何も変わらないわたしの夢


「じゃあな…」

「オ…オウ!」

「「………」」


ナルトは無言で我愛羅と向き合っている。
あー…なんていうか締まらない奴ね。


「ふ…フツーならここで握手と貸して別れんだろーけど…俺ってばそーゆーの苦手だからな!このまま…、!」


我愛羅から差し出された手。
それは確かな友情の証よね。
でも、ナルトは気恥ずかしいのかなかなか手を重ねようとしない。
すると、我愛羅の砂がナルトの手をグイと動かす。
これは我愛羅側から近付いてきてくれてるのよね。
いい感じに友好深まってる感じかしら?


「……っあ―――!!!!!!」


それは、ナルトと我愛羅が握手を交わした次の瞬間の事だった。


「あれ、え、何?!何事〜!!??」

「アカリ……」

「この緊急時に何処行ってたんだ、お前は!!!」

「ぐっ…!!!テマリちゃん、ギブギブッ!!カンクロウ、助け…っ!!」

「自業自得じゃん…」

「何で長期任務こなしたあとにそーれーなーのー?!……って、あ゛……」

「………。」

「(ね、姉さんの目が絶対零度です…!ど、どうにかしてくださいネジっ)」

「(何で俺なんだ!)」


アカリ……彼女は私の体を壊した。
何も思うところがないわけじゃない。


「あ…えと…」

「………久しぶりね」

「…う、…うん、」

「本性見たわよ」

「…うん?」


ふふふ、昔はあんなに悪逆ヒーローみたいな話し方だったのにね?


「これから一生そのネタでからかってやるから覚悟しなさい、この中二病患者!」

「!!!!!!、うわあああああ!!!!!あれは黒歴史なのに!!!酷いっ」

「あら?どこら辺が黒歴史?」


わーわーと騒ぐアカリを無視して歩き出す。
あの時は同じ様な身長だったって言うのに私を遥かに超えてるなんて許せないじゃない!
私は彼女の所為で副作用出て身長伸びなくなったのに!


 ビシッ!


「?!」

「覚悟してなさいよ、次は勝って身長根こそぎ刈ってやるんだから!!!」

「…え…そ、それって…」

「勿論。足元から鑢でギリギリすり減らしてあげるわ」

「嫌だぁあ!!!ゆーるーしーてー!!!」

「…バカか、嘘に決まっている…」

「我愛羅が至極冷静な事が私にはショック!」

「っふふふ……いやね、冗談じゃないわよ?」

「「「「((汗」」」」」

「ミー、それ以上砂に迷惑かけてやるな。お前の遊びは度が過ぎる」


ネジに溜息をつかれた。
そんなに疲労困憊になるような事した覚えないのにどうしたっていうのかしら?
あ、もしかして老化現象?


「ミー、お前は俺を何だと「ふふふ、歳の割には悟ってるお爺ちゃん」…ミー、怒るぞ」

「怒ってるじゃない」


冗談に決まってるのに。


「それじゃあ」

「ああ…」


我愛羅たち砂の人間に別れを告げて歩く事十数分。
先生が熱さと重さと進まない事のイライラに耐えかね始めた。


「先生たちおそーい!」

「いや〜〜すまないねェ〜ガイくん」

「………」

「あの写輪眼使うと当分体が動かなくてねェ…」

「えええぃ!!」

「あ!え!ちょ…!」


 ………。


正直言う見たくない。
おっさん同士のおんぶとか……嫌!!!!


「(なんか…キモいってばよ)」

「(おっさん同士のおんぶか…思ったよりキツいな…)」

「(うわぁ…うざっ)」

「(………)」

「(そうか…修行ですね!)」

「こうなったら速いぞっ!!アハハハ!君たちィ、俺に付いて来れるかなァ!?」


…動きが加わるとさらにキツいわね…。
そんな時、リーが動き出した。
サッとネジに背を向けると神妙な顔でネジの名前を呼ぶのだ。


「ネジ…」

「断る!」

「じゃあ姉さんでいいです!」

「嫌よ!!!」

「っていうかこんなやり取りこっち来る前もやったじゃない!」


テンテンのその言葉にうんうんと頷いていればぐわしっと手を掴まれる。
じーっとこちらを見てくる少女の目に私は負けた。


「わーい、わーい!」

「師匠失ったってのに元気ね!?」

「え?だって、師匠ずっと昔から裏切る気満々だったもん」

「………は?」

「私を何度も追いて行こうとしたりとか色々!」

「………。」


それを慕うって…この子は一体何を考えていたのかしら。














「アレレ?デイダラさんもやられちゃったみたいですね」


そういうトビの足下にはデイダラの手が落ちていた。
毎度思うけどこの口どうなってるんだろうか。
手を持ち上げたトビに近付きつんつんと突っついて見るけど反応無し。


「ねェ、カイアさん、あの人絶対死因は爆死・・ですよ…そう思いません?その辺に肉片落ちてんじゃないッスかね…クク…」

「爆w死w」

「カイアさん、サソリさんがお亡くなりになってからはっちゃけましたね?」

「………((ズーン」

「(あ、タブーだった)」

「手を離せコノヤロー」

「!」


声に振り返れば手を失ったデイダラの姿があった。
あー、よかった、デイダラは生きてたんだ。


「"人柱力"ハドウシタ?」

「俺のノルマは終わってんだろ…うん」

「ギリギリじゃないっすか、デイダラさん。大丈夫…じゃあないか…」

「………トビ、仏の顔も三度までだ…次、何か言ってみろてめーの死因は俺が決めるぞ…うん」

「ってどうせ爆死・・でしょ」

「ソレ三度目ダ…」


その言葉にバッとトビに飛びかかった……ん??


「デイダラが…"トビ"に、"飛び"かかった!!!っぷ…あっはははは!!!!」

「全然笑えねーぞ…うん」

「カイアさん、何かネジぶっ飛びましたね!」

「いや、なんか、…ぶ…っ、ははははは!!」

「サソリの旦那が今のカイアみたら泣くな…"俺の娘が飛段みたくバカになったー"って」

「あ、デイダラさん、それ「………((ズーン」禁句っスよ…」

「!、わ、悪かったよ!…うん」


その日から『"暁"でサソリの名前は禁句』になった事を私は知らない。


「あのさ、デイダラ…腕、どうすんの?」

「…あー……角都の旦那に頼んだら……」


『金寄越せ』と背後に書かれているのは見え見えだ。
だからと言って医療忍術でくっつけられるはずもない。
私、医療忍術使えるけど縫合は苦手なんだよね。


「傀儡で良ければつけてあげられるけど」

「それは遠慮するぜ…うん」

「何で?傀儡いいと思うんだけどなぁ…」

「起爆粘土作れなくなるだろ」

「あ、そっか」


難しい問題だなぁ。
あ、じゃあ、これはどうだろう?


「手の先だけ切り落として、その切り落とした部分以外は捨てよう」

「「「!?」」」

「そして、関節から……って何で皆離れてるの?」

「カイアさん怖いっスよ!!切り落とすって…!」

「いや、この手の先だけ切り落として残りは傀儡にしたらどうかなって思ったんだけど…」

「お前に任せるくらいなら角都に頼むぞ、うん!!!」


あれー…何がいけなかったんだろう?
そうやって首を傾げていたらトビが何故か背後から抱き付いてきた。
ぐえ、首締まる、首締ーまーるー!!!


「カイアさーん、そろそろアジト帰ってご飯作ってくださいよー。鬼鮫先輩の料理、味気ないんスよー!何かこの三年?あ、二年でしたっけ?まあ、どっちでもいいんですけど、カイアさんのご飯食べれなくて大蛇丸の所まで浚いに行こうかなとか色々考えてたんですけど、やったらやったでリーダーとか泣きだしそうですし…いや一番どうでもいいんですけど。小南さんとか私も我慢していたと言うのに塵に等しい!とか言って攻撃してきそうですし、角都さんとか無言で心臓に手伸ばしてきそうじゃないですか?イタチさんなんて天照で済むかどうか分かったもんじゃありませんよ。あれ?話し聞いてます?」

「………。」

「いやいや、首締まってるから。カイアの首締まってるから!」

「あっ、やっちゃった☆」

「げほっ…ごほ…っ」


やっちゃった☆って……やっちゃった☆って…!!!!


「トービー!!!!」

「嫌だなぁ!そんなに怒らないでくださいよー、悪気が合ったわけじゃないんですからー!」

「待てー!!!!」

「あ!元気になった!」

「!!」

「カイアさん元気なかったんですもん。このままアジトに帰ったらリーダーとか気を遣って壁に隠れたり顔出したりとかしそうですから元気でてよかったです」


えへっとか言ってまた私に飛びついてきたトビにかぁっと顔が熱くなる。
あーえと、なんていうか、その、えっと………何か、トビいいにおいがする…!


「くっそ、くっそ、何だこのにおい…!」

「俺なんかにおいます?」

「いいにおいがする…何か女として負けた気が…!」

「カイアさんも何かいいにおいがしますよ?あの、あれ……台所っぽいニオイ!」

「それ料理とかのニオイだろ!!!ああ、そうだよ!クッキー持ってるよ!?」

「!、カイアさん最高っス!」


 ギュウッ


「わっ!」


トビに抱き締められるがままあたふたしていればトビが耳下で何かを囁き始めた。
ふむふむ、そっか、そっかー。


「てめー、トビ!それ以上カイアに抱き付いたら…!…って、あ、そっか(もう、サソリの旦那は……)」

「デイダラ、これから3人で頑張ろうね!」

「……っは?」

「リーダー命令デナ、今度カラお前タチ三人ハ同ジ班ダゾ…」
「頑張ってね…」

「………。」


何も変わらないわたしの夢


「はあああああああああああ!!??」

「デイダラさん、三人で頑張りましょーね!」

「トビと私とデイダラで三人だから、よろしくね!」

「渇「「ダメですよーデイダラさん!」」カイアはマネするな…うん!!!!」


"家族"を守る―――それが夢。



 
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