これ(※夢絵注意)の女主。




「姫様、制圧完了いたしました」

「!
ご苦労様…です」




風によって僅かに鉄臭い香りが漂うこの場所で今現在制圧が完了した。
今回私は指揮をとるだけでいいとあにさまにいわれている。
けれどこの香りを嗅ぐとどうしても体が疼いてしまう。
唇へ人差し指を触れさせれば、ほう、と口から吐き出される息の熱が伝わった。



ああ……私も戦いたかった。



けれど部下は優秀でさっさと制圧は完了してしまう。
なんて嬉しくて悲しいことかしら。


この何ともいえない感情を消し去ってしまおう≠ニ地面近くまで下ろした絨毯から飛び降りる。
まだすっきりしませんけれど、その内また何かの制圧機会がきます…よね?




「此方です姫様」




兵に案内されるがままこの国の王と后の元へ歩み寄る。
がたがたを震え蒼白になっているお二方には酷でしょう。
その上これから行うことは手続きで、紙の上の約束事でしかない。
お二方が地位や土地権を簡単に譲ってくださるのならば、今回は見逃しましょう。
ええ、見逃しましょうとも。
―――決して苦しめはしません。


一瞬。


一瞬で違う風景を見せて差し上げます。




「―――初めまして、煌帝国第二皇女練名前と申します。」




以後、お見知りおきを。














      *     *     *














遠征から帰り煌の地を踏みしめ、帰って早々に結果を報告しにいった。
こういうものは早く済ませたほうが後の心労に繋がりませんから。




「―――以上です。」

「ああ、分かった」




下がれ=B
そんな声が聞こえるまでなんの無礼もなく報告できた。
部屋を出て、何とか無事に終わったことから安堵のため息を吐き出す。
遠征に行った回数は少なくもなければ多くもない。
けれどこうやって報告するのは初めてで、その上私主体の遠征も初めてだった。
当然、通常の遠征よりも更に気疲れしている。


今日は部屋に戻って大人しく睡眠をとりましょう……。
それが無難な答えでしょうから。




「紅覇にも…会いに行かなくてはなりません、けど」




もう気力が限界です。
今日帰ってきていることを風の噂で知った紅覇がどうなるかは目に見えていますけれど。
流石に今日はあの子に付き合えるほどの体力は残っていない。
遠征でシーシアの力を最大限活用しましたし、ベルファも使いましたから魔力も結構限界です。
気力も魔力も限界を突破しそうな勢いですしね……。

くらりと揺れる視界に今日はもうダメだな≠ニ見切りをつけて部屋へ歩き出した。




「ふぅ……疲れ、ましたぁ……」




部屋に戻って入浴後、寝間着に着替えそのまま寝具にぱたり。
久しぶりに自分の寝具で寝れると思うととても安らぎますね……。

―――ああ、髪をきちんと乾かさなくては紅覇が煩いです……。




「…ん……、…」




でも、眠気が最大で………それどころ、では…。

まどろみに身を委ね、うつらうつらと枕の柔らかさを堪能する。
お布団も、温かい。
このまま、眠ってしまいたい。
ゆったりとお布団に沈んでいこう。



そう、思っていた。
けれど。




バァン!!




「…て…敵襲!?……え、…紅、覇…??」

「ちょっと名前姉ぇ!どうして僕に会いにきてくれな……って、髪乾かさずに寝たら駄目だっていつも言ってるのにぃ!!」




勢いよく扉を開いて現れたのは紅覇とその部下である魔導師の純々、麗々、仁々の三人。
それはもう驚いた。
心臓がバクバクと音を立てるくらいには。

そんな私を放って跳ね起きた私の姿をいそいそと整え始め、余りにも尽くしてくれる四人。
感謝の意を込めて頭を撫でてあげよう。
そんな事を思いながら若干気だるい体に鞭打って腕を伸ばす。ふわりと柔らかい髪に触れる。


あ、柔らかい……。


暫くその感触を味わいたい…と思っていた矢先名前姉!/名前様!、と抱きつかれる。
何時ものことだから余り気にはしていないけれど。




「(どうしましょう、眠いです……)」




抱きつかれながらうつらうつらと夢現になり始めてしまう。
そんな私を見て紅覇が三人を下がらせベットに潜り込んできた。




「僕も一緒に寝ていいよね?名前姉」

「せめて……着替え、て…こない、と」

「えぇー?でも僕は昼寝するだけだしぃ」

「皺が寄る、から……ね?」

「…分かったぁ。僕が着替えてくるまで起きててくれるなら着替えてくるしぃ」




ああ、酷い。
私はこんなにも眠いのに。
酷いわ、紅覇。
貴方にそういわれたら起きていないわけないでしょう?


ひとつ頷いて紅覇が廊下に控えているであろう三人に声をかけ部屋を出て行く。

待ってるわ

そんな意味を含めて手を振って送り出した後リラックス効果のあるお茶を淹れて待つ。
紅覇のことだから寝る前の美容も済ませてくるだろう。
身なりを綺麗にしてくるのも目に見えている。




「っ…、ふぁ」




いつになったら眠れるのかしら。
読みかけだった本を開いてこんな日常もたまにはいいかも≠ニ若干ぼんやりしている頭で考えて。
静かな部屋の中彼を待った。
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