「しししっ。」
部屋に響くアイツの嫌な笑い声。にやけた顔。全くなんなんだ。殺すなら潔くグサグサといって欲しいものだ。痛い痛い痛い痛い痛い痛い。早く痛みから解放して欲しい。
『ベ‥ル‥‥』
アイツの方へと伸ばす私の手は自らのソレで真っ赤に染め上げられて。息も上手く出来ないのにアイツの名前を呼ぶ。でもアイツからの返事はなくは力無く伸ばしていた私の手を払い、私の腹にナイフをグサグサと突き刺した。痛みだけが私を襲う。あ、やばい。フワフワしてきた。気持ち良いかも。
「ししっ。早く逝きたい?」
腹を刺していたナイフを抜き、私の首元へと移動させた。
思考だけは冴えていて、只それを口にするだけの力が今の私には無い。私はゆっくりと瞼を閉じた。それを肯定と見なしたのか、アイツはゆっくりとナイフを動かし私の首を切りつける。全身の血が首へ集中してるような、そんな気分になった。嗚呼、熱い。身体が。最後の力を振り絞りもう一度目を開けると私の血にまみれ笑っているアイツの姿があった。
「なぁ、ノエル。愛してたぜ?」
『私‥も‥‥』
薄れ行く記憶の中で何故か優しい気持ちになれた。殺されたというのに。私の身体の中の臓器が停止するのを感じながら永久の眠りについた。
あったかいね。
わたしのこころが
血にそめられて
ぽかぽかするよ
身体は冷たくなっちまったな。
End