サソリさんと本当の家族になった。
何だかよく分からないまま私は転生というものをしてしまったらしい。
暁のメンバーも各々転生しているようで良くわからないままこの世界に馴染んでいった。




「カイア、こっちだ!」




イタチに腕を引かれた。
腕を引いている彼の背には赤黒い雲のマーク。
俗に言う兵団の一部、特殊兵団(基本的所属は調査兵団側らしい)のマークだ。
私も12になったらスザクと一緒に訓練兵団に入るんだよなーって思ってたんだけど…。




ズシン、ズシン、ズシン!




現在10歳。
ウォール・マリアが破られました。


―――いや、こんな話してる場合じゃないんだけども!




「イ、イタチッ!どうしてイタチが、っ」

「サソリさんはハンジ分隊長と一緒に行動している。俺はお前を頼まれたんだ」




昼寝の時間だったのかすやすや眠っているスザクを抱えながら、私の腕を引く。
もうすぐ船に乗れる。
まだ破られて間もないので避難民はあまりいない。


―――イタチ、本当に急いできてくれたんだ…。




「スザクを頼んだ」

「うん」




すやすや眠っているスザクの呑気なこと。
でも、恐怖で怯える彼女を見るよりはいい。
スーッと立体機動装置で飛んでいったイタチを見送って船に乗り込む。

長門兄、弥彦兄、小南姉、角都、飛段、ゼツ、イタチ、鬼鮫、無事でいてね。
サソリさん、今度は…帰ってきてね。

ぎゅっと胸元を握り締めると同時に船が動き始める。
遠くに見える大きな影だけが、目に焼きついていた。
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