心など消してしまえば、
夜、サスケが里抜けするのを見計らって荷を纏めて外に出る。そしたら予想外の展開………"カカシ先生が宿の前にいた"が起きてしまった……。
「…ちっ」
「舌打ちしないの、まったく…」
「何の用ですか、先生」
「このままお前を何処かに行かせる気はないんでね」
「………ハァ…」
「言ったでしょ」
「行かせないよ、お前はまだ行かせない」
「……先生、ごめんね」
「!!」
「こんな里、もういたくないんだ」
言ったでしょう、先生……僕はね…、
「………話せば長くなりますし、聞かれたくないです。だって、先生は木ノ葉の人でしょう?」
「………分かった。お前は要するに木ノ葉が嫌いなわけね」
「はい、木ノ葉"は"嫌いです」
「"嫌い"なんです」
ドス…ッ!
「お、まえ…!(封戌眼を…?!)」
「気絶程度ですから………ごめんなさい、先生………好きでした…ううん……愛して、ました…!」
だけど、ごめんなさい。ぼく…"私"は、この里が憎いし、嫌いなんです…!バッと走り出し、里の抜け道へ向かう。
「私は、サスケくんが好きで好きでたまらない!!」
「!(あれ…サクラ?)」
「サスケくんが私と一緒にいてくれれば、絶対後悔させない!毎日楽しくするし絶対、幸せになるはずだから!!私、サスケくんのためならなんだってする!だから…お願いだからここに居て!!復讐だって手伝う!絶対私が何とかして見せるから…うっ…だからここに…私と一緒に…それが駄目なら私も、一緒に連れてって…うっ…うっ…」
「やっぱり…お前うざいよ」
「行かないで!!」
歩き始めるサスケを引きとめようとサクラは叫んだ。
「行くなら、私大声出してでも…、!」
サスケはサッとすばやくサクラの後ろに回る。
「サクラ…ありがとう…」
それから、サスケはサクラを気絶させてベンチに横たえたので"一緒に行く"って言いに私は一歩踏み出した。
「サスケ」
「!、お前も止めに来たのか?」
うざったそうにこちらを見るサスケに溜息を吐き出す。
「…やっぱ、やめた…」
「?」
「サスケと一緒に行ってもいいかな、って思ったんだけどな…」
「…」
「サスケ迷惑そうだもん……知ってるんでしょ?私が、犯罪者だって…」
「ああ、大蛇丸の部下が言っていた」
「じゃあ、私は一人で大蛇丸の所に行く。じゃあね」
そう言って一歩踏み出した次の瞬間、サスケに腕を引かれて抱き締められた。ちょ、え…っ?!
「…、…」
「……?」
「…この腕から逃れたいか?」
「サスケ、どうかし…」
顔を肩に埋めるように強く優しく抱きしめられる。どうしたっていうの…サスケ…。
「………」
「サスケ…?」
「…っ……」
「泣いてるの?サスケ」
「泣いてねェ……後5秒しか待たねェぞ?嫌なら去れ」
「…ねえ、サスケ」
「4」
「…私、思うんだ」
「3」
「あのさ…私…、」
「4」
「サスケと」
「5」「共に生きるから」
「!」
これは、赤砂カイアとしての決意で闇月カイアとしての意思。ぎゅう…と抱きしめる力が強くなる。
「さ、すけ…?」
「もう、離さねェからな」
「…うん…離さないで……ずっと一緒にいて?」
「…今も、これからも…か?」
「うん、ずっと………」
貴方と一緒に、ずっと…一緒に………
「ずっと………一緒に………うちはの再興も手伝ったっていい…」
「いや、それはいい」
「何で!」
「お前カカシが好きなんだろ」
「………え?」
「カカシが好きなんだろ」
「……なんで知ってるの!?///」
「見れてば分かる」
「写輪眼ってすご…っ!?」
「写輪眼なんて使ってねェよ」
ウソだろ、私そんなに分かりやすかったの…??え、…え―――!!??
「……行くぞ」
「うん」
それから暫く歩いて行けば四人の男女に遭遇した。敵かと思ってクナイを構えればサスケから"敵じゃない"という言葉を貰う。敵じゃ…ない……あ、そっか、この人たち大蛇兄と同じ様な服装してるや…。
「お待ちしておりましたサスケ様…と?」
「あれ大蛇兄から聞いてないか……」
「ああ、カイア様ですね」
「うん」
「…どういう風の吹き回しだ」
「里を抜けられた時を持ってアナタは私共の頭になる事に決まっておりました。今までのご無礼をお許しください」
「フン、そんな事どうだっていい、行くぞ…」
心など消してしまえば、苦しむ事なんてなくなるはず
「…始まりだ!」
そうでしょう?―――サソリさん