暑い、無意識にそう思った。輝く太陽はほど遠いのに、何故ここまで熱を運んでくるのか無性に気になって、気になって、どうしようもなくて、霊夢にあいたくなって会いに行く。
「よ、霊夢」
「あら、魔理沙。…暑そうね」
「嗚呼、くたくただ」
でろん、と暑いという証拠を身体で示すと霊夢は楽しそうにくすくす笑う。
「しょうがないから、私の家で涼しんで行きなさい」
その言葉を待ってたぜ、と笑って霊夢の家(博麗神社)に上がりこむ。
流石神社。ひんやりと独特な冷たさ。癖になりそうだな。そんなことを思いつつ先を歩く霊夢についていく。
「お茶淹れるわね。そこらへんに座ってなさい」
「ん、サンキュー」
ぺたん、と風が心地よい場所に座る。
霊夢といるだけで楽しいのに、こういう風に涼しいととても楽だ。
なんだかとても眠くなってきたようなそんな気がする。
五分ぐらい、寝かせてくれ
そう思った後、私の意識が真っ暗な闇に落ちていった。
* * * *
「魔理沙ぁ?お茶入ったわよ」
返事は無い。
どうしたのだろうか、と思いつつおぼんに冷たいお茶を二つ置いて、運ぶ。
魔理沙はいた。どうしたのかしら、と思いつつ近づく。
「…寝てる」
こんな時に寝なくてもいいじゃない。
あ、こんな時だから寝るのかしら?確かにここはとても涼しいし、先ほどまで暑かったのだ、眠れないときもあるだろう。
自己解釈し、おぼんにのったままのお茶を見つめる。
風で時々ゆれるそれは、私に眠気を誘うのには丁度良かった。
「…少しだけ、寝ようかな」
魔理沙の隣は、魔理沙が起きた時に色々便利だから。と心に言いつけて魔理沙の隣に座る。
嗚呼、とても眠くなるわね…。
そう思って数十秒後、私は眠りに着いた。
* * * *
起きたら霊夢が寝ていた。
何事だ、と思いつつ飛び起きるともう真っ暗。少し寒いくらいの気温だった。
ふう、とため息をついてこのままじゃ風邪を引きそうな霊夢を起こす。
「起きろ」
霊夢の体をゆさる。すると、目をしょぼしょぼさせながら私を見た。
「魔理、沙?」
「ああ、そうだぜ。もう真っ暗だ」
「え、うそっ」
今度こそ意識がはっきりしたようだ。
驚いためで私を見る霊夢。今日二回目のため息をついて、お早うと言えば彼女もおはよ、と少し躊躇うように呟く。
そして、数秒悩んだように唸った後、彼女は「今日、泊まって行く?」と問いかけてきた。
いいのか!?と嬉しそうに言ってみればしょうがないんだから、ね!と顔を赤らめた。
私たちが出会うことが決まっていたように、また世界も動いてくれる。
2010 06 06
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