紫のシャツと白のシャツに黒いスーツ。
切られた黒髪と肩辺りで揺れる翡翠の髪。
それは……




γ「んん…、思い出したぜ。
おまえはボンゴレ雲の守護者、雲雀恭弥と星の守護者兼雲の守護者の嫁、満樹…いや雲雀瑠香だ」

雲雀「だったら」

瑠香「どうだと?」

γ「お前らにはうちの諜報部も手をやいててね。ボンゴレの敵か味方か…行動の真意がつかめないとさ。

だが、最も有力な噂によれば、この世の七不思議にご執心だとか。
嫁と一緒に匣のことを嗅ぎ回ってるらしいな」

雲雀「どうかな」

γ「得体のしれないものに命預けたくないってのは同感だぜ。
で、こいつは本当には誰が何のためにどうやって創ったのか、真実はつかめたのか?」

雲雀「それにも答えるつもりはないな。<僕らはとても機嫌が悪い>と言ったはずだ」




元より瑠香にはボンゴレの味方や敵などになったつもりはない。
彼女が味方になるのは雲雀ただひとりだ。

10年前から……否、出会ったあの日からそう決まっていた。




γ「やはり雲雀恭弥と雲雀瑠香はボンゴレ側の人間だったというわけだな。
いざ仲間(ファミリー)が殺られるとなれば黙って見てはいられない」

瑠香「いいえ、違いますよ」

雲雀「僕らが怒っているのは並盛の風紀が汚されていることだ」

γ「風紀……?

まあいいさ。敵の守護者の撃墜記録を更新するのは嬉しい限りだ。
俺も……男の子なんでね」




雲属性のバイオレットの炎を灯した雲雀。
敵、γも雷属性の炎を灯し雷狐(エレットロ・ヴォールビ)の入った匣を開匣した。

雲雀も匣を開匣してそれを受けてたつ。




雲雀「瑠香、君は下がってなよ」

瑠香「!、分かりました」




雲雀とγの間でぶつかり合う匣。
雷狐に対するは雲雀の匣兵器―――雲ハリネズミ(ボルコスピーノ・ヌーヴォラ)だ。




γ「ハリネズミとはかわいいが、何てパワーだ…。
これだけの匣ムーブメントをよくそんな三流リングで動かせる」

雲雀「僕は君達とは生き物としての性能が違うのさ」




―――パリ…ンッ




雲雀のリングが波動に耐え切れず砕け散る。




瑠香「(ああ、また1個消えましたね…あれも、Aランクの凄い石だったんですけど…)」




雲雀「さあ、僕らも始めよう」




新しいリングを取り出して右の中指にはめ、匣を開匣。

雲雀の腕に収まった炎を纏う武器、トンファー。

リングを使い捨てにしている雲雀に苦笑しながら、γは雲雀との対戦に応じる。
その真上では雲ハリネズミと雷狐の攻防、真下では雲雀とγの激しい攻防が行われていた。


瑠香は1人、離れた場所で見ていたが奥に芽埜の姿を見て盛大に表情を歪めた。
だがこの状況では彼女を助けに行くことはままならないだろう。




瑠香「(戦えないくせに出てきちゃうくらい彼らのことが大事なのはわかりますけど…無茶しすぎですよ!!)」




γ「(こいつぁハンパねぇ)」




雲雀の攻撃をキューで受け止めたγ。

γの武器が1本であるのに対して雲雀の武器は2つのトンファー。
1つが止められても、もう片方が残っている。

残りのトンファーで攻撃を加えようとした雲雀に、対するγはリングから出る炎で防御するが……



「(―――硬度で勝る雷の炎を雲の炎で破っただと……!?)」



……雷の炎の防御は何の意味もなく破られた。
γは、森の中へと吹き飛ばされる。




瑠香「まさか、これで終わるわけがないですよね?
仮にもミルフィオーレのAランクなんですから」

雲雀「立ちなよ。うまくダメージを逃がしたね」

γ「ふ〜〜、さすがだ。もし守護者だったなら最強って噂も本当らしいな」




γは雲雀の攻撃をビリヤードの球でうまく逃がしたようだ。




γ「いやー、まいった。
………楽しくなってきやがったぜ」




白い球を打ち他の球へとぶつけ、連鎖的に向かっていく球。
余裕の表情で交わした雲雀だったが、避けた球も含めて一気に攻撃し始める。




瑠香「恭弥さん!」

雲雀「助けは要らない」

瑠香「!、わ、分かってますっ


(恭弥さんのバカ。心配してるんですよ、もうっ)」




ギロ、と睨まれ萎縮しながらもすごすごと後ろに下がる。
例えお節介だっとしても愛しい人を助けたいと思う気持ちに偽りはない。

それが、彼に全く通じていなくとも。




γ「あいにくこの所帯の軌道には人が生きられるだけの隙間はないんだ」

雲雀「へぇ…、それはどうかな」

γ「3番ボール」




次々と迫る球―――攻撃を辛うじて避けている雲雀。
その時、γの声とともに<3>と書かれた球が雲雀へと向かっていき、彼はそれをトンファーで防ぐ。

だが。

雷の鋭い炎の所為で血が吹き出てしまった。



瑠香は駆け寄りたい衝動を抑えて、雲雀の戦いを見る。
信じていない訳ではなく、大事な人が傷つくのはとてつもなく嫌なのだ。




雲雀「たしかに全ては避けきれそうにない。だから当たるのはこの一球だけって決めたのさ」

瑠香・γ「!」

γ「(一瞬にして最低限のダメージで済むルートを見切ったのか…………。
どーりで最初から左手だけに防御の炎を集中してるわけだ…。なんて奴…)」

雲雀「もう逃がさないよ」




全てを交わしてγの前まで移動した雲雀は攻撃を繰り出すが、γはシューズの炎で空中へと逃亡。




γ「残念だな」

雲雀「………………」

瑠香「これでもう<手も足も出ない>と思っているんですね?


でも、それは甘いですよ、<電光のγ>」

γ「…!!」




突然の吐血。

驚きを隠せないγは後ろを振り向く。
そこには鋭い針の出ている巨大な球体が宙に浮いており、その中の2本がγの肩と横腹に刺さっていた。
そして、中間あたりに捕まっている雷狐の姿もある。




雲雀「言ったはずだよ。逃がさないって」

γ「あの…ハリネズミか…」

雲雀「そう……。
君のキツネの炎を元に彼がこれだけの針を発生させたんだ。まるで雲が大気中のチリを元に発生して拡がるようにね」

γ「そーか…、雲属性の匣の特徴は……<増殖>……だったな。
だが、こんな量の有機物を増殖させるなんてうちの雲の奴からは聞いていない。


ナンセンスな匣だぜ…」

雲雀「すばらしい力さ。ゆえに興味深い」




匣を見て言う雲雀に瑠香も同意する。
確かに匣の研究は面白いのだ。




雲雀「さぁ、終わるよ」




再びトンファーへ炎を灯した雲雀が攻撃へ勢いをつける為走り出す。
そんな時、神社の茂みが動き出し……




瑠香「あ」

雲雀「遅すぎるよ君達」




γ「……!!、あのガキは………まさかな」




ツナとラルが姿を現した。
ツナが驚く中、雲雀は雲ハリネズミによって作り出された雲を使って移動しγへトドメをさした。




雲雀恭弥VS.γ




最強ご帰還。




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