獄寺「んだ、てめーは?」

「黒曜中2年、柿本千種…。おまえを壊しにきた」

獄寺「は〜〜〜

(ったく、なんでこう毎日他校の不良に絡まれんだか。
けっこー地味に生きてんのに…)」

芽埜「…?
(知り合い??)」




芽埜は千種のことを獄寺の知り合いだと勘違いしている。

だが千種は獄寺に勝負を挑んできたのだ。
決して知り合いなどではない。




獄寺「わーった、きやがれ。売られたケンカは買う主義だ」

芽埜「Σえぇっ!?嘘ー!?

(ケンカするの〜〜〜!?)」




芽埜が「止めなければ」と慌てていれば2人の人がケンカを見ようとしていた。
だが千種の一撃によって倒されてしまう。
マフィアでもなんでもない芽埜にその攻撃が捉えられるはずもなく、何が起きているのかさっぱり分からない。




獄寺「Σなっ!!て、てめー何しやがった!!」




獄寺にすら分かっていないものが芽埜に分かるはずもないが。




千種「いそぐよ…めんどい」

獄寺「ゾクッ)…!!


紀本っ!!!お前だけでも逃げやがれ!」 




獄寺は後ろへ走り出し、千種はそれを追う。
次の瞬間千種の上にはたくさんのダイナマイトが飛んでいた。
しかし、千種はヘッジホッグを使い爆発する寸前でダイナマイトを破壊する。




獄寺「(こいつ…ただの中坊どころか、殺気といい戦い方といい…プロの殺し屋だ)」

芽埜「(逃げろって言われても……ど、どうすればいいの〜!?
どこかに連絡取ればいいのかな!?でもどこに!?警察とか!?


うわ――っ!!分からないよー!!)」




千種の相手をする獄寺を見ながら芽埜は思考を巡らせる。
ケンカというからには拳や足を使うものだと思っていたが、何故か爆発物にヨーヨーのような武器を使い始めた。


そんなものを警察に届けていいものか。


慌てていれば、芽埜の前にひとつの影が現れる。




芽埜「!?、貴方は…!!

(間違いない…この人は、海で出会った…!)

鈴音ちゃん!!」

「…………。

鈴音?誰…?それ」

芽埜「(鈴音ちゃん…じゃ、ない……??)」




白い外套を着た姿は鈴音そのもの。
けれど彼女はどこか大人びており、鈴音とは少し違うように感じた。


疑問を浮かべていると鈴音?が芽埜に向かってナイフを突き出す。
顔面スレスレを通り抜けたそれを見て冷や汗を流した芽埜はそっと後ずさった。

頭の中には警戒音が鳴り響き<早く逃げなければ>と告げている。



だが、しかし。
芽埜の脳裏に獄寺の存在が頭に引っかかり、この場を逃げることが出来ない。




芽埜「あ、貴方に似た人がいるの!!!その人は芽埜の大切な人の1人なの!!

戦いたくないからどいて!!」




貴方の中で、自分が言った言葉が綺麗事だって分かっていた。
それでもこれ以上になんといえばいいのか、言葉が出てこなかったのだ。
その言葉に鈴音?は軽く目を見開くと「そう」と小さく呟いて再びナイフを構えた。

どうやら、退いてくれるつもりはないらしい。




鈴音?「無理よ。
だって、これは命令なんだもの。<彼ら>からの、命なんだもの」

芽埜「!?、め…命令って、何!?芽埜、誰に狙われてるの…?!

お、教えて!!…っ教えてよ!!!」




自分がこんな人に狙われる理由など、皆目見当もつかない。
何も悪いことはしていない。
誰かに狙われることも、恨まれることも、憎まれることも、していないのだ。
これまで平凡に生きてきた人生の中に思い当たる節がない。




芽埜「教えて…よぉ…っ」

鈴音?「……………。


―――御託は…いいわ。さようなら、<家宝>さん」

芽埜「!!!」




―――グサ…ッ!!!




鈴音?の手が容赦なく、芽埜の腹部にナイフを突き刺す。




芽埜「(痛い…痛、い……っ痛い…、…痛、い…よぉ…)


な……っん、…で…、」

鈴音「……………。

最期に、教えてあげる。敵討ちとかじゃないのよ。手始めのことだから。



貴方がいると<彼女>を巻き込むから。」

芽埜「………?」




芽埜の胸の上に置かれたのは桃色のカーネーションの花束。




鈴音?「その花の、花言葉は<貴方を永遠に忘れません>。
偉大なる犠牲になってくれてありがとう。<彼女>はきっと貴方のことを忘れないわ。



さようなら、紀本芽埜さん」




芽埜の薄れゆく意識の中で聞こえたのは自身と獄寺を呼ぶツナの叫び声と足音だけだった。




芽埜「(ねえ…綱吉。
鈴音ちゃん似の人に会ったよ。でもね、敵討ちとかじゃないんだって。
なんで、芽埜…攻撃されたのかな?逆恨み、なのかな?

痛いなぁ……。このまま死んじゃうの、かなぁ?
そんなの、ヤだなぁ……)


………、…っ…」




腹部を襲う痛みで今にも気が遠くなって、真っ暗闇へと落ちて行きそうな中、芽埜は胸部へと置かれた花へ手を伸ばした。




芽埜「(誰か分からない貴方にも、花を送るね。
今度、会ったときに…渡すから……受け取って、くれる…?

貴方には……クロッカス…をあげたい…な)」




獄寺隼人VS.柿本千種




芽埜「(クロッカスの花言葉は<貴女を待っています>…だった、はず。


ずっと…本当の事言ってくれる時を待ってる…から。
次会ったときは、話してくれますか?)」


ツナ「芽埜!!獄寺くん!!しっかりしてよっ!!


芽埜!!!獄寺くん!!!」




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