私はいままで一人ぼっちでした。
周りには人がいます。だけど私を見ようとしてくれる人は誰一人いませんでした。悲しくて、寂しくて私は等身大の鏡を覗き込みます。そこには私と瓜二つな少女がいました。
試しに笑ってみると彼女も笑いました。その日から私に『たった一人のお友達』ができたのです。

私が真剣に話せば彼女も真剣に聞いてくれます。

「一人は寂しいよ…」
「大丈夫よ。私がいるもの。貴女が私を忘れなければ私はいつまでも貴女のそばにいる。だから、忘れないでね」

そう言って笑う彼女がとても寂しそうでした。この子が私のクローン的存在と知ったのはつい最近ですけど、彼女はいつもすぐそばにいのです。だから私の気持ちを分かってくれる。私と同じ感情を持っている彼女がとても優しく、強いと思いました。
だけど、ある日私に『新しいお友達』ができました。その子達と遊んでいるととても愉しくて、私は彼女のことを忘れていました。


ある日、彼女のことを思い出して、急いで鏡に向かいます。

「あのね!私お友達ができたの!」

そう言っても彼女は喋りません。姿も見えませんでした。どうして、と考えれば考えるほど分からなくなっていくこの感覚。嗚呼、そうか。と理解した時にはもう遅かったのです。

「ごめん、なさい」

彼女はずっと一人ぼっちだった。それは私も一緒のこと。だけれど、お友達ができてから彼女の唯一のお友達が来なくなってしまったのです。私だったらとても耐えられない。それは彼女も一緒。気がついた時には彼女はいなくなっていて、とても冷たい涙が溢れてきました。
すると、彼女の囁く声が聞こえました。

「お友達ができて、よかったね」

笑っているような、そんな声。辺りを見ても誰もいません。私は小さく「ありがとう」と言いました。


貴女は私と一緒なんだね。
(バイロケーション)


2010 06 01
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