだ」




そこに第三者の声が響きバッ、とトンファーと拳を構える雲雀たち。
迎撃態勢を取った2人に第三者は静かに声をかける。




「待てって恭弥、瑠香。そう慌てなくてもみっちり鍛えてやっから」

瑠香「ディ、ディーノさん!!?」




現れたのは落ち着いた雰囲気を持つ10年後のディーノだった。




充電



雲雀「ヤダ」

ディーノ「まてっつの!!」

瑠香「雲雀先輩ストップです!!」




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