純度の高い、大空の炎。 澄んだ、オレンジ色のそれがツナの灯す<大空>。 ツナ「この感じ…」 太猿「(炎が変わった…。 ただでかくなったんじゃねぇ…純度の高い大空の炎になっている… ―――経験でわかる、あーゆーのはやべえ…。)」 ツナ「怖じ気づいたか」 太猿「ぬっ!!ふざけるな!!女と炎は使いようだ!! てめーのようなうるせーハエには殺虫剤をまくまでだ!」 赤い死ぬ気の炎を纏った手裏剣がツナ目掛けて放たれる。 空中に行って距離を引き離そうが、何処に行って避けようが追尾式になっている手裏剣はツナを追っていく。 太猿「逃げきれるものか!!黒手裏剣(ダークスライサー)はお前だけを貫くぞ!!」 手裏剣は逃げるツナが空中に残した微量の炎を吸って加速する。 諒「(そうか…炎を吸って加速する型の匣…)」 今のツナにこれは厄介だ…と諒は思ったが、あれを止める手立てが1つだけあるのを思い出しかすかに笑みを浮かべた。 ツナ「炎に反応するのか」 太猿「その通りだ!! おまえのようなでかい炎のみを追尾し、炎を吸収するたびに加速する!!そしてしまいには目標物の1.5倍の速度に達する!! 回避は不可能だ!!!」 諒「ボンゴレ。 そういう匣は決して使用者には当たらない。その男に向かっても無駄だ」 ツナ「…そうか。なら、逃げるのはやめだ」 逃げても意味がない。 諒「(だが、ボンゴレ、お前には逃げずともいい方法がある)」 天井に足をついたツナ。 そして、その手には氷付けになった匣兵器の姿があった。 ツナ「不思議だ……体が軽い」 * * * リングから炎を出した獄寺が匣を手に取る。 獄寺「(何が入ってんだ…?たいした武器なんだろーな…) へっ、まるでパンドラの匣だな。だがやるしかねぇ!! 鬼が出るか!!蛇が出るか!!」 匣に注入された嵐の炎。 10年後の獄寺の言葉を借りるならば<凄い匣>なのだから、相当のものが入っているのだろう。 央樹は内心期待する。 ―――キシャァア!! 獄寺の左腕に纏わりつく、髑髏モチーフの武器。 どうやらそれが獄寺の手に入れたという匣兵器らしい。 央樹「これは……まさか……」 獄寺「重っ!! んだこりゃ!?ド…ドクロー!!?」 央樹「(まさかの弾が必要な武器じゃあ…?)」 獄寺「イ……イカスぜ」 野猿「あいつぅ〜〜〜匣持ってやがったのか。妙なことされちゃまずい!! ―――速攻!!」 開匣した匣に気付かないわけもなく、野猿がこちらへ向かってくる。 獄寺「!!、来やがった!!どーやって使うんだよコレ!! おい、教えろ!!」 央樹「ぼく、属性が違うので知りません!!」 獄寺「あぁ!!?……っち、こうか!?」 使用法が分からない獄寺はあちこち弄り倒す。 すると、<弾を食わせろ>という指示が炎と共に現れた。 まさか獄寺が弾なんて持ってるはずもなく…… 央樹「だ、大丈夫なんですか…!?」 獄寺「そう思うなら弾よこせ!!!」 央樹「諒くんしか持ってないですってば!!」 …わたわたと2人で焦り始める始末。 央樹「た、弾はないですけど…代わりにダイナマイトいれてみたらどうですか!!?」 獄寺「なっ…! 一か八か!!!ええい!!」 後方の髑髏の口にダイナマイトを突っ込んだ獄寺。 武器からは炎と共に突風が拭きでて、敵に命中する。 獄寺「…………でた……」 野猿「………ん?なんだ今のは………?痛くもかゆくもねーぞ」 獄寺「き!!効いてねーのか!?」 央樹「ダメじゃないですか――!!! (こっちの獄寺さん何を考えて<いいのが手に入った>なんて言ったんでしょう!!? ん?でも…炎が吹き飛んでる…?)」 その証拠に敵は飛べなくなり、背中から地面に衝突。 央樹「あー…痛そうですね… ぼくだったらもう戦闘意欲萎えて帰りますよ」 獄寺「おい。」 野猿「しゃらくせぇ!!てめー、炎を吹きとばすとはふざけたマネを!! 許さねーぞ!!」 獄寺「な!!一瞬しか役に立ってねーじゃねーか!」 央樹「まあ、リング取らないと意味ないですからねー」 野猿「死にな!!」 再びわたわたと焦り始めた獄寺。 央樹が勝手に獄寺の武器を弄っていると<拡散ボム>という表示がでた。 どうやら先ほどの攻撃は拡散されたものだったらしい。 獄寺「そーか…今のはエネルギーが集束されてなかったのか…っつーことはこーやって…」 野猿「ショアア!!」 獄寺「口を絞れば!!」 背後に迫る敵に対し、央樹が剣を振るい一瞬動きを止めた後、身を屈めた。 そこに迫るのは…… 野猿「!!!」 獄寺「果てろ!!」 獄寺の攻撃。 炎が真っ直ぐ矢のように放たれ、敵に直撃する。 央樹「(ふう…まあ、まずまずの勝利ってとこですかねえ……)」 * * * 太猿「バカな!!ほ…炎を………凍らせるなど!!」 ツナは手裏剣だけならず、敵のシューズも凍らせてしまった。 太猿は動きがとれず、愕然とする。 太猿「こ……これではまるで噂に聞いたボンゴレ十代目…!! 貴様何者だ!!!」 炎を凍らせる事が出来るのはこの時代では只1人―――ボンゴレ十代目、沢田綱吉のみ。 ツナは何も答えず大鎌の棒を掴むとそこから大鎌を全て凍らせてしまった。 太猿はこれで戦えなくなった。 諒の方も何かが済んだらしい。 諒「っし、」 パソコンをカバンへと仕舞い、立ち上がった。 諒「(あ、やべ…やっぱふらっとくる…)」 ツナ「いくぜ」 太猿「ぬおぉ!!」 敵、太猿の頬を殴り飛ばしたツナ。 太猿の体は工場の屋根を突き破り、外へと吹き飛んでゆく。 ―――バキャン!!! そんな音と共に……。 獄寺「やったんスね、十代目!!」 央樹「こっちも終わりましたよ、あーきらくーん!」 獄寺と央樹の声が響いてきた。 どうやら向こうも終わったらしい。 諒「悪い、京子」 京子「え、あ、はい?」 諒「ちょっとハンカチかなんか持ってね? (あ…でも、血付くの嫌だよな…。どうすっかなあ…。 もうスーツで拭くか…?)」 京子「あ、あの!これ、どうぞ」 差し出されたうす桃色のハンカチ。 それに諒は女の子らしさを感じたとか感じてないとか。 諒「サンキュ…京子」 京子「っ!!(どき…」 京子は諒の軽い笑みにどきどきと心臓がうるさくなった。 彼の瞳には京子への慈愛のような<ナニカ>が含まれていたのだ。 その時…… 「諒くーん!ラブコメ中失礼しますよ」 諒「う゛っ!!」 央樹が背中に張り付いてきて諒が体勢を崩す。 央樹「ちょっと借りますねー」 央樹に肩を組まれ無理やり工場外へと連れ出される諒。 そして、耳元で囁かれた言葉。 央樹「―――ミルフィオーレのブラックスペルがここのハッチの場所を<嗅ぎ付けてる可能性>は?」 諒「ねーよ。ハッチ嗅ぎ付けてんなら、こんなとこでちんたら京子達の相手してなかっただろ。 さっさと基地に戻ってえらーい人に伝えて大勢で襲えば大手柄だ」 央樹「…それもそうですよねえ、あはは! あっ、そーだ。外の子たち大丈夫かな??」 獄寺達の方を見ると、倒れてる4つの人影。 獄寺「おい、大丈夫か!?しっかりしろ! ハル!!イーピン!!アホ牛!! くそっ、どーなってやがる!!何でおめーらまでこの時代に!!何があったか言え!!」 山本「う…」 獄寺「おい野球バカ!!」 山本「うぅ…」 獄寺「…!! へっ……、ボンゴレリングは持ってきやがったか…」 ボンゴレリング所持者ばかりこちらに来るわけではなさそうだ―――と諒は思う。 それよりも、あまりリングを晒すものではない。 諒「獄寺、俺にリング渡せ。雨のリングもな」 獄寺「!、…なんでだよ」 諒「リング反応をミルフィオーレに察知されてる可能性もある。俺が並盛中回って消してくる」 獄寺「………、頼んだ」 諒「おう」 央樹「諒くん、これ大空と雷のリングです」 諒「確かに。 んじゃ、行って来るわ」 そう言って諒が駆けていく。 マモンチェーンを4本持って。 央樹「いってらっしゃいで――す。 ところで、何故こうも守護者が10年前から来るんでしょうね?」 獄寺「(守護者…)」 央樹「それに、ボンゴレリングを持ってやってくるなんて」 獄寺「(リング…?) っおい、ちょっと待て」 央樹「はい?」 獄寺「確認するがこの時代にリングはねーんだよな」 央樹「?、ええ、まあ。砕いて捨てちゃいましたからね、ボスたちが」 獄寺「…………<守護者は集合>…」 獄寺作のG文字で書かれた文章。 2人はそれを読み返して行くうちにおかしな矛盾点に気付ていくのだった。 リングの力 獄寺「そういう…ことかよ」 央樹「とりあえず、アジト帰りましょうか」 獄寺「おう…」 央樹「ジャンニーニさーん」 ジャンニーニ《はい?》 央樹「怪我人多なので担架お願いしまーす」 ジャンニーニ《一体何があったんですか――!!?》 戻る |