最後までお付き合いいただきありがとうございました!これにてパウリー夢『グラデーションに溶けていく』は完結です。W7を読み返して再燃したテンションで書き上げた文章ですがなんとかうまい具合に収まってホッとしています。
ウォーターセブンはいいぞ!という布教の意味も込めていますので時間があるときにでも原作のW7編を読んでくれたらとてもとても嬉しいです!ウォーターセブンはいいぞ(о´∀`о)!


昔、ポケモン映画の『水の都の護神 ラティオスとラティアス』を観てからというもの水路のある町が大好きになりまして、そんなものでウォーターセブンの町並みを見たときは本当に声にならないほど興奮したのを今でも覚えています。
もしもOPの世界に行けるのなら私は間違いなくウォーターセブンを選びます。ヤガラに乗って探検したいし、どこからともなく聞こえる槌や鋸の音を聴きながらオシャレなカフェでゆっくりと時間を過ごしたいし、水水肉を食べたいし、潮風を感じるアパートの窓辺で水平線の向こう側へと沈む夕日を眺めたい……!次元の壁さえなければ……!


話のなかでは活かせなかった裏設定
・いつかW7を去ることが決まっていたカクがなぜ夢主と付き合おうと思ったのか。それはカクが任務のためW7にやって来た最初の年に夢主に一目惚れしてしまったんですよ。当時18歳のカク。いくらスパイとして優れているとしてもこの多感な時期の感情に振り回されてほしいです(願望)。一目惚れを自覚して、だけどこれではダメだと芽吹いた想いに蓋をするために夢主と極力会わないようにしていた。でも、あの日細い路地で倒れていた夢主を見つけてしまって、できるだけ素っ気なくしたつもりが逆に一目惚れされてしまったということです。断り続けますがもう一度倒れて運ばれているときにチャンスとばかりに告白してきた夢主に愛しさが溢れてしまってOKを出してしまいました。是非とも先輩たちに怒られてほしい。
・なぜ夢主はカクと会ったことを次の日ではなく一週間も経ってからパウリーに教えたのか。一つ目の理由は感情を整理する時間がほしかったからです。あの夜の日、夢主はカクと別れたがカクに対する愛しさはすぐには消えず、その愛しさを過去のものとするために時間がかかったんです。二つ目の理由はパウリーが激務の真っ只中にいたから混乱させるようなこと(カクが家にやって来たことと告白のこと)は仕事が一段落したときに伝えようとしたからで、最終話では裏町の修復が終わった今ならと思って夢主は伝えました。


この話には一応イメージソングがありまして、各話のタイトルで気付かれた方もいると思いますが、この話はバルーンさんの『レディーレ』という曲を聴きながら書き上げました。どこか寂しく感じるリズムと恋人との向き合い方に悩むような歌詞が大好きです。
『レディーレ』の最初の歌詞の≪生きる仕草が〜曝け出してしまいたいよな≫までの部分は、秘密を隠したまま好きになってしまった夢主と過ごすカクの心情みたいだと私は感じました。純粋に偽りの自分を愛してくれる夢主に自分もだと言葉を返す瞬間に宙ぶらりんになった自分の醜さを見てしまった的な。≪いびつな愛を望む?≫という言葉も闇と光の間で自問自答しているカクのようでした。
≪もっとちゃんと目を見て〜静かに水をあげるよ≫は夢主からカクへの想い。何かを隠しているカクに、私はその秘密ごとあなたを愛したいと望んでいた夢主。
≪もっとちゃんと目を見て〜それ以上は望まないさ≫はパウリーから夢主への想い。まだカクと夢主が付き合っている頃。夢主のすべてがほしかったパウリーは、けれども夢主のカクに与える愛を見て、夢主をこれだけ幸せにできるのは自分じゃなくてカクだと感じ、幼馴染の域を越えないように離れた場所から夢主を見ていたんですよ。
そしてあの事件で深い傷を負った夢主とパウリーが向き合って一緒にその傷を癒していったらいいな!


各話のタイトルはもちろん内容とリンクするような歌詞ですがそれと同時にカクの心情も表したつもりです。
≪ひた隠す熟れた熱情≫はパウリーのずっと隠してきた初恋とカクの捨てたはずで捨てきれなかった夢主への愛。
≪長い帰路の真ん中≫はカクのいない日常へと帰らざるを得ない夢主の心情とゼロになってセント・ポプラでこれからのことについて考えるカクのこと。
≪分かち合えるだけでいいのに≫は自分と同じように大切だと思っていた人物が消えた悲しみを文字通り分かち合えるだけでよかったのに悲しみに暮れる夢主に誰のものでもないという安心感を感じてしまったパウリーとW7での思い出を話そうとしない三人に自分だけ未だW7に囚われている錯覚に陥ったカクのこと。
≪帳が落ちた≫は夢主とカク、二人の過去との決別です。
最終話のタイトルである『redire』という言葉にはラテン語で「戻る」や「帰る」という意味があります。なので最終話のタイトル『redire』には昔のように笑い合える関係に戻ったパウリーと夢主、夢主との関係にけじめをつけて思い残すことなく故郷へと帰っていくカクを感じられればと思っています。


とても短い連載でしたがこの話を読んで「W7いいね〜」と感じてくれれば嬉しいです。
それでは!


あとがき
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